地球は、不規則な形状やその他の地質学的影響によって、地軸がわずかにぐらつくことがある。
NASA/JPL-Caltech
- 2022年6月29日は史上最も短い1日だった。
- これまでの記録より1.59ミリ秒短かった。
- 地球が完全な球体ではなく、地軸が「ぐらつく」ことがあるため、このようなことが起こった。
地球が史上最も短い1日を過ごした。これは地軸のぶれによるもので、24時間よりもわずかに短い時間で1回転した。TimeAndDate.comによると、2022年6月29日は、8万6400秒(24時間)より1.59ミリ秒短かったという。
ここ数十年、地球の自転は遅くなっており、1日がわずかに長くなってきている。だが、ここ数年間ではこの傾向は逆転し、1日が短くなってきている。
もし地球の回転が速くなれば、原子時計から初めて1秒差し引くことになるかもしれない。
地球は完璧ではない
地球がぐらつくのは珍しいことではない。我々に昼と夜を経験させる自転は、必ずしも北極と南極を結ぶ線である地軸に沿ったまま動いているわけではないのだ。
これは、地球が完全な球体ではないことが原因だ。地球は、赤道部分が膨らみ、北極と南極がわずかに潰れた楕円形をしている。また。月の重力や潮汐なども自転が乱れる原因になる。
チャンドラー・ウォブル
数学を専門とするレオニード・ゾトフ(Leonid Zotov)教授は、「チャンドラー・ウォブル(揺動)」と呼ばれる定期的な振動によって、地球は早く回転する可能性があると考えている。
この現象が発見されたのは1880年代後半のことで、天文学者のセス・カルロ・チャンドラー(Seth Carlo Chandler)が14カ月にわたって極がふらついたことに気づいた。
Telegraphによると、ウォブルは2000年代前半には減速しはじめ、2017年に記録的な最小値に達した。
そして2017年から2020年の間に「ウォブルは消えた」とゾトフはtimeanddate.comに語った。
timeanddate.comによるとゾトフはこの仮説をアジア・大洋州地球科学会で発表する予定だという。ただし、まだ論文の査読は終わっていない。
地球の揺動は、日常生活にあまり大きな影響はない。だが、原子時計でGPSや地球軌道を周回する衛星を管理するためには、この動きを把握することは重要だ。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)