モンブランを登る人。
Ac productions/Getty Images
- フランスのある町長は、アルプスの最高峰モンブランに挑む登山客は高額な保証金を支払うべきだと語った。
- 町長は、登山客の救助や葬儀にかかる費用をフランスの納税者が負担すべきではないと話している。
- モンブランをめぐっては、登山客に対して、危険な状況となっているルートを避けるよう呼びかけられている。
アルプスの最高峰モンブランに挑もうとする登山客は、救助や葬儀が必要になった場合に備えて1万5000ユーロ(約200万円)を払わなければならなくなるかもしれない。現地の町長が発表した。
フランス、サンジェルベレバンのジャンマルク・ペイエ(Jean-Marc Peillex)町長は8月3日、モンブランに挑む登山客に1万5000ユーロの支払いを求める計画を明らかにした。
この金額は救助にかかる平均的な費用(1万ユーロ)と葬儀にかかる平均的な費用(5000ユーロ)を足したものだと、ペイエ町長は話している。
ガーディアンによると、ペイエ町長は「人々は死を背負っても登りたいのだ」と語った。
「それならば、彼らを救助するのにかかる費用、埋葬するのにかかる費用を見込むべきだ。これらの費用をフランスの納税者が負担することは容認できない」
モンブランをめぐっては、大量の落石や、干ばつや熱波といったその他の危険な状況を受け、現地の登山ガイド会社がフランスの町から始まる登山ルートの使用を一時停止している。
ところが、登山ガイド会社の決定や現地当局の助言をよそに、何十人もの「エセ登山家たち」がそのルートを登ろうとし、「ロシアンルーレット」に興じていると、ペイエ町長は指摘した。最近では、ルーマニア人のグループが短パンとスニーカーでこのルートを登ろうとして、パトロールしていたヘリコプターがメガホンを使って引き返すよう伝えたこともあると、ペイエ町長は付け加えた。
一方、モンブランのイタリア側に位置するスキーの町の町長は、「山は所有物ではない」として、ペイエ町長の計画を却下した。
CNNによると、クールマイユールのロベルト・ロタ町長は「行政に携わる者として、わたしたちは次善のルートの状況を伝えることはできるものの、山頂に登るための保証金を求めることは現実的でない」とイタリアの『コリエーレ・デラ・セラ』に語った。
「道やルートを閉鎖する決定は、客観的な危険性がある時に下されるものだ」
準備不足の登山客が引き付けられている山はモンブランだけではない。アメリカのアラスカ州にあるデナリ国立公園の森林警備隊は、「アラスカ山脈では憂慮すべきほどの過信と経験不足」が見られるとInsiderに語っている。
(翻訳、編集:山口佳美)