iPhone値上げ“最大27万円”時代の「かしこい買い方」「中古の売り時」

iPhoneを販売する量販店の掲示

7月23日、首都圏のある家電量販店にて

撮影:伊藤有

7月に入って、アップルはiPhone 13 Proなどスマホ製品を中心に一斉値上げした。なかでも、Proシリーズはキャリア版で最大27万円を超える価格になったことは、大きな注目を集めている。

7月28日からは、ドコモが普及向け機種iPhone SE(第3世代)の価格を最大約1万円値上げする。256GBモデルとはいえ、税込10万4500円(旧価格は9万4248円)と普及モデルが10万円を超えることになるのはインパクトが大きい。

この原稿では便宜上、9月に発売されるであろう新製品を「iPhone 14」と呼ぶが、例年どおりであれば、iPhone 14の価格設定は、7月に値上げとなったiPhone 13シリーズに近いものとなると見られる。

果たして、27万円時代にやってくるiPhone 14は、いつ、どこで、どのように買うのがいいのか。iPhoneを賢く購入する術を考えてみたい。

大手キャリアの端末購入プログラムの「欠点」

これから賢くiPhoneを乗り換えていくには「できるだけ安く購入」しつつ、「できるだけ高く買い取り業者に買い取ってもらう」という王道パターンしかない。古いiPhoneをいつまでも手元に置いておいても仕方ない。データはすべてiCloudなどのクラウドに上がっている。ならば、iPhoneは使い終わったら、すぐに下取りや買い取り業者に出してしまうのが賢明だ。

まず「できるだけ安く買う」だが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが扱うiPhoneは、アップルストアの価格よりも高いのが一般的だ。しかし、端末購入補助プログラムなど、決められた期間、利用したのち、返却することで、実質負担金額を抑えることができる。

※いわゆる1円レンタル端末などは、期間限定など一般的な存在ではないため、この記事では除外した

楽天モバイルで扱うiPhoneは、7月22日からキャンペーンによって割引され、4キャリアのなかで最安値、アップルで購入する金額と同等になっている。

いずれのキャリアも、通信契約と端末販売は分離されている。つまり、契約しているキャリアと、iPhoneを購入するキャリアは別であっても何ら問題ない。ただし、端末購入補助プログラムは24カ月や48カ月単位だったりと、「売り時」が難しい。

例えば端末購入プログラムでは、24カ月のあいだ分割払いを続け、25カ月目にキャリアに端末を返すか、そのまま使い続けるかの決断を迫られる。フットワーク軽く「いつでも次の機種に乗り換える」ということができないのが欠点と言えるのだ。

アップルストアで「できるだけ安く購入する」方法

首都圏のアップルストア

アップルストアで「できるだけ安く購入する」方法とは……。

撮影:伊藤有

そこで筆者がぜひおすすめしたいのが、アップルストアでの購入だ。3キャリアと比べてもアップルで売られているiPhoneが最も安い。

ただし、「単にアップルストアで売られているSIMフリー版を買ってはいけない」のがポイントだ。

iphone-3

撮影:伊藤有

実はNTTドコモ、au、ソフトバンクの契約者に対しては、iPhoneを8800円割引するというプログラムが存在する。

アップルのサイトでSIMフリー版を予約してリアル店舗で購入するのではなく、キャリアとの契約が紐付いたiPhoneを予約後、アップルストアのリアル店舗で買うと、それだけで8800円が割り引かれるのだ。

店頭ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、いずれかの契約状況を確認したり、契約上、機種変更の手続きが発生するため、時間がかかるのがやや手間なのだが、それでも8800円を割り引いてくれるのは、ありがたい。キャリアの分割払いなどは利用できないが、クレジットカードなど別の方法で分割を組むことはできる。

「キャリアとの契約が紐付いているということはSIMロックがかかっているのでは」という心配もあるが、総務省の意向により、現在、店頭で売られるスマートフォンにSIMロックはかかっていない。つまり、NTTドコモ、au、ソフトバンクの契約を紐付けたiPhoneを買っても、すぐにSIMフリーで利用できるというわけだ。

楽天モバイルや格安スマホを契約しているユーザーは対象外だし、また気軽にアップルストアに行くことができないユーザーも選択肢にはなりにくいのは確かだ。

しかし、NTTドコモ、au、ソフトバンク回線でiPhoneを使っているユーザーは試す価値は充分にあるだろう。

中古iPhoneの「買い取り価格」が上がっている

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首都圏のある中古スマホ取扱店にて。

撮影:伊藤有

新品のiPhoneが買いにくくなる中、「中古iPhone」ならば手が届きやすいのでは?と考える人もいるだろう

中古スマホを扱うニューズドテックによると、実は7月1日にアップルがiPhoneを値上げして以降、iPhoneの買い取り価格が上昇している。

同社が運営する買取サイト「みんなのすまほ買取」において、2月初旬と7月初旬の買取価格(Aランク)を比較すると、「iPhone13 256GB」は、7万7000円に対して9万1000円と1万4000円のアップ、実に18%も買い取り価格が上がっているのだ。

「みんなのすまほ」の買取査定中の画面。

「みんなのすまほ」の買取査定中の画面。

撮影:伊藤有

「iPhone 12 256GB」においても、6万5000円に対して7万1000円と6000円のアップ、「iPhone 11 256GB」は4万7000円に対して5万1000円と4000円のアップしたという。アップルの新品iPhoneの値上げは中古iPhoneにも波及していることになる。

ニューズドテックの粟津浜一社長によれば、買い取り価格高騰の背景には、アップルの値上げに加えて「中古のiPhoneを海外から仕入れられない状態が続いていることがある」と語る。国内での仕入れも競争が激化しており、買取価格が上がっているというのだ。

特にiPhone 13 ProやPro MAXなどのハイエンドモデルは、新品が高価格で販売台数も少ないことから、市場にあまり流通しておらず、結果として買取価格も高めに推移しているという。

中古のiPhoneは世界中で流通している。国内で売られているiPhoneは、国内で買い取られたものだけでなく、実は海外で販売されていたものが輸入されていることがあるし、またその逆で国内で流通していたiPhoneが海外に輸出されていることもある。

粟津社長は「円安傾向で海外から仕入れにくくなる一方で、海外に販売しやすくなる。最近は国内のiPhoneが海外に流出する傾向が強くなっている。日本で中古のiPhoneが欲しくても人が買えない人が出てきている。まさにiPhoneの空洞化が起きつつある」と語る。

つまり「中古だから安い」という訳では必ずしもなく、円安時代のこれからは「中古でも、そこそこ値が張る」という可能性が高くなっている。

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