会社員から年収数千万のTikTokerへ。とあるインフルエンサーの「堅実すぎる」財務戦略

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インテリアスタイリストのジュリー・ソウサ氏

Julie Sousa

  • インテリアスタイリストのジュリー・ソウサ(Julie Sousa)氏は、2020年10月に自身の生活空間を紹介する動画をTikTokで投稿し始めた。
  • 会社員としてマーケティングの仕事をしていた彼女は、副業の収入が給料の額に並ぶまでは会社を辞めなかった。
  • 2022年、彼女はすでにかつての給料を超える額の売り上げを上げており、今後さらに伸びる見込みだ。

ジュリー・ソウサ氏のインテリアスタイリストとしてのキャリアは、趣味から始まった。2020年10月、日中はマーケティングの仕事をしながら、TikTokで自身の生活空間のスタイリング術を紹介したり、建設中の自宅マンションの進捗状況を共有する動画の投稿を始めた彼女は、「ただの趣味でやっていたが、(2021年の)1月か2月頃から依頼が入り始めた」と当時を振り返る。

クリエイティブな発信に過ぎなかったものが、ほんの数カ月のうちにはるかに大きなものになった。彼女に自分の空間をスタイリングしてほしいという熱心な依頼人の長いリストができたうえに、パートナーを組んで彼女のTikTokやインスタグラムのコンテンツのスポンサーになりたいというブランドも数多く現れた。彼女とのビジネスを求めていたのは顧客や企業だけではない。彼女自身「じっとしていられなくなった」のだ。

ソウサ氏は日中の仕事を辞めて、インテリアスタイリスト、コンテンツクリエイターとしてフルタイムの事業主になり、自分の店を持ちたいと思うようになった。それでも、その願望だけでは会社員の世界から起業家へと転身するには十分ではなかった。

起業家への橋を築くには、戦略的、現実的な決断をする必要があった。そして何より、お金を整理する必要があった。

会社員の時の彼女の年俸は7万7000ドル(約1040万円)だった。インテリアスタイリストとして起業した最初の年、彼女はその倍以上の20万ドル超(約2700万円超)を稼ぐことができた。今年の年収はさらに上がる見込みだ。彼女の唯一の後悔は、もっと早く独立しなかったこと。具体的に何をしてこの転身を実現させたのか、ソウサ氏に話を聞いた。

1. 副業の収入が給与額に並ぶまで会社を辞めなかった

初めてインテリアスタイリングの依頼を受けた時、”これはビジネスとしてお金になる”と思ってすぐに会社を辞めることもできたが、ソウサ氏はそうはしなかった。「両方の収入が同じくらいになるまで待ちたかった」と語る。

独立という彼女の大きな決断は、無鉄砲な賭けではなかった。彼女はマーケティングの仕事を辞める前の時点ですでに新しい事業で会社の給与と同じ収入があることを把握していた。「安定した給料や、健康保険などの福利厚生があることに慣れ過ぎているから、それを失うのは本当に怖い。でも自分の事業ですでに給料と同じ額を稼いでいると分かっていたことがかなりの安心材料になった」とソウサ氏は語る。

ソウサ氏は当初からWixというプラットフォームを使い、ウェブ上で事業の宣伝や受注をしている。さまざまな角度から自分の売り上げデータを追跡することも可能だ。

「直近30日や直近7日分のデータも確認できるので、常に分析情報をチェックしている」と言う。彼女は自営業の所得は散発的になりがちなことを知り、ある期間ごとに特定の額を達成することを期待するのではなく、数週間や数カ月の平均で自分の事業の収益を分析することを覚えた。

十分なデータを集めるために、最低3カ月間の収益を分析することを彼女は他の起業家にも勧める。「そうすれば最低90日以内に改善ができる」という考え方だ。ソウサ氏は動画投稿を始めてから約5カ月後の2021年3月に、勤めていた会社に退職届を出した。

2. 独立当初はさらに注意深く収益を追跡した

ソウサ氏はフルタイムの会社員の仕事を正式に退職してから、自営業の収益をより細かくチェックするようになった。固定の給料が入らなくなったので、生活費やその他の出費の支払いに必要な額が入ってきているか、注視する必要があったからだ。

「新しいリズムに慣れなければいけなかっただけ」と言う彼女の目標は、会社員の頃の給料とずっと同じ額を稼ぐことではなく、この新しいお金の稼ぎ方に慣れながら徐々に売り上げを上げることだった。業績目標の設定については、「前月の売り上げが翌月の売り上げ目標」。目標を設定したら、それを達成するために1週間にいくらの売り上げが必要かを把握する。

「最初の数カ月は週単位で考えることで、大丈夫だと確信することができた」

3. 起業家所得をより良く管理するために複数の銀行口座を開設した

独立したソウサ氏は自分の事業で着実に会社員の時と同等の稼ぎを上げていたが、稼いだお金を管理する方法を変える必要があることにすぐに気が付いた。

彼女はまず、顧客やブランドからのすべての収益が入金される業務用の銀行口座を開設した。この体制のおかげで納税のための資金の確保が大幅にやりやすくなった。事前に所得税を源泉徴収してくれる雇用主がいなくなった今、納税は自分の責任なのだ。

納税用の資金の確保を楽にするため、ソウサ氏は業務用口座にある全額の40%を自動的によけて、使えるお金といずれなくなるお金を分けるようにしている。

「そのおかげで、いくら使えていくら使えないかが分かるようになった」

このようにお金を分けることは、ソウサ氏が会社員の頃から使っていた裏技だ。彼女は当時から、振り込まれたお金を”生活費”口座と”お小遣い”口座に分けていたという。現在は業務用口座がその役割を担っている。

4. 未知のことへの不安に邪魔させなかった

ソウサ氏は転職に関して戦略的だったが、実行に移す前にすべてを把握していなければいけないとは感じてはいなかった。もしそういう考え方をしていたら起業までもっと時間がかかっていたかもしれないし、予想利益を抑えてしまっていたかもしれない。

「まだ老後のお金のことも考えなければいけないし、それは私にとって未知の領域」

健康保険をどうするかも検討している最中という彼女は現状、米政府のCOBRA法で保証された制度を利用して、以前の雇用主から提供されていた保険に継続加入している。

老後のことと保険はソウサ氏にとって会社を辞める時の最大の懸念事項だったが、そのために情熱の追求を諦めることはなかった。結局のところ、しっかりした財政基盤ができていれば、そのような自営業ならではの要素はいずれどうにかなると分かっていたのだ。

「私の場合は財務がセーフティネットだった。結局、それが一番誰もが心配することだから」

[原文:A TikTok influencer making 6 figures styling interiors took 4 crucial steps before quitting her corporate job to go solo]

(翻訳・小森谷美江子、編集・長田真)

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