ウォルマートの業績予測下方修正で米企業決算シーズンの幕が開けた。
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- アメリカ最大の小売業者、ウォルマートの株価は7月26日の通常取引時間中に8%下落した。
- ウォルマートはその前日、2023年の利益見通しを下方修正し、主な要因としてインフレを挙げた。
- 食品とガソリン価格の上昇は、消費者のその他の製品を購入を妨げている。
アメリカ最大の小売業者、ウォルマート(Walmart)が食品とガソリン価格の高騰を理由に利益予想を下方修正したため、同社の株価は2022年7月26日(現地時間)に8%以上下落した。これは、同社の株が11%以上下落した5月中旬以来、1日で最大の下落幅だ。
41年ぶりの高水準で推移するインフレがウォルマートの顧客の購買力を直撃しているため、同社は2023年の利益見通しを引き下げざるを得ず、1株当たり利益は約11%から13%低下する見込みだ。
同社によると、食料品など必需品の価格が上昇した結果、顧客は衣料品などへの支出を減らしたという。ウォルマートは7月25日に、買い物客を助け、在庫を減らすために、衣類を含む一般商品の価格を引き下げる可能性があると発表した。
ウォルマートのダグ・マクミラン(Doug McMillon)CEOはプレスリリースで、「食品と燃料のインフレが、顧客の消費行動に影響を与えている」と述べている。
インフレ率は1981年11月以来の上昇を見せ、6月には9.1%になった。また、政府の最新の消費者物価データによると、6月の食品価格は2021年から10%以上上昇している。このような急速な物価上昇は、ロシアによるウクライナ戦争を背景にした制裁やボイコットで世界市場、特にエネルギー分野が混乱し、原油価格が2021年のこの時期から40%以上跳ね上がったことによる。
アメリカ経済全体の指標とされるウォルマートが年内の悲観的な見通しを発表したことで、ターゲット(Target)、アマゾン(Amazon)、ノードストローム(Nordstrom)など他のアメリカ大手小売企業の株価が軒並み下落した。
OANDAのアナリスト、ジェフリー・ハレー(Jeffrey Halley)は「パンデミックに由来する成長幻想が維持できなければ、株式市場は非常に厳しい状況になる」と述べた。
[原文:Walmart plunges 8% after slashing its profit forecast over surging food and fuel prices]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)