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低価格スマホは新型「Pixel 6a」と「iPhone SE」どっちが買い? 5つのポイントで比較

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Pixel 6a(左)とiPhone SE(右)をチェックした。

撮影:中山智

世界的なインフレ傾向と円安により、各種製品の価格が上昇している。

アップルのiPhoneは7月に価格改定し、モデルごとに差はあるものの5000円から4万円の値上げとなったことは大いに話題になった。

そもそもスマートフォンの価格帯が全体的に上昇しており、各種調査をみても、中間価格帯のモデルが売れ筋となっているのが現在の状況だ。特にiPhoneシリーズでは「iPhone SE」が国内では人気で販売台数の上位にランクインしており、2021年秋に発売された「iPhone SE(第3世代)」も人気となっている。

この「iPhone SE人気」に待ったをかけられそうなAndroidスマートフォンとして、注目を集めているのが、グーグルの「Pixel 6a」だ。

注目される理由は価格と性能のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れている、ということに尽きる。

iPhone SEとPixel 6a、どちらを選ぶべきか。5つのポイントで比較してみた。

※この記事で紹介する「iPhone SE」は文脈上の断りがない場合、最新の第3世代モデルのことを指しています

1. 価格もリセールバリューも、実は同等

「Pixel 6a」はグーグルの直販モデルが5万3900円。さらに通信キャリアの販売モデルもKDDIは5万3270円となっており、グーグル直販モデルよりも630円安い値付けとなっている。

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Pixel 6aはグーグルの直販で5万3900円。

またソフトバンクでは、一括払いでの購入は6万7680円となっているが、直営店での割引販売を行っており、契約プランなどの条件が適用されると3万3864円、端末のみの購入でも5万5848円で購入可能だ。

さらに家電量販店などでは独自の割引販売も行っており、各種条件が適用されれば「実質1円」で24カ月利用できる形式で提供されているケースもあり、かなりオトクに購入できるモデルとなっている。

iPhone SEは一番安いストレージが64GBのモデルが6万2800円。Pixel 6aと同じ128GBのモデルは6万9800円。単純な価格差で言えばiPhone SEのほうが割高だ。

ただしiPhone SEもキャリア販売モデルでは、各種条件適用で割引販売があり、家電量販店の独自割引で「実質1円」として提供されているケースも多い。そのため、購入金額はほぼほぼ互角といったところだ。

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iPhone SEはアップル直販で6万2800円から。

Androidは「リセールバリュー(中古売却時の価格)が低い」というのが一般的だ。けれども、Pixelシリーズは中古市場でも人気が高く、ほかのAndroid端末よりリセールバリューが良い傾向がある。

スマートフォンの中古買取を行っている「じゃんぱら」で調べてみると、現在iPhone SE(第2世代)の買い取り価格は2万4000円程度(国内SIMフリー版64GB/発売時価格4万9820円)。iPhone SEは2年に1度のペースでモデルチェンジをしているため、比較対象として2モデル前のPixel 4aと比較するが、こちらは買い取り価格が2万3000円(国内SIMフリー版/発売時価格4万2900円)とほぼ同等。

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じゃんぱらでの買取価格。同じ世代にあたる機種でみると、ほぼ買取金額に差はない。

出典:じゃんぱら

というわけで購入価格やリセールバリューという点に関して言えば、「Pixel 6a」と「iPhone SE」でそこまで差はない。

2. ディスプレイサイズではPixel 6aが勝る

本体サイズは「Pixel 6a」が約71.8(W)×8.9(D)×152.2(H)mmで重量は178g。

iPhone SEは約67.3(W)×7.3(D)×138.4(H)mmで重量は約144gで、iPhone SEのほうがひとまわり小さく軽い。このコンパクトさがiPhone SEの人気の1つでもある。

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Pixel 6a(左)と比べて、iPhone SE(右)のほうがひとまわり小さい。

撮影:中山智

ただし、ディスプレイに関しては、iPhone SEはホームボタンを配置するといったデザインもあり、上下のベゼル幅が広く4.7インチと昨今のスマートフォンとしてはかなり小さめ。Pixel 6aは6.1インチと大型のため見やすい。

