ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領。
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- ウクライナは欧米の大手金融機関の幹部を戦争犯罪で追求すると、ゼレンスキー大統領の顧問であるオレグ・ウステンコが述べている。
- 彼は、ロシアの石油を取り引きする企業への融資を止めるよう金融機関に要請した。
- ウステンコが7月26日にCNBCに語ったところによると、ウクライナは金融機関の情報を集めており、それを国際刑事裁判所に提供するつもりだという。
ウクライナは、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)、シティグループ(Citigroup)、およびその他の西側大手銀行の幹部に対し、ロシアへの間接的な資金提供に関する戦争犯罪の追及を進めている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領の経済アドバイザーを務めるオレグ・ウステンコ(Oleg Ustenko)は、2022年7月26日のCNBCでのインタビューでそう語った。
「ロシアがウクライナでウクライナ人に対して戦争犯罪を犯していることは間違いない」とウステンコは言う。
「ウクライナで残忍なことをしている戦争犯罪者に資金を提供する者も、戦争犯罪を犯していることになる」
7月初め、ウステンコはJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEO、シティグループとHSBCの幹部に対し、ロシアの石油を取引したり、ガスプロム(Gazprom)やロスネフチ(Rosneft)といったロシアの石油・ガス企業の株を販売したりする企業との関係を切るよう求める文書を送ったという。
ウステンコはCNBCのインタビューで、これらの金融機関について「我々は、企業というよりも、その経営陣を追求するつもりだ」と述べている。
「我々にはさまざまな選択肢がある。まず最初は間違いなく国際刑事裁判所(ICC)だ」
ウステンコによると、ウクライナの司法・治安当局は金融機関の活動に関する情報を収集しており、それらをICCに提供するつもりだという。
ICCには個人を訴追する権限はあるが、団体を訴追する権限はない。
ウステンコは金融機関幹部に宛てた文書の中で、これらの金融機関がウクライナでの戦争を「長引かせている」と非難したとフィナンシャル・タイムズが報じている。
また、JPモルガンのダイモンCEOに宛てた文書の中では、JPモルガンはロシアの石油を取引するVitolに融資しており、同行のロシア証券投資信託にはロスネフチ、ロシア貯蓄銀行(Sberbank)、ガスプロムの株が含まれていると記載されていたという。さらに、HSBCの資産運用部門もガスプロムとロスネフチに出資しており、シティグループはVitolとロシアのエネルギー大手ルクオイル(Lukoil)に信用供与していると文書には記されていたという。
InsiderはJPモルガン、HSBC、シティグループにコメントを要請したが、回答は得られていない。
シティグループはロシアでの事業を縮小したと述べ、JPモルガンは対ロシア制裁の実施に協力したと述べたとフィナンシャル・タイムズは報じている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)