グーグルのスマートフォン「Pixel 6a」が日本で発売される。
撮影:小林優多郎
グーグルは7月21日、新型スマートフォン「Pixel 6a」とワイヤレスイヤホン「Pixel Buds Pro」の国内での予約を開始した。
発売予定日は両製品とも7月28日。直販価格はPixel 6aは5万3900円。Pixel Buds Proは2万3800円(いずれも税込)。
本稿では、スマートフォンのPixel 6aのファーストインプレッションをお送りする。
ハイエンド機と同じ独自チップ、同じAI機能が利用可能
Pixel 6aの背面。カラーはチャコール。やや光沢感があり、コーニング製の「Gorilla Glass Victus」を採用している。
撮影:小林優多郎
Pixel 6aは、グーグルのスマートデバイスブランド「Pixelシリーズ」の(比較的)廉価モデルの最新機種となる。
Pixel aシリーズはどの機種も、ハードウェア構成などを同世代のハイエンド機種と比べてやや抑えることで、安価にグーグルらしいAI機能を使える、といった特徴がある。
Pixel 6aもその原則から外れない。今回の目玉は「Pixel 6/6 Pro」(2021年10月発売)と同じ、グーグル独自設計のチップセット「Google Tensor」が搭載されている点だ。
これにより、以下のようなPixel 6/6 Proと同じAI機能が使える(いずれも日本語対応)。
- 声で文字入力から操作までできる「アシスタント音声入力」
- カメラで写した被写体や入力した文字や音声を翻訳する「リアルタイム翻訳」
- 文字起こし機能にも対応した「レコーダー」
など
左側面。SIMトレイがある。なお、側面の加工はポリッシュ仕上げとなっており、ややザラッとした触感がある。
撮影:小林優多郎
右側面。電源キーと音量キーがある。Androidとしての標準機能に近いが電源キー2回押しでカメラ起動、長押しでGoogleアシスタントを起動できる。
撮影:小林優多郎
上側面。Pixel aシリーズの前世代機「Pixel 5a(5G)」には3.5mmイヤホンジャックがあったのだが、6aには6/6 Proと同じで搭載されていない。
撮影:小林優多郎
下側面。USB 3.1 Gen 1仕様のType-C 端子を備える。
撮影:小林優多郎
端末自体は画面サイズ6.1インチ・幅71.8mmということで、昨今大型化するスマートフォンの中では比較的小柄といった印象だ。
廉価モデルということで、ディスプレイの額縁がPixel 6/6 Proと比べると分厚いなど、比較的高級感は薄いが、日常利用では気にならない部分ではある。
画面ロックなどに利用する生体認証は指紋に対応。画面下にセンサーがある。
撮影:小林優多郎
外観以外の6aと6/6 Proとの代表的な差異は
- ディスプレイの描画速度が最大60Hz(6は最大90Hz、6 Proは最大120Hz)
- メモリーが6GB(6は8GB/6 Proは12GB)
- 背面カメラは広角+超広角の2眼構成(6 Proは望遠も含めた3眼構成)
- マイクが2基(6/6 Proは3基)
- 防水防じん性能がIP67相当(6/6 ProはIP68相当)
- ワイヤレス充電に非対応(6/6 Proは対応)
となっている。ディスプレイの描画速度やメモリー容量の点から、本格的なモバイルゲームをする人には向かないが、「ネットや電話、カメラを快適に使いたい」という人には全く問題のない構成だ。
ただし、カメラには値段の差を感じる
背面の特徴的な「カメラバー」のデザインはPixel 6/6 Pro/6aともに共通だ。
撮影:小林優多郎
ただ、実際に短期間使用してみて、筆者が最もaシリーズ故の「コストダウンさ」を感じたのはカメラだ。
前述の通り、そもそも6aと6 Proでは背面カメラの数が違う。
さらに、カメラの数が同じ6aと6を比べても、広角(標準)レンズに関して6は50MPのOcta PD Quad Bayerセンサーなのに対し、6aは12MPのデュアルピクセルセンサーに性能が抑えられている。
当然、カメラに対してもTensorのAI機能は効いている。そのため、暗所でも比較的しっかりと被写体は映るし、デジタルズーム(最大7倍)をした場合も、12MPのカメラで撮ったとは思えない実用的な画が出てくる。
ただ、センサーの差は如実に出てくる。暗所では特にキツめのノイズ抑制とシャープさが際立って、やや質感が再現できていないように感じた。
また、Pixel 6/6 Proでは利用できた短時間の撮影でも長時間露光のような写真を撮影できる「モーション モード」には非対応となっている。
スマホカメラにおいて、人と違った写真を撮りたい、クオリティーにこだわりたいという人であれば、6aより6/6 Proを検討した方が良いと思う。
とはいえ、とくに撮影技術に特化していない人でも「ブレが少なくキレイに見える写真が撮れる」というPixelのカメラのエッセンスは6aでも健在だ。
別売の「Google Pixel 6a ケース」(直販価格3630円)を装着してみたところ。背面を一瞬見ただけの印象では、Pixel 6シリーズのどの機種か判別は難しい。
撮影:小林優多郎
値段的にも直販価格で6と6aでは2万900円もの差がある。
また、グーグル謹製スマホなだけあり、現時点で最新OSの「Android 12」を搭載し、発売後5年間のセキュリティーアップデートが保証されている。
比較的長く、そして導入ハードルの低い「コスパの高い」スマートフォンであることは間違いない。
(文、撮影・小林優多郎)