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目的を持って一時離職する「ミニリタイヤ」のススメ

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「ミニリタイアは、いったん立ち止まっていまの自分を振り返り、活力を取り戻すものだ」

AscentXmedia/Getty

  • ミニリタイアとは、通常数カ月から1年程度の期間で行われる計画的な離職のこと。
  • キャリアの途中で一度だけミニリタイヤする人もいれば、働いている間に何度も取得する人もいる。
  • ミニリタイアに向けての貯蓄は、考えているコストの1.5倍は最低考えておくと良い。

社会人になったその日から、退職の計画を立て始めるのは普通のことだ。確定拠出年金(401K)、年金積立、その他の投資貯蓄を問わず、働くことの主要な目的のひとつは、いつの日か働く必要がないほどに十分な貯蓄をすることにある。

しかし、仕事と退職を2つの大きな連続した時間として捉えるのではなく、人生の中盤の数十年間を通じて、2つを編み込んでいくとしたらどうだろう。まさに、これが「ミニリタイア」という考え方だ。

ミニリタイアとは何か?

イコータブルアドバイザー(Equitable Advisors)の公認ファイナンシャルプランナーで、退職プランニングの専門家であるジョディ・ディアゴスティーニ(Jody D'Agostini)氏は言う。

「ミニリタイアは、自らの意思により一時的に仕事から離れることで、必ずしも永久に引退するものではない」

長期有給休暇と同じく、ミニリタイアの期間は通常3カ月から1年ほどで、再就職する前に一定期間仕事から離れる機会を提供するものだ。

「ミニリタイアは、一旦立ち止まっていまの自分を振り返り、活力を取り戻すものだ」

ミニリタイア中は、旅行したり自宅から離れたりすることが多いが、無理にそうする必要もない。

タイミングや頻度も人によって全く異なる。キャリアの途中で一度だけする人もいれば、働いている間に何度も取得する人もいる。自分の状況に一番合ったやり方で構わない。

ミニリタイアという考え方は、ティモシー・フェリス氏の著書『週4時間』だけ働く(The 4-Hour Work Week)』(青志社)からきている。新型コロナの感染拡大で働き方ががらりと変わり、仕事や労働全般に対する考え方が大きく変化した。そうした中で、目的をもって一時的に仕事から離れるというアイデアが広まってきたのだ。

なぜミニリタイアするのか?

その絶対的な解はないが、よくある理由は次のようなものだ。

「ミニリタイアは自分のしたいことは何かじっくり考える良い機会」。そう話すのは、コバール・ウェルス・マネジメント(Kovar Wealth Management)の公認ファイナンシャルプランナー、テイラー・コバール(Taylor Kovar)氏だ。

彼は2016年に初めて9カ月間ミニリタイアしたのを皮切りに、その後3カ月間のミニリタイアを何度か経験している。ミニリタイアは燃え尽き症候群(バーンアウト)と戦い、自分や家族にとって最善の将来を考える方法でもあったという。

「ミニリタイアは単なるバケーションの延長ではない。自分や家族、そして精神的な健康を保つための手段そのものだ」

ミニリタイアは完全なリタイアに向けたリハーサルであり、退職までどう過ごしたいかを考える良い機会でもある。また、高齢になると難しくなる特定の経験を楽しむ方法にもなる。誰もが65歳まで元気で過ごせるわけではないから、生涯を仕事一色で終わらせないために、自分の自由を取り戻す方法にもなる。

では、ミニリタイアのためにいくら貯蓄すればいいか?

