ウォーレン・バフェット
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- バークシャー・ハサウェイは2022年、シェブロンとオキシデンタル・ペトロリアムに約270億ドルの投資を行っている。
- 同社のウォーレン・バフェットCEOは、長年にわたって何度も石油ビジネスについて論じてきた。
- ここでは、石油企業への投資に関するバフェットの洞察に満ちた8つの名言を紹介する。
著名投資家のウォーレン・バフェット(Warren Buffett)がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は2022年、石油ビジネスに深く入り込み、石油関連の2銘柄に推定270億ドル(約3兆6800億円)を投じた。
同社は、第1四半期に約170億ドル(約2兆3200億円)を投じてシェブロン(Chevron)の株を4倍に増やし、ポートフォリオの約8%を占めるようになった。また2月末以降、約100億ドル(約1兆4000億円)を投じてオキシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum)の株を買い増し、保有比率は19%を超えた。
バフェットは以前、石油産業について自身の見解を述べ、その莫大な投資の背景を説明した。彼は、石油企業への投資とは、時間とともに変動する原油価格に賭けることだと述べ、その期間における自らの実績は重視していない。また、発見・開発コストの重要性を強調し、100年以内に石油はよりクリーンなエネルギー源に取って代わられるだろうと予測している。
バフェットの石油に関する8つの名言
以下に紹介する名言は、簡潔にするために一部編集している。
- 「巨大な石油企業の株を購入する際、それがうまくいくかどうかは、かなりの場合、原油価格によって決まる。地質学的なホームランを飛ばすとか、大失敗をするとか、そういうことではない。原油価格に左右される投資なのだ」(2020)
- 「地球にたくさんのストローがさし込まれたが、原油には限りがある。だから、私が約束できそうなことは、原油はいずれもっと高く売れるということだ」(世界中に原油掘削装置や油田が大量にあり、原油の埋蔵量が減少していることへの言及) (2011)
- 「石油・ガス分野ではわずかに儲かったものの、そこで地位を確立したというわけではまったくない。今後、石油・ガス分野の株を買うことは、あまりないだろう。だが、これが最後の1株になるというわけでもない」(失敗に終ったコノコフィリップス(ConocoPhillips)とエクソン(Exxon)への投資に言及)(2015)
- 「もし我々が石油関連株を買うとしたら、その価格で多くの価値が得られると考えるからであり、原油価格が上がると考えているわけではない。もし、原油価格が上がると思えば、原油先物を買うことができるし、実際に買ったこともある」(バークシャーは1990年代半ばに約4600万バレルの原油デリバティブ取引を行った)(2007)
- 「原油が1バレル30ドルから60ドルになったとしても、石油企業の重役の報酬が増える理由は、この世に存在しないだろう。60ドルにしたのは彼らではない。彼らの管理下にある原油を発見するコストが安いのであれば、私はいくらでも金を出す。原油の品質が同じようなものだとして、その発見と開発を、1バレル6ドルでやる人は、10ドルでやる人よりもずっと価値がある」(2007)
- 「石油企業を保有しているとしたら、5年あるいは10年にわたって平均より低い単価で原油を発見し、開発するような経営陣が欲しい。その点では大手企業でもパフォーマンスに大きな差があるので、それをうまく成し遂げた人に報酬をあげたい。十分な報酬を渡すつもりだ。私のために富を生み出してくれたのだから」(2006)
- 「それ(原油)は世界の繁栄に多大な貢献をしてきた。しかし、世界は今後100年の間にこの特別な『恩恵』に依存しなくなるだろう。他にもフリーランチ(無料でもらえる物)があるはずだ」(原油がいつまで経済発展における重要な役割を果たし続けるのかについて言及)(2010)
- 「1バレルの石油を生産する人がどういうわけか、何か恐ろしいものだと考えられていたのは、それほど昔のことではない。とにかく、1日を1100万バレルの石油なしで過ごしてみて、翌日何が起きるのか試してみるといい。仮に(エネルギー源の)切り替えに挑戦して、それが実現した場合、3年後、5年後に何が起きるのかは誰にも分からない。それがうまくいく確率は極めて低い。今のところ、ほとんどの人がアメリカ国内に原油がないよりはあった方がいいと感じている」(2022)
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)