無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


アメリカ空軍の攻撃機A-10に「サメの歯」が描かれるようになった理由

※本記事は、2021年9月19日に掲載した記事の再掲です

飛行機の写真

サメの歯のノーズアートを施したA-10サンダーボルトII攻撃機。アフガニスタンのカンダハール飛行場で。

US Air Force

  • A-10サンダーボルトIIは、強力なアヴェンジャー機関砲を搭載することで知られている近接航空支援機だ。
  • しかしこの機体は、凶暴なノーズアート、特にサメの歯が描かれていることでも有名だ。
  • A-10のパイロットが、戦闘時のアートとしてサメの歯が描かれるようになった歴史について、Insiderに語った。

A-10サンダーボルトII(A-10 Thunderbolt II)には、普通のものもあれば、アメリカ空軍のある飛行隊長が「最高にクールなA-10」と呼ぶものもある。それは、狂暴なサメの歯の戦闘アートを施したものだと彼は言う。

「どのA-10にもサメの歯が描かれているわけではない。それはジョージア州のムーディ空軍基地の第23航空団だけのものだ」と、A-10の元パイロットで、第74戦闘飛行隊の司令官であるマシュー・シェリー(Matthew Shelly)中佐は、Insiderに語っている。サメの歯をつけて飛んでいるのは、ムーディ空軍基地の第23航空団の第74戦闘飛行隊と第75戦闘飛行隊、そして現在は予備軍に属する第76戦闘飛行隊だけだ。

「ノーズアートを施したA-10部隊は他にもあるが、それらはサメの顔ではない」

例えば、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地の予備軍、第442戦闘航空団では2015年に航空機の整備技術者が「我々の機体に牙がないのはなぜだ」と提案したことをきっかけに、A-10にイボイノシシの牙が描かれることになった。

飛行機の写真

79-123号機は、ミズーリ州ホワイトマン空軍基地・第442戦闘航空団のA-10サンダーボルトIIで初めて牙が描かれた機体だ。

US Air Force

象徴的なサメの歯のノーズアートは「フライングタイガース」の流れを汲む第23航空団の第74、75、76戦闘航空隊の独自のものだ。

誘導中の写真

2021年6月26日、ジョージア州ムーディ空軍基地で、第74航空機整備部隊専任クルーチーフが、第74戦闘飛行隊司令官のシェリー中佐を誘導している。

US Air Force photo by Staff Sgt. Melanie A. Bulow-Gonterman

P-40とフライングタイガース

第二次世界大戦は軍用機アートの黄金期とも言える時代だった。そのデザインのモチーフは、歯やピンナップガール、漫画のキャラクターなど多岐にわたった。

連合軍の地上攻撃機だったカーチスP-40(Curtiss P-40)のエアインテーク(空気流入口)は、サメの口を描くのに適した形をしていた。最初にサメの歯のノーズアートが施したのは、イギリス空軍のP-40トマホークだった。このデザインは後に、アメリカのP-40ウォーホークにも採用された。

アメリカにおけるサメのアートは「アメリカ義勇軍(American Volunteer Group)から始まった。この義勇軍は最終的には第23航空団になった」とシェリー中佐は言う。

飛行機の写真

2018年の航空ショーでのP-40ウォーホーク。アメリカ義勇軍(愛称「フライングタイガース」)の色に塗られている。

US Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen

クレア・シェンノート(Claire Chennault)が指揮を執ったアメリカ義勇軍は、「フライングタイガース」の愛称でより知られている。

中国における対日戦闘部隊として、アメリカが第二次世界大戦に参戦する前に活動を開始したこの義勇軍は、アメリカが日本に宣戦布告した直後に戦闘に参加した。

義勇軍は中国空軍に編成され、中華民国の旗の下で活動した。わずか1年の活動の後、解散したが、アメリカ空軍によるとその期間中、297機を撃墜したという。

彼らは、その活躍により伝説となった。「その活躍はP-40機とともにあった」とシェリーは言う。「第二次世界大戦のP-40の写真を見ると、ほぼすべてにサメの歯が描かれている」

飛行機の写真

2018年の航空ショーでのP-40ウォーホーク。

US Air Force photo by Master Sgt. Mark C. Olsen

アメリカ義勇軍が1942年夏に解散した後、アメリカ陸軍航空隊の第23追撃団として結成された第23航空団が、義勇軍の一部の士官、パイロット、整備士を受け入れ、その愛称と中国・ビルマ・インドの作戦地域での任務を引き継いだ。

第23航空団は第74・75・76戦闘飛行隊で構成された。これらはシェンノートが指揮した中国航空タスクフォース、後の第14空軍の構成部隊であった。

「それらの飛行隊は現在、ここムーディ空軍基地で活躍している」とシェリーは説明する。

「戦闘機に描かれたサメの歯の歴史は、第二次世界大戦中のアメリカ義勇軍にまで遡ることができる」

第74・75戦闘飛行隊は現在も第23航空団に属し、第76戦闘飛行隊は予備隊となっているが、いずれもムーディ空軍基地に所属するA-10飛行部隊で、緊密に連携している。

A-10サンダーボルトII攻撃機は「ウォートホッグ(Warthog)」の愛称で呼ばれる1970年代に導入された近接航空支援機だ。

A-10は、多くの機体に施された恐ろしげなノーズアートの他に、7つの砲身を持つ強力な30mmGAU-8アヴェンジャー機関砲と、それが発する雷鳴のような連射音でも知られている。

この機体は翼を持った空飛ぶ大砲だ。シェリーは最近、機関砲を発射したときの様子についてInsiderに語っている。「今まで飛行機でやってきたことの中で一番クールだった」(その詳細はこちら)。

[原文:Here's why these US Air Force A-10 attack aircraft rock fearsome shark teeth war paint

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み