アメリカのナンシー・ペロシ下院議長は2022年8月2日、台湾の台北に到着し、台湾のジョセフ・ウー外交部長(左)の出迎えを受けた。
Taiwan Ministry of Foreign Affairs via AP
- 中国政府からの再三の警告にもかかわらず、ナンシー・ペロシ下院議長は台湾に到着した。
- この訪問は、空港に集まったメディアを含む台湾の人々から非常に期待されていた。
- 取材陣の一人は、「珍しいポケモンを捕まえたような気分だった」と語った。
アメリカのナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は2022年8月2日、中国政府が報復の可能性があると警告する中、台湾の台北に到着した。
台北松山空港には、ペロシ議長の到着を見ようと大勢の人が集まり、その中の一人はニューヨーク・タイムズ(NYT)に、北京からいまだに中国領とみなされているこの国にとって、彼女の訪問は「歴史的瞬間」だと語った。
32歳のビデオグラファー、ヘンリー・チャン(Henry Chang)は、NYTに「珍しいポケモンを捕まえたような気分だった」と語った。彼は、下院議長の訪問によって引き起こされる軍事衝突の可能性には無関心だと付け加えた。
「戦争が起こるはずがないと思っている。すべての人の人生は続いていくんだ」
「この出来事は台湾の独立性を示している」と、53歳の会社経営者、ホアン・チャオヤン(Huang Chao-yuan)も同紙に語った。
台湾で最も高い超高層ビルの台北101には、ペロシを歓迎するメッセージが表示された。
台湾で最も高い建物で最も象徴的なランドマークである台北101は、今夜午後9時にライトアップされ、ペロシ議長の台湾訪問を歓迎した。
ペロシ議長はTwitterで、今回の訪問について「台湾の活力ある民主主義を支援するというアメリカの揺るぎない関与を示すものだ」と述べた。
我々の台湾訪問は、台湾の活力ある民主主義を支援するというアメリカの揺るぎない関与を示すものだ。
台湾の指導者との会談は、我々のパートナーへの支持を再確認し、自由で開かれたインド太平洋地域の推進を含む、我々の共通の利益を促進するものだ。
ペロシ議長の台湾訪問は、北京とワシントンの間の緊張が高まっている中で行われた。中国の世界における影響力が増大し続け、その軍事力がより高度になるにつれて、両者はますます対立するようになっている。
中国の好戦的なレトリックと警告にもかかわらず、なぜこの訪問を行ったのかについて、ペロシ議長はワシントン・ポストへの寄稿で、台湾訪問はアメリカ政府の民主主義への関与の重要な証であると述べている。
「中国共産党が台湾、そして民主主義そのものを脅かしているのを傍観することはできない」とペロシは言い、「まさに世界が独裁と民主主義の間の選択に直面している時に、我々はこの訪問を行っている。ロシアがウクライナに対して計画的かつ違法な戦争を行い、何千人もの罪のない人々(子どもまで)を殺している今、アメリカと同盟国が独裁者に決して屈しないことを明確にすることが肝要だ」と述べている。
中国政府は台湾を領土の一部とみなしており、この自治権を持つ民主主義国家に外国が関与することを問題視している。アメリカは台北と正式な外交関係を結んでいないが、これは1979年に北京と正式な外交関係を結んだことによるものだ。しかし、アメリカは台湾と貿易に関して強固な関係を維持しており、特に最大の兵器供与国でもある。北京政府は一貫して、アメリカに対して台湾への武器売却を中止するよう求めている。
中国は8月2日、ペロシ議長が台湾を訪問すれば、台湾周辺で実弾演習を行うと述べていた。
(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)