裕福な国は気候変動に対するアクションが遅いようだ。
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- ビル・マクガイアは新著で、壊滅的な気候変動を回避するためには遅すぎると述べている。
- 地球科学の教授である彼は、致命的な熱波と異常気象は始まりにすぎないと話している。
- 多くの気候学者は、公で話していることよりも将来を悲観しているという。
イギリスの気候学者によると、記録的な熱波や死者を出すような洪水、異常気象は始まりにすぎない。
ビル・マクガイア(Bill McGuire)は、2022年7月28日に出版された自身の新著『Hothouse Earth: An Inhabitant's Guide(温室になった地球:住民のためのガイド)』で、科学者たちの警告を何年も無視した結果、壊滅的な気候変動を回避するにはもう遅すぎると主張している。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの地球科学教授を務める彼は、2022年7月におけるイギリス全土での記録的な熱波や、ロンドン東部の住宅16棟が破壊された山火事を急速な気候変動の証拠であると指摘した。マクガイアは政府による二酸化炭素排出量削減の目標があるにも関わらず、気候は現在の異常な状態をさらに上回り始めるだろうと述べている。
「そして我々が2022年を生きていくうちに、別の世界が現れる」とマクガイアはガーディアンに語った。
「まもなく、我々の誰も知らないまったく違った世界になるだろう」
厳しい気候変動は回避できず、取り返しがつかないという彼の考えは、二酸化炭素排出量を削減することで深刻な影響はまだ回避できると信じる多くの科学者よりもずっと極端だ。
ビル・マクガイアにコメントを求めたが、まだ回答は得られていない。
彼によると、多くの気候学者は公の場で認めているよりも、将来についてずっと悲観的だという。マクガイアは気候変動へのアクションの虚しさを認めようとしない彼らを「気候宥和主義」と呼び、事態を悪化させているにすぎないと述べている。
マクガイアは、彼が現在の気候変動の流れを変えることはないと指摘するネットゼロの目標に集中する代わりに、我々は今後待ち受ける「温室の世界」に適応し、物理的な条件のさらなる悪化を止めるため、行動を起こし始める必要があると主張する。
「これは武装の呼びかけだ」とマクガイアはガーディアンに語った。
「もし、あなたが高速道路や石油精製所を封鎖したりする必要があると感じたら、そうしたらいい」
アメリカ上院民主党は、気候変動への取り組みとしてアメリカが行ってきた中で最も重要な行動となる法案について合意した。この法案には、2030年までに二酸化炭素排出量を40%削減し、エネルギーや気候プログラムに3690億ドル(約50兆円)を拠出することが盛り込まれている。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)