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家計管理の初心者こそ知っておきたいお金の「70:20:10」ルール

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ほとんどの予算編成ガイドラインとは異なり、「70:20:10」ルールでは収入の一部を寄付に充てている。

miya227/Shutterstock

自分の収入をうまくやりくりするために、予算計画を立てることはとても効果的だ。しかし、お金の配分の仕方は無限にあるように思える。そこで、世の中にあふれている予算管理ガイドラインの1つに従ってみるのもいいかもしれない。

「山ほどのカテゴリーに分けて膨大な時間を費やす必要はない。もっと分かりやすく簡単に行う方法があるのだから」

そう話すのは、CFP®(認定フィナンシャルプランナー)の資格を持つファイナンス専門家でワンイレブン・ファイナンシャル・ウェルネス(OneEleven Financial Wellness)の創設者であるダニ・パスカレラ(Dani Pascarella)氏だ。

そうしたガイドラインのうち比較的新しいものとして、「70:20:10」ルールがある。これは将来的により詳細な予算を立てる上での土台にもなる。本記事では、このルールが自分に合うかどうか判断するために知るべきことのすべてを紹介しよう。

予算の「70:20:10」ルールとは?

「50:30:20」ルールなどの他の予算管理ガイドラインと同様、70:20:10ルールは大まかな予算配分の枠組みとして、ときに複雑なプロセスを単純化するものだ。70:20:10ルールでは税引き後の収入を3つのカテゴリーに分ける——毎月の支出、貯蓄、借金の返済と寄付である。

・収入の70%は欲しいものと必要なものに

たいていの予算管理法では、必要生活費とそれ以外の自由支出を別々のカテゴリーに分けるが、70:20:10ルールでは、その2つを1つにまとめてしまう。

必要なものと欲しいものを分ける境界線がないので、家賃や水道光熱費などの固定費がこのカテゴリーに占める割合を把握してから、それを差し引いてなお使える分の割合を算出するとよいだろう。

・20%は貯蓄と投資のために

70:20:10ルールのもとでは、収入の20%は消費に使わず投資や貯蓄に回す。まだ非常時用の蓄えを別にしていなければ専用の口座を開いてもいいし、高金利の預金口座に預けて複利効果を得るのも良いだろう。これによってどうしても必要なときに使えるお金ができるだけでなく、全体として収入も増える。

また、マッチング拠出などの年金制度ですでに税引き前所得を貯蓄している人もいるかもしれない。その場合、銀行口座に入る収入のうち貯蓄に回すべき額は減る。

参考までに:非常用の口座を作っておくことは、残りの10%の予算で返済すべき負債を減らすのにも特に役立つ。

・残りの10%は借金返済か寄付に

最後の10%は借金返済や寄付のために使う。借金の返済としてこのカテゴリーに入るのは、奨学金や医療費未払い金の繰り上げ返済など、すぐには返済期限の来ない負債に対するものである。一方、クレジットカード利用額の支払いや車のローン返済のように最低限の支払いは基本的に毎月の支出に含める。

ほとんどの予算管理ガイドラインが明確には使途に含めない「寄付」を入れているのが70:20:10ルールのユニークな特徴だ。ここに含まれるのは、支援するチャリティーや活動、教会・寺院や母校などへの寄付である。また、退職後の両親への援助でもいい。ピュー・リサーチ・センターが2018年に行った調査によると、世帯主でない成人の14%は、息子や娘が世帯主である家に同居している。

「70:20:10ルール」が自分に向いているかを知るには

シンプルな70:20:10ルールは主に予算を立て始めたばかりの人向けだとパスカレラ氏は言う。特に、予算管理について自ら積極的に学ぶしか方法がないとき、こうしたやり方は重要だ。

「ほとんどの学校ではパーソナルファイナンスを教えない。だからほとんどの人は、周りのみんなは分かっていると思ってしまい、自分はとんだバカだと感じてしまう」

後々はより洗練された予算計画を立てることが理想だが、「このようなシンプルなルールを作れば、初心者にとって分かりやすく、とりあえずやるべきことがあると感じられるので、良い出発点になる」

また、寄付の枠を設けている70:20:10ルールは社会的意識が高い人にとって魅力的でもある。しかし、他の人への寄付は自分が経済的に安定した状態ですべきだと助言する。

「自分が安定していると感じたら、そのときには『よし、次はどうやって他の人たちにお返しをして助けてあげようか』と思うべきだ。しかし、自分のコップが満たされていなければ周りの人に与えることはとても難しい」

70:20:10ルールの欠点

多くの予算管理ガイドラインと同様、70:20:10ルールにも欠点はある。

完璧に実行するのが難しい:いかなる予算計画においても貯蓄は重要だが、収入の30%を使わずにとっておくというのは、特に予算を立て始めたばかりの人にとってはかなりハードルが高いという。厳密な決まりというよりも努力目標としてこのルールを取り入れる人も多い。

「ローマは1日にして成らず。予算や貯蓄もすぐに完璧な計画が立つわけではない」

仕事と遊びを区別しない:前述のとおり、このルールに欲しいものと必要なものを分ける境界線はない。これによって予算計画は単純なものになってしまうが、収入のうち何%を好きなものに使えるか確認できることに意味があるという。

「自分で区別するのはとてもいいことだ。自分が決めた割合での支出を目にすることで、『一生懸命働いたなあ。そのおかげで楽しいことに使えるお金がここにあるんだ』という気持ちで予算を捉えられるからだ」

細かいニュアンスに欠ける:お金の管理には、70:20:10のような単純化されたルールではカバーしきれない細かい要素がある。特に借金返済の優先順位を考慮すべき場合も多く、収入の10%ではそのすべてを賄えないこともあるだろう。普通より利息の高い借金を抱えている人もいる。その場合、返済額を収入の10%にとどめて結局毎月負債が増えていくようでは意味がない。

70:20:10ルールが役立つのは、初心者向けの予算計画ガイドラインとしてであって、そのように利用されるべきだ。法律のように厳密に従うと逆効果にもなりかねず、予算管理そのものが嫌になってしまうかもしれない。

「1ドルでも多く稼げば、なりたい自分に1歩近づける。もし心からはそう感じないのなら、今の予算についてやるべきことがまだあるはずだ」

[原文:A beginner's guide on the 70-20-10 budgeting rule

(翻訳・長尾莉紗/LIBER、編集・長田真)

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