撮影:伊藤有
2月に新型EVでの日本再進出を発表した韓国の大手自動車メーカー、Hyundai(ヒョンデ)が、横浜に初の直営アフターサービス拠点「Hyundai カスタマーエクスペリエンスセンター横浜」(CXC横浜)を開設する。正式オープンは7月30日。
ヒョンデは最廉価モデルで479万円のEV「IONIQ 5」の国内向け納車を6月から開始しており、その時期に合わせてオープンした形だ。
CXC横浜では、試乗、充電のほかカフェスペースも用意される。ヒョンデは7月29日に、同施設のプレオープンイベントを開催し、報道陣向けに公開した。
「世界初」の体験施設を横浜に作った理由
CXC横浜の外観。横浜市営地下鉄ブルーライン「北新横浜駅」から徒歩5分という、比較的好立地にある。
撮影:伊藤有
実はこのCXCという体験施設兼アフターサポート施設は、ヒョンデとして「世界初」のオープンになる。
世界初になった理由は、国内での販売形態と関係している。ヒョンデは、他国ではディーラー展開をしているのに対し、日本ではリアル店舗(ディーラー)を持たず、オンライン販売専業での再上陸となっている。
新型EV「IONIQ 5」は最も廉価なモデルでも479万円と、決して安くはない。そこで、購入相談や世界観を体験でき、アフターサポートも兼ねる拠点として、CXC横浜を新設した。
施設はショールーム、メンテナンスエリア、カフェ、納車スペースなどからなる。将来的には、車検自体をCXC横浜で受けられるようにしたいともヒョンデは説明する。
IONIQ 5の売れ行きは「初速が良い」
中央がイ・ジョンウク Hyundai Mobility Japan社長、右が加藤成昭 同マネージングダイレクター。
撮影:伊藤有
内覧会の質疑応答のなかで、気になる再進出後のセールスの状況を聞いてみた。
今、勢いに乗るEV分野とはいえ、日本市場で再度ブランド確立をしていくのは、そう簡単ではない。
Hyundai Mobility Japanの加藤成昭マネージングダイレクターは、初速は好調だと強調した。
「5月2日からオンライン注文をとって3カ月が経ったところ。台数的なところは申し上げられないが、全体の動きとしては非常に初速が良い。現在は5月に注文をいただいたお客様への納車を6月の終わりから開始し、8月中に終わるかというところ」(加藤氏)
注文客の構成については、「男性名義が97〜98%くらい」で、発売直後ということもあり、「(IONIQ 5の)一番上の『ラウンジ』グレードが、2駆と4駆モデルを合わせて9割ほど」で推移しているという。
購買年齢層は、現時点では30代〜50代だが、中には20代、60代もいるとした。
急速充電設備の一般開放、横浜以外のCXCの展開は?
一般家庭などに設置できるヒョンデ製のホームチャージャー。200V、6KWの出力。
撮影:伊藤有
再進出から間もないこともあり、現地では細かなサービス設計や設備については、「現在進行形で構築中」という印象も受ける。
たとえばメンテナンスエリア(EV専用の整備工場)の稼働は9月からを予定、また急速充電設備(ヒョンデFAST CHARGER)については、今秋を目処に課金システムの整備とともに案内していく方針と案内していた。
EV専用の整備工場になる、メンテナンスエリア。ガラスの向こうはショールーム。場合によってはバッテリーの着脱なども必要なため、一般の整備機材とは違う専用設備も入るという。
撮影:伊藤有
FAST CHARGERは充電ポートの形状が一般的なCHAdeMO方式と同様のため、課金システムが整えば一般開放も理論的には可能だ。ただ、現時点では「(一般開放は)社内で検討している」と言及するにとどめた。
CXCはまだ国内1店舗ができたばかりだが、この店舗だけで日本全国をカバーできるとは考えてはいないという。
購入してくれたユーザーを守る(アフターサポート)という意味でも今後、主要都市に展開したいとも言うが、具体的な計画は明かしていない。少なくとも当面は、1年程度をかけてCXC全体のオペレーションを完成させ、事業モデルができたら地域に展開していく考えだ。
最後に、写真でCXC横浜の設備を紹介していく。
CXC横浜の脇にある納車スペース。壁面はLEDディスプレイ張りで、納車を特別な体験にしてもらうような演出を意識している。
撮影:伊藤有
1階のエントランスを入ってすぐのスペース。3台の展示のほか、左手には2階のカフェに続く階段がある。
撮影:伊藤有
階段をのぼると……。
撮影:伊藤有
奥行きのある部屋につながっている。壁面のグッズ以外の商品は、実際にQRコードを読み込んで購入することもできる。基本的にヒョンデ独自の製品だという。
撮影:伊藤有
ペット関連グッズ。「Hyundaiが独自に提案する専用アクセサリー」という説明。
撮影:伊藤有
こうしたライフスタイル型のブランド提案は、他の高級自動車メーカーが近年取り入れている手法だ。
撮影:伊藤有
カフェスペース。CXC横浜向けにつくられた特別なドリンクなどを楽しめる。
撮影:伊藤有
基本的に車両の販売はオンラインだが、自動車ローンなどファイナンスプランの説明、オプション選びなどの相談にのるための商談スペースも用意されている。
撮影:伊藤有
納車スペースを外から。オンラインで購入後、デリバリー(配送)先にCXC横浜を選ぶと、ここで納車できる。
撮影:伊藤有
(文・伊藤有)