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ディスプレイサイズはかなり違う。また、実際に表示できる情報量にも差がある。

撮影:中山智

またパネルもPixel 6aは有機ELを採用しており、バックライトを使用するiPhone SEの液晶と比べて、装備の良さでは1段上の仕様と言える。またPixel 6aは解像度が1080×2400ドットで、画素密度は429ppiのため、iPhone SEの326ppi(750×1334ドット)よりも高精細だ。

画面の書き換え速度(リフレッシュレート)に関してはどちらも60Hzで同等だが、それ以外のディスプレイ性能ではPixel 6aが上回る。最近のウェブサービスやアプリは大型のディスプレイ向けのデザインになっているものも多く、画面は大きいほうが使いやすい。

画面サイズの点でまとめると、全体的なコンパクトさではiPhone SEだが、ディスプレイの性能や使い勝手を考えると、Pixel 6aのほうがバランスはいい。

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画面が大きい方が、ソフトウェアキーボードなども大きく表示され、入力しやすい

撮影:中山智

3. 上位モデルと同じプロセッサーになったPixel 6a

iPhone SE(第3世代)に搭載されているプロセッサーは「A15 Bionic」だ。これは「iPhone 13シリーズ」に搭載されているプロセッサーと同じ。つまり低価格モデルでもハイエンドモデルと同じ高性能なプロセッサーが使える。

一方のPixelシリーズでは、前モデルまでは低価格モデルにはクラスが下のプロセッサーを採用しており、いかにも「廉価版」という印象が強かった。ただし今回の「Pixel 6a」では、ハイエンドモデルの「Pixel 6/6 Pro」と同じ、グーグル独自の「Google Tensor」を採用する。

そのため「低価格モデルながら、ハイエンドモデルと同じプロセッサー」というコンセプトも、iPhone SEと同じになった。

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上位モデルと同じプロセッサー「Google Tensor」搭載をアピールするPixel 6a。

Google Tensorは、セキュリティー機能が強化されているほか、写真の不要な写りこみを消す「消しゴムマジック」など、高いAI性能を使った独自機能がハイエンドモデルと同じく利用できる。

iPhone SEがアップルの最新機能や性能が使えるのと同じように、Pixel 6aもグーグルの最新機能や性能が使えるというわけだ。

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「消しゴムマジック」機能を使ってみたところ。スマホ単体でも、こうした簡易レタッチができる。

撮影:中山智

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Pixel 6aには再生中の動画音声を日本語に翻訳する機能も搭載。

撮影:中山智

もちろん両モデルとも、ハイエンドモデルとまったく同じ基本性能というわけではない。たとえば、iPhone SEの「A15 Bionic」は「iPhone 13/13mni」と同じくGPUが「4コア」となっている(ProではGPUは5コア)。

Pixel 6aの「Google Tensor」に関して性能差は説明されていないが、メモリーは6GBでPixel 6(8GB)/6 Pro(12GB)と差がある。

ちなみにどちらも外部ストレージとしてmicroSDはセットできず、端末の内蔵ストレージに保存するのは同じ。iPhone SEは64GBと128GB、256GBの3モデルから選べるが、Pixel 6aは128GBの1モデルのみだ。

そのため写真や動画などを多く扱う場合は、256GBと大容量モデルのあるiPhone SEが使いやすい。

ただし、Pixel 6aは搭載しているUSB Type-C端子が「3.1 Gen 1」に対応しており、データの高速転送ができる。PCと接続してデータの管理をするときに、高速転送が可能だと重宝する。

また最近はType-C端子を搭載したUSBメモリーやストレージも低価格で販売されており、Pixel 6aに挿すだけで標準の「ファイル」アプリから、データのコピーや転送といった作業も行える。

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USB Type-C搭載なので、汎用性が高い。

撮影:中山智

iPhone SEはAirDrop機能を使うと、MacやiPad、ほかのiPhoneなどアップル製品同士のデータのやりとりが無線で済むので手軽だが、アップル製品以外とのデータのやりとりが意外と面倒だ。