最低でも、働いていない間の生活費を賄えるだけは必要だ。だが、大半の専門家はそれ以上貯蓄することを勧める。

「考えているコストの1.5倍は貯蓄するようにアドバイスしている。就職や再就職先がうまくいかなったときのために、復職予定日から数カ月先の分も用意しておくと良いだろう」とコバール氏は言う。

ディアゴスティーニ氏は、「まずは予算を立てることが大事だ」とう。

住宅ローンから自動車ローン、奨学金に至るまで、今の生活のあらゆる側面を見直して、働かない間どうやって生活するかを決めるのだ。

その結果、家や自動車を売るとか、旅行に行くならそれらを貸すという判断をするかもしれない。仕事を休んでいる間に必要なお金だけでなく、「戻ってきた」ときの費用も確実に賄える計画が必要だ。

副業や在宅でのアルバイトは、予算の助けにはなるかもしれないが、ミニリタイアの目的は一時的に仕事から離れることなのでやりすぎは禁物だ。また、ミニリタイア中は堅実な予算を実行し、必要な限り貯金が持つよう頻繁にチェックする。

ヒント:最終的な退職に向けた貯蓄は投資口座で行うことが多いが、ミニリタイアでは必ずしもそうする必要はない。ミニリタイアのための投資先を決める際は、リスク許容度と時間軸を考えよう。

借金があってもミニリタイアできるか?

借金があるとミニリタイア計画は厄介かもしれないが、決して無理ではない。とはいえ、どういう借金かによって大きく異なる。金利が比較的低い住宅ローンや自動車ローンならば問題ないかもしれない。ミニリタイア中にそうした資産を貸すことができればなおさらだ。しかし、クレジットカードでの多額の借金やその他高金利の借金があるならば別だ。

「山ほど負債があって、辛うじて返済しているならば、資金繰りを改善する方が先だろう」と、コバール氏は言う。加えて、ディアゴスティーニ氏も次のように話す。「ミニリタイアでリフレッシュどころではなくなるだろうし、借金によって復職先も決まってしまうからだ」

ヒント:高金利の負債を抱えている場合でも、ミニリタイアは無理だとは思わないでほしい。借金の返済計画を立てて、ミニリタイアをそのモチベーションにしよう。

ミニリタイアをする際に他に考えることはあるか?

最も重要なのはファイナンシャルプランニングだが、それ以外にもいろいろ考えるべきことがある。

誰もが一時的なキャリアの中断を心配する。しかし、ディアゴスティーニ氏によれば、最近従業員にこうした機会を与える雇用主が増えている。ミニリタイアがこの先のキャリアにどう影響するかが心配ならば、復帰後の計画について上司と話し合ってみると良いだろう。

健康保険も重要だ。健康保険組合の任意継続は選択肢の1つかもしれない。それが難しいならば、国民健康保険の掛け金も予算に盛り込むことを勧める。また、前倒しで貯蓄すれば、実際にお金が必要になっても一定の蓄えがあるから安心してミニリタイアできる。

ミニリタイアは長期的なファイナンシャルプランニングにどんな影響を与えるか?

その答えは1つではない。年齢、貯蓄や投資の保有額、ミニリタイアの期間などさまざまな要因によって変わってくる。

だが有効な計画を立てなければ、老後の資金などその他のお金の目標に影響しかねないことは知っておいてほしい。自分の状況に合わせて、さまざまなシナリオが将来の状況にどう影響するか綿密に計画してくれるマネーのプロに相談するのも一手だろう。

「こうしたマネーのプロは、ファイナンシャルプランニング用のソフトウェアを使って複数のシナリオを作成する。それを手掛かりに、どの選択肢が最も妥当で、ミニリタイアに入る前や復帰時にどんな対策を取るべきかを判断できるだろう」と、ディアゴスティーニ氏は言う。

しかし、きちんと計画を立てれば、ミニリタイアは自分への投資になる。自分自身を見つめ直すことで、ミニリタイアから帰ってくる頃には、新しい目標や価値、物事に対する見方さえもがらっと変わっているかもしれない。

コバール氏は言う。

「ミニリタイア後、私のお金に対する考え方は変わった。だから私は公認ファイナンシャルプランナーになったのだ。ミニリタイアは自分への投資だと考えている」

[原文:A carefully planned mini-retirement can provide a remedy for burnout without derailing your financial goals

(翻訳・中山桂、編集・長田真)

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