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メルカリ「成長鈍化」鮮明…山田進太郎CEO「マーケットは急激に変化している」:通期決算

山田進太郎氏

出典:メルカリ2022年6月期通期決算説明会より

「マーケットは急激に変化していると感じている」

メルカリの2022年6月期の通期決算の質疑のなかで、通期の受け止めを聞いたBusiness Insider Japanの質問に対し、山田進太郎社長はこう答えた。

メルカリは四半期ベースでは、この第4四半期に連結営業黒字となったが、通期では売上高約1470億円(会計方針変更を除外した場合、1248億円/前年比18%増)、営業損失37億円(前年は51億円の営業黒字)、最終損失75億円(同57億円の最終黒字)という赤字決算だった。

メルカリ事業を説明する江田清香CFO

メルカリの決算サマリーを説明する江田清香CFO。

出典:メルカリ2022年6月期通期決算説明会より

メルカリは過去にも「規律のある赤字」を公言した時期があったが、2022年以降の株式市場の変化は大きい。成長企業だとしても「赤字でもいい」とは言っていられないのが今の市況だ。

山田氏は、2022年以降の株式市場の変化について、Business Insider Japanの質問にこうコメントしている。

「コロナが戻ってきたことと同時に、インフレによって、経済が加熱していた状況も落ち着きが見えてきた。それから戦争。

それによってテック(銘柄)は株価を含めて大きな影響を受けていると思っている」(山田氏)

メルカリはこの6月、東証グロース市場から東証プライム市場へと市場変更した。東証再編後、初の市場変更と報道されたが、一方株価は振るわない状況が続いている。2022年初の6800円前後から比べると、直近8月8日の終値は2304円と、コロナ直後の2020年4月水準の株価に下がっている。

こうした状況の背景に、コロナ、インフレなどの急激な市場変化があると認識している、と山田氏がコメントした形だ。

メルカリの成長鈍化は「一時的」なのか

気がかりなのは、通期決算にメルカリJPの「成長鈍化」を感じさせる数字が並ぶことだ。

通期GMV(流通取引総額)の成長率は2021年6月期が25%増(その前年2020年6月期は28%増)だったのに対し、2022年6月期は12%増へと半減した。

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各年の決算説明資料をもとに、Business Insider Japan作成

MAU(月間アクティブユーザー)については、メルカリJPは前年同期比4%増の2040万人、前年2021年6月期が12%増(1954万人)、2020年6月期は29%増(1745万人)だったことをみると、MAUの成長率も鈍化を続けている。

メルカリUSの状況

メルカリUSの状況。

出典:メルカリ2022年6月期通期決算資料

メルカリは成長鈍化の状況を、決算短信のなかで「短期的なGMV成長率は鈍化」したと表現しているが、その要因として、コロナと共存する社会で、在宅時間が減少したことなどを挙げている。

懸念は、この成長鈍化が本当に短期的なものなのか、それともメルカリのビジネスが成長から成熟へと変化していることを示すものなのか、ということだ。

江田清香CFOは質疑のなかで、特に日本市場は「ポテンシャルのあるマーケットという認識は変わっていない」と説明した。

ただ、メルカリは来る2023年6月期の事業方針サマリーとして、「筋肉質でグローバルな事業基盤の構築」を挙げ、通期GMVは年成長率10〜15%と、2022年6月期並みの手堅い水準を掲げる。

FY2023-2

2023年6月期の事業方針サマリーでは通期成長率の復活を見込む(赤線は編集部によるもの)。

出典:メルカリ2022年6月期通期決算資料

在宅時間が2022年以降に大幅に増えるとも考えにくい以上、GMVの大幅増は何らかの積極施策とセットになるだろうから、当然とも言える。いずれにしても、ここから1年のGMV、売上高の成長がどう推移するかが、メルカリをめぐる注目ごとになることは間違いない。

2023年6月期を見据え、山田氏は見通しをこのように語った。

「非常に変化していくなかで、最悪の状況にも備えるということをしている。当然、(投資や収益に関する)考え方というのは大きく変わってきているし、これからも世の中の状況に対して柔軟に対応していく。

考え方として、必ずしも黒字を目指しているわけではないが、調達の状況や景気の状況が変わってくるなかで、中長期の成長を目指して、最大限の戦略をとっていきたい」

不正利用コストが少なくとも32億円超

メルカリの不正利用コスト

メルカリの不正利用コスト。

出典:メルカリ2022年6月期通期決算資料

なお、メルカリ通期決算の中では、不正利用にまつわるコストが下期(第3四半期、第4四半期)だけでそれぞれ16億円ずつ、合計で32億円の不正関連費用(クレジットカードの不正利用、メルペイのフィッシング)が発生していることも報告された。

メルカリJPの第4四半期単体の営業利益が63億円であることを思うと、メルカリJPと関連するクレジットカード不正コスト13億円というのは、インパクトのある数字だ。

なおメルカリは、不正対策の効果によって2023年6月期以降の不正利用の影響は減少する見通しを公表している。

(文・伊藤有

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