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「製造業の国内回帰」の声高まるアメリカ。サプライチェーン問題で露呈した海外依存のリスク

製造業

Frederic Cirou/Huizeng Hu/Getty Images; Jenny Chang-Rodriguez/Insider

過去60年間でアメリカ人の労働環境は劇的な変化を遂げた。

1950~60年代にかけては労働者の3分の1近くが製造業に従事していた。アメリカ産の自動車、飛行機、洗濯機、テレビなどは近隣諸国へも輸出され、アメリカの象徴でもあった。

しかし現在では、労働者の80%以上が金融や介護、飲食、手荷物搬送などサービス業に従事しており、製造業は10%未満である。

この変化は必然的なものだと考える経済学者や政治家もいる。技術の向上で生産効率が上がれば、企業は人件費の安い海外に生産拠点を移すからだ。彼らは、このシフトは100年以上前にアメリカが農業から製造業に移行したのと同様にごく自然な流れであり、アメリカで製造業を復活させる取り組みはナンセンスだと主張する。

しかし、バランスのとれた経済構造から富裕エリート層向けサービスに過度に依存する経済へのシフトは、中産階級の縮小と所得格差の拡大という弊害をもたらした。

都市部から工場の仕事が失われたことが、黒人世帯の慢性的な貧困の原因になっているという調査結果もある。また、マサチューセッツ工科大学のデビッド・オーター(David Autor)経済学教授は、中国との貿易拡大に伴う雇用損失は、製造業を直撃しただけでなく、工場周辺の地域全体の所得低下や福祉依存度の上昇にもつながり、その傾向は特に中西部の小都市で顕著だと指摘している

こうした格差を是正するための取り組みとして、女性や有色人種が多く働く介護や小売など、サービス産業の仕事の労働環境改善の必要性が叫ばれてきた。

しかし、アメリカはサービス産業に特化した経済に早まって移行してはいないだろうか? 必要なモノを自国で製造しつつ、高賃金の仕事を創出することはできないのか?

製造業が歴史的な復活を遂げられる兆候は確かにある。アメリカが経済構造のバランスを取り戻し、工場の衰退によって深刻な打撃を受けた人々や地域に新たなチャンスを与えることができるかもしれない。

製造業の国内回帰が重要な理由

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