そのあたりは、特にWindows PCを使っているユーザーには3.1 Gen 1に対応したUSB Type-Cを搭載しているPixel 6aのほうが、なにかと都合がいい。

4. カメラはデュアル仕様で超広角も撮れるPixel 6aが◎

カメラ機能は、Pixel 6aの背面カメラが広角(約1220万画素/F1.7)と超広角(約1200万画素/F2.2)というデュアル仕様に対して、iPhone SEは広角(約1200万画素/F1.8)のシングルカメラとなっている。

単純に比較すれば、カメラが超広角と広角のデュアル仕様であるPixel 6aのほうが、撮影できる画角の選択肢は広い。

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カメラはデュアルレンズのPixel 6aに対して、iPhone SEはシングルレンズ。

撮影:中山智

ただし、画質に関してはどちらも最近流行の「コンピュテーショナルフォトグラフィー」を取り入れており、ミスショットの少ないキレイな写真が撮影できる印象だ。

これはデジタルズームでも同じで、Pixel 6aでは7倍、iPhone SEでは5倍と実用的な範囲でのデジタルズームになっている。手ブレなどを抑えられて撮影すれば、どちらも精細な仕上がりになる。

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Pixel 6a等倍で設定などはオートの撮影。

撮影:中山智

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iPhone SE等倍で設定などはオートの撮影。色みのこってり感はiPhone SEの方があるが、好みのレベルだ。

撮影:中山智

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Pixel 6aでデジタルズーム最大7倍撮影。

撮影:中山智

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iPhone SEでデジタルズーム最大7倍撮影。

撮影:中山智

動画はどちらも4K/60fpsでの撮影が可能。またインカメラは、Pixel 6aが約800万画素/F2.0 に対して、iPhone SEは約700万画素/F2.2となっている。

5. 長く最新OSが使えるのはiPhone SE

スマートフォンの価格高騰もあり、購入した端末を長期間使用するユーザーも増えてきている。そのためOSのバージョンアップやセキュリティーアップデートの対応も気になるポイントだ。

Pixel 6aはAndroidバージョン アップデートの提供保証期限が2025年7月で、セキュリティーのアップデート提供期間は2027年7月となっている。Pixel 5a(5G)以前のモデルはセキュリティーのアップデート提供期間は3年までだったので、長期間の使用には不安があったが、Pixel 6からは5年となっているので安心だ。

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Pixel 6以降はセキュリティーアップデート提供期間が5年になった。

ただしOSのアップデートは3年までと従来から変わらないので、それ以降は最新バージョンのOSで追加される新機能などは利用できない。

一方のiPhone SEは決まったアップデート保証期間はないものの、サポートは比較的長期間であることが予想される。例えば、2016年に発売されたiPhone SE(第1世代)が2022年に提供予定の「iOS 16」は非対応で、その前のバージョンまでは適用可能だったことを考えると、OSを含めて5年ほどはアップデートできる可能性がある。

まとめると、Pixel 6aはセキュリティーアップデートが5年まで伸びたため、長期使用するだけなら問題ない。ただ、長期間最新OSを試したい場合は、iPhone SEのほうが長く使えそうだ。

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最新OSがいつまで適用できるかは、長期間使用するための基本ポイントだ。

撮影:中山智

画面の大きさとWindows連携ならPixel 6a

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手になじむサイズで画面も大きいため使い勝手がいい「Pixel 6a」。

撮影:中山智

以上5つのポイントから、「Pixel 6a」と「iPhone SE」を比較してみた。

どちらも甲乙つけがたい、普及クラスのモデルではあるものの、個人的にはディスプレイサイズ違いは大きい差だと感じる。iPhone SEのホームボタンを含めたディスプレイ面のデザインは、やはり「数世代前のスマホ」との印象が否めない。

最近のOSは、ボタンレスの大画面で使われることを前提にしてUIをデザインしている。その点に関しても「Pixel 6a」のほうが画面は大きく操作性の良さを感じられるシチュエーションは多いだろう。

(文・中山智

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