ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。
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- ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は冬を前にヨーロッパが天然ガスの備蓄を増やすことを望んでいないだろうとエネルギーアナリストが述べた。
- 「彼はヨーロッパ大陸に終わりのない混乱が続くことを望んでいる」とRBCキャピタルマーケッツのヘリマ・クロフトはCNBCに語った。
- 彼女は、ロシアがヨーロッパへのガスの供給をさらに削減するとみており、7月21日のノルドストリームの再開は一時的な救済に過ぎないと表現した。
ロシアは2022年7月21日、欧州への主要パイプライン「ノルドストリーム1」を通じた天然ガスの供給を再開した。しかし、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、冬を前に欧州が天然ガスの備蓄を増やすことは望んでいないだろうとエネルギーアナリストは述べている。
再開されたノルドストリームを通じたガスの供給は通常の40%だが、プーチン大統領はウクライナで戦争を始めた後、エネルギーを制裁への報復の武器にしており、今後20%に削減する可能性もある。
「彼はヨーロッパ大陸で終わりのない混乱が継続することを望んでいる」とRBCキャピタルマーケッツ証券でコモディティ・ストラテジーのグローバルヘッドを務めるヘリマ・クロフト(Helima Croft)はCNBCに語った。
「彼はこの危機において、主導権を握り続けたいのだ」
彼女はロシアが欧州へのガス供給を今後さらに削減すると予測しており、7月21日のノルドストリームの再開は一時的な救済だと述べた。
確かに、ヨーロッパは天然ガスの供給量削減に備えている。欧州委員会(EC)は7月20日、天然ガス消費量15%削減について提案したが、これはエネルギーの状況が悪化した場合に義務化される可能性が高い。
クロフトは、各国が天然ガスの配分について考えていることから、欧州が結束することは難しいだろうと付け加えた。
ギリシャ、スペイン、ポルトガルは15%削減に対してすでに懸念を表明しており、スペインは負担をそれほど重くするべきではないという考えを示しているという。
「ドイツがこの問題の矢面に立つことになる。ドイツでは消費者の50%が暖房に天然ガスを使用しているので、供給の割当について考えなければならないことになれば、ドイツにとっては大きな課題になるだろう」と彼女は指摘した。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)