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15万円で「全ゲノム解析」。国内初、個人向けサービス開始のインパクトを考える

表紙

撮影:三ツ村崇志

遺伝子解析を手がけるジェネシスヘルスケアは8月1日、全ゲノムシーケンシング遺伝子検査キット「GeneLife WGS」の販売開始を発表した。DNAの約30億塩基対からなる全遺伝情報であるゲノム解析サービスを、日本で初めて個人向けに提供するというのだ。

価格は14万9900円(税込)。18歳未満は親権者の同意が必要となる。

遺伝子を調べて体質や疾患リスクが分かる —— 日本では10年ほど前から「遺伝子検査」や「遺伝子解析サービス」と呼ばれるサービスが登場している。インターネットやドラッグストアなどで購入した検査キットを使って、採取した唾液をもとに遺伝子を調べ、太りやすさや高血圧のなりやすさなどを判定するというものだ。

ジェネシスヘルスケアは、これまで累計130万件の解析を担い、衛生検査所としても登録されるなど実績を積んできた遺伝子解析サービス大手のひとつだ。

これまでの遺伝子検査と今回発表された「全ゲノムを調べる」新製品はどう違うのか。また、利用する際の注意点もあわせて紹介したい。

約6200疾患の解析結果をアプリで医師から説明する

ジェネシスヘルスケアのサービスの写真

ジェネシスヘルスケアでは、今回発表した全ゲノムを調べるサービスのほかにも、バリエーションの異なる遺伝子検査サービスを展開している。

撮影:島田祥輔

遺伝子は、私たちの身体の「設計図」とも言える情報であり、DNA上に存在する「塩基」※と呼ばれる成分の並び方によって決まっている。いわゆる「遺伝子検査」とは、この塩基の並び方を調べることを指す。

※DNAの構成要素の一つで、A・T・G・Cの4種類がある。4種類の塩基の並びは、ヒトという生物種では約30億あり、ほぼ共通している。しかし、約0.1%(300万〜1000万カ所)は個人によって異なり、遺伝的な個人差を生む要因になっている。

これまでの遺伝子検査は、調べる遺伝子の数と方法によって大きく2種類に分けられる。

一つは、新型コロナウイルスの検査でも知られるようになった「PCR」で調べる方法だ。

この方法は、ダイエットやスポーツトレーニングなどに関係があるとされる特定の遺伝子のタイプを調べる際に使われることが多い。費用は数千円程度だ。

もう一つは数万円かかるが、ゲノムの中でも個人差があるとされる場所のうち数十万カ所を一度に調べ、100種類を超える疾患リスクや体質、性格の傾向まで判定するというもの。

提出した遺伝子データは、利用者が同意すれば研究に活用される。特に数十万カ所を調べる検査は、遺伝子の新たな機能の発見や個人差の解明に活用されることもある。

GeneLife WGSの写真

ジェネシスヘルスケアが提供する「GeneLife WGS」でDNAを解析する、次世代シーケンサー。

撮影:三ツ村崇志

今回のジェネシスヘルスケアの新製品「GeneLife WGS」は、「次世代シーケンサー」という研究機関などでも使われる最先端のDNA解析機器を使うことで、ヒトのDNAに存在する約30億もの塩基対の「すべて」を調べる(シーケンシング)することができる。

今までの遺伝子検査で調べられていたのは、ゲノム全体の0.1%未満にしか過ぎないことを考えると、比べ物にならない規模というのが分かる。

商品名にある「WGS」とは「whole genome sequencing(全ゲノムシーケンシング)」という意味だ。

キットの写真

パッケージの中には、唾液を採取するための検査キットが入っている。

撮影:島田祥輔

検査自体は、専用のキットを使って唾液を採取するだけと、非常に簡単だ。採取した唾液が検査機関に届いてから、6〜8週間程度で結果が分かる。

「2003年に人類史上初めて全ゲノム解析に成功したとき、(解析が完了するまで)13年と30億ドルがかかりました。2022年の今は数週間で、スマートフォン1台分の価格で全ゲノム解析ができます」(ジェネシスヘルスケア執行役員プロダクト&イノベーション ミシェル・モベジャ)

とはいえ、30億塩基対にもおよぶ全ゲノムデータは、データ量でいうと2TBにもなる。情報量が膨大であることに加えて、ゲノムの(塩基対の)データをそのまま提供されても、多くの人にとってその意味を理解すること難しい。

そこで、GeneLife WGSでは、ゲノムを解析し、体質や性格の傾向など、予防やウェルネスに関する約360項目に加えて、遺伝子との関連が強い疾患約6200種類に対するリスクを解析する。解析対象には各種がんや心血管疾患、希少疾患などが含まれる。

この解析には、同社が独自に開発したAIが活用される。このAIには同社が研究用に保有している遺伝子データと疾患、生活習慣との関係が網羅的に分析(学習)されており、例えば、糖尿病とアルツハイマー病、気管支炎とリウマチとの関連性の強さなどをもとに、遺伝的に予測されるリスク(疾患)の予防に生かすとのことだ。

「AIは、これまで当社で解析した累計130万人以上(のうち研究利用に同意を得た利用者)のデータを使っています。利用者のアンケートと遺伝情報を組み合わせ、さらに医療機関と連携して患者の遺伝情報をAIの学習データとしています」(取締役副会長 佐藤バラン伊里氏)

なお、体質や予防・ウェルネスに関する情報とは異なり、(遺伝子検査の結果から予測される)特定の疾患に関する情報は、スマートフォンのアプリを介して医師のカウンセリングを通じて説明する。疾患リスクが非常に高い場合などは、しかるべき医療機関を紹介することもあるという。

キットの写真

キットを使って唾液を採取したあと、キャップを締めて郵送すればあとは結果を待つだけだ。

撮影:三ツ村崇志

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