3DCP Group
- デンマークのスタートアップ、3DCPグループが、同社初となる3Dプリントのタイニーホームを建設し、5月に公開した。
- このコンクリート住宅の建設期間は5週間だが、COBODが開発したBOD2という大型3Dプリンターが稼働していたのは、わずか22時間だった。
- BOD2を使ってタイニーホームが建設される様子を見てみよう。完成した家は、世界の注目を集めている。
3Dプリントを駆使したいくつかの建築スタートアップが、旧態依然とした住宅建築を徐々に支配しつつある
3DCP Group
この先進技術のシーンに新たに加わったデンマークのスタートアップ、3DCPグループ(3DCP Group)が初めて手掛けたコンクリート製のタイニーホームに、世界から注目が集まっている。この住宅の壁はわずか22時間でプリントされた
3DCP Group
Source:Insider
「家をプリントする」というと未来的で実現できそうにもないコンセプトだと思うかもしれないが、推進派はこの技術で建設期間とコストを削減できると確信している
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また熱心な支持者は、3Dプリンターによって現在の住宅不足やアフォーダビリティ(買いやすさ)の危機が解決されるかもしれないと考えている
3DCP Group
Source:Insider
住宅建設は、もはや1年がかりのプロジェクトである必要はない
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今、住宅はより少ない建材と労働力を用いて、わずかな時間で建てることができる
3DCP Group
3DCPグループの共同設立者兼CEO、ミッケル・ブリッチ(Mikkel Brich)は3Dプリンターを用いることで今後10年以内に住宅価格が50%削減される可能性があると考えている
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これだけのメリットがあるのだから、3Dプリント建設技術がすでに広がりを見せているのも不思議ではない。3Dプリント建築会社アルキスト(Alquist)のザック・マンハイマー(Zack Mannheimer)CEOは、2027年までに従来の建築方法よりも多くの住宅が3Dプリント技術によって建設されるだろうと考えている
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Source:Insider
すでに世界各地に3Dプリントの建築物があり、プリンターがいかに早く、うまく建設できるかを証明している
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2022年3月には、テキサス州のスタートアップ、アイコン(Icon)が、ハードウェアや天候の問題があったにもかかわらず、同州オースティンで186平方メートルの高級住宅の壁を8日間でプリントした
Brittany Chang/Insider
Source:Insider
そのすぐ後に、非営利団体のシンキング・ハッツ(Thinking Huts)は、デンマークを拠点とするCOBODが開発したプリンター「BOD2」を使用して、マダガスカルの学校の壁を18時間でプリントした
BOTO Friddet
Source:Insider
この2つの大きなプロジェクトに続き、3DCPグループは同じBOD2プリンティングシステムを使って、最初のプロジェクトであり「コンセプトの証明」でもある37平方メートルの小さな家をデンマークに建設した
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Source:Insider
タイニーホームというと、高級住宅や学校の校舎ほどのインパクトはないかもしれない
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しかし、ブリッチによれば、このタイニーホームでは、いくつかもの革新的なことが行われたという
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この家の屋根は世界で初めて3Dプリンターによって造られており…
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…混合物ではなくコンクリートのみが使われたのも初めてだという
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3DCPグループはCOBODから3Dプリンターと従業員を借りて、この家の設計・施工期間を1カ月余りに抑えた
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約5週間という期間は、ゼロから家をつくるにはかなり短い時間だ
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納期に間に合わせるために、チームは1日18時間労働を余儀なくされた
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敷地内にCOBODプリンターを設置するのに8時間かかったと、ブリッチはInsiderに宛てたメールに記している
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そのうち4時間は、3Dプリンターの土台となる4つのコンクリートブロックを正確に設置することに費やされた
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しかし、プリンターが設置されると、タイニーホームのコンクリート壁は22時間で完成した
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ブリッチによると、もしデンマークの建築基準法の下でなければ、この時間は10時間まで短縮できたという
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3Dプリンターによる施工の効率の良さがうかがえる
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この印刷システムは、設計図の座標に応じてコンクリートをノズルから絞り出す配管付きの「絞り袋」のようなものだと考えるといいだろう
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精密な自動化システムを使用することで、オンデマンドで壁を造ることができる
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それは3Dプリントソフトにはある程度の柔軟性があるからで、実際に今回もプリントの途中で設計を見直し、間違った部分の修正やデザインの変更を行うことができた
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一気に駆け抜けた5週間と一連のテストを経て完成した住宅は、5月に一般公開された
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ブリッチが驚いたのは、アメリカ、シンガポール、オーストラリア、グアテマラなど、各国から注目されたということだ
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「我々は、魅力的な未来へと近づいている」と彼は言う。「これはほとんどSFの世界だ」
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そして「期待をはるかに超えた」タイニーホームに人々が魅了された理由も容易に理解できる、と付け加えた
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この建物は小さいかもしれないが、次世代の住宅建築を体現する役割を担っている
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3Dプリント住宅のトレードマークであるパイプが重なったような模様でカーブした壁を持つ住宅を見る機会はあまりない
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「車で通り過ぎながら見る分にはそれほど印象的に残らないが、建設業界と建設の未来にとっては非常に大きな飛躍だ」とブリッチは述べた
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[原文:See the huge 3D-printer that built the walls of a 400-square-foot concrete tiny home in 22 hours]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)