Reuters
- アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は7月27日、基準金利を再び0.75%引き上げた。
- この引き上げはFRBの通常の引き上げ幅の3倍であり、インフレを抑制するための積極的な動きだといえる。
- 金利の上昇は、クレジットカードから住宅ローンまで、あらゆる種類の負債をより高価なものにする。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は2022年7月27日(現地時間)、インフレがますます加速する中、通常の3倍の利上げを再び行うことを決め、基準金利は0.75%引き上げられた。
アメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)は7月会合を終え、6月中旬に実施されたものと同じ、通常の3倍の利上げを実施した。基準金利は現在2.25%から2.50%の間にあり、FOMCが推定する景気刺激策でも景気抑制策でもない「中立的」な金利水準にほぼ合致している。0.75%の引き上げは1994年以来2度目で、高いインフレ率に対抗するFRBの積極的な姿勢を反映している。
FRBは声明で「FOMCはフェデラルファンド金利の誘導目標レンジを2.25-2.50%に引き上げること決定し、目標レンジを継続的に引き上げることが適切であると考えている」と述べた。
この引き上げは、FOMCの投票権を持つ12人のメンバーの全会一致で支持された。
今回の利上げは、6月に物価上昇率がさらに加速したことを示す政府のデータが発表されてから2週間後に行われた。消費者物価指数(注目すべきインフレの指標)は6月までの1年間で9.1%上昇し、1981年11月以来最も大きな上昇を記録した。この数字はエコノミストの予測を大きく上回っており、インフレを抑えることがいかに難しいかを物語っている。金利上昇は経済活動を鈍化させることでインフレを抑制することを目的としているが、その効果にはタイムラグがある。そのため、6月の利上げの効果が経済全体に波及するのは、早くても夏の終わり頃となりそうだ。
また、今回の決定はFRBがブレーキをしっかりと踏み続けるという金融市場の信頼を強固なものにした。投資家の予想は0.75%と1.0%の間で揺れ動いていたが、FRBは6月と同様、通常の3倍となる0.75%の利上げを行った。最近のFRBからのコメントは、投資家は経済の減速が速すぎることについて懸念を示していた1.0%の引き上げという予想を消し去っていた。
しかし、プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー(Seema Shah)は「FRBの0.75%の引き上げは、わずか4カ月間で、2015年から2018年の利上げサイクル全体と同程度の利上げを行ったことを意味する」と指摘している。
「これがここ数十年の中で最も積極的な利上げサイクルであることが急速に証明されつつある」
この「経済が減速するのではないか」という懸念は、今後数週間で増幅される可能性が高い。FOMCは、アメリカ商務省が第2四半期の経済成長率を発表するわずか1日前に開催された。エコノミストのほとんどは年率0.5%の経済成長を予想しているが、いくつかの予想では2四半期連続で経済が縮小していると見ている。GDPの2四半期連続のマイナスは、多くの人が景気後退の兆候と見なしているため、景気後退の懸念が強まるだろう。
また、GDP成長率が期待外れであれば、FRBはさらに圧力を受けることになる。すでにFRBはその速いペースの利上げに対して非難を浴びており、FRBがあまりにも早く需要を抑制しているので、回復の勢いを急速に削いでしまうと主張する人も多い。しかし、FRBのパウエル議長は、景気後退は避けられないという考えに反対しており、今回の記者会見でもその見通しを繰り返した。
「アメリカが景気後退に陥っているとは思っていない。業績の良い分野があまりにも多すぎるからだ」
FRBが今後数カ月、積極的に動く必要はないかもしれないという兆候はいくつかある。ガソリン価格の全国平均は6月中旬に記録した最高値からおよそ0.70ドル下がっており、2022年を通して家計を悩ませてきたエネルギーインフレが緩和されつつあることを示している。他の商品価格も同様に下落傾向にある。
これらの価格の下落が続くかどうかはまだ分からないが、FRBがインフレとの戦いを進める中で、自ら不況を招くことを回避できるという希望を与えるものだろう。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)