米ソフトウェア大手オラクル(Oracle)のラリー・エリソン共同創業者兼会長。
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米ソフトウェア大手オラクル(Oracle)は、同社が「4本の柱」と位置づける(1)インフラ(2)セキュリティおよび開発者向けサービス(3)コアプラットフォーム(4)データおよび新規サービス、に経営資源を集中させるため、最重要のクラウド部門の再編を実施した。
Insiderが確認した社内メール2件によれば、技術運用・サポート部署を担当していた経営幹部もこの再編に合わせて退社する模様だ。
社内では「OCI」の略称で呼ばれる「オラクル・クラウド・インフラストラクチャ(Oracle Cloud Infrastructure)」は、同社の事業成長計画の多くに関わり中心的な役割を果たす部門。
同部門は、2023会計年度(2022年6月1日から)のスタートを機に「断片化しているOCIプラットフォームを結集させる」ことを目的として、社内のエンジニアチームを統合する組織再編を行った、と社内メール(送信日付は6月半ば)にはある。
メールの発信元はOCIを統括するエグゼクティブバイスプレジデントのクレイ・マグワイク。クラウド事業で競合するアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)でシニアエンジニアを6年間務めた人物だ。
さらに、チェ・ソク・エバンス最高情報責任者(CIO)を発信元とする最近(7月末)の社内メールでは、シニアバイスプレジデント(技術運用・サポート担当)のマット・ライアンザックが同日退社することが告知された。
ライアンザックの担当職務はバイスプレジデント(ソフトウェア開発およびパブリッククラウド担当)のドゥル・ボーデンが引き継ぐ。
内情に詳しい関係者によれば、ライアンザックはオンライン決済のストライプ(Stripe)に移籍する模様だ。
先述のようにエンジニアチームを結集し、OCIインフラストラクチャとコアサービスを統合する新たな組織は、シニアバイスプレジデント(OCI担当)のグレッグ・パブリックが統括する。直属の上司はエグゼクティブバイスプレジデントのマグワイク(前出)となる。
以下は今回の再編に伴う主要人事だ。
- シニアバイスプレジデント(プロダクト開発担当)のオファー・マイケルは、パブリックの担当だったPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス、アプリ開発者向けクラウドサービス)を引き継ぐ。直属の上司はマグワイク。
- シニアバイスプレジデント(OCIコンピューティング担当)のベブ・クレア、同(OCIストレージ・データマネジメント担当)キャメロン・バハール、同(OCIネットワーク製品担当)のヴァイタル・シロドカル、同(OCIデータセンターおよびマネージドクラウドサービス担当)のテッド・ウォレスはパブリックの直下に就く。
- ライアンザックに代わってボーデンが担当する運用・サポート部署はエバンスCIOの直下に、バイスプレジデント(リージョン構築担当)のベアトリーチェ・ウーもエバンスを直属の上司とする。
- バイスプレジデント(アイデンティティ担当)のヤッペ・ラーセンは、シニアバイスプレジデント(セキュリティおよび開発者プラットフォーム担当)のマヘシ・ティアガラジャンの直下に入る。これにより、アイデンティティ部署とセキュリティ部署は統合される。
- バイスプレジデント(ユーザーエクスペリエンス担当)のロブ・ニールセンは、同(ソフトウェア開発担当)のブライアン・ファインステインの直下に入る。
上記の人事から、オファー・マイケル、ドゥル・ボーデン、チェ・エバンス、グレッグ・パブリックの4人が昇進することが分かる。
今回退社するシニアバイスプレジデントのライアンザックは、リンクトイン(LinkedIn)のプロフィールによると、オラクルに6年間在籍。従業員1000人超が所属するOCIの技術運用・サポート部署を統括した。
OCIに所属する従業員は全部で1万500人、シニアバイスプレジデントは9人いて、その1人がライアンザックだった。
オラクルにコメントを求めたが拒否された。ライアンザックにもコメントを求めたが返答はなかった。
オラクルの匿名の現役従業員によれば、ライアンザックの退社は広告、営業、カスタマーエクスペリエンス、マーケティングクラウドの各部署でレイオフ(一時解雇)が行われる最中の発表になったものの、人員整理とは直接関係ないという。
また、オラクルの柱であるOCI事業でのレイオフは検討されていない模様だ。
(翻訳・編集:川村力)