決済端末・サービスなどを提供するSquareは、実店舗決済において「PayPay」に対応する。
出典:Square
キャッシュレス決済端末とPOSレジアプリを展開するSquare(スクエア)※は8月9日、スマホ決済サービスの「PayPay」に対応した。
Squareは従来、クレジットカードの国際ブランド(Visa、Mastercard、JCBなど)に対応。日本では「Suica」や「PASMO」といった交通系IC、「iD」「QUICPay+」に対応してきた。
SquareがQRコード決済に対応するのは、PayPayが初だ。
※アメリカでは2021年12月に社名を「Square」から「Block」に変更していますが、日本法人は「Square株式会社」のままとなるため、本記事では社名をSquareとします
店舗端末にQRコードを表示、客が読み取る
ユーザー(客)側は会計時、店舗のタブレットやスマホ、Squareの独自ハードウェアに表示されたQRコードを読み取って決済する。
出典:Square
PayPayを含む、いわゆるQRコード決済サービスには一般的に2つの支払い方法が存在する。
1つは「店舗提示型」で、店頭に設置されたQRコードを客が自分のスマホで読み取る方法。もう1つは「ユーザー提示型」で、アプリの二次元コードを店員に見せて、店員がバーコードスキャナやカメラで読み取る方法だ。
今回のSquareによるPayPay対応は前者の「店舗提示型」だ。ただし、中小規模の店舗で見かけるシールや台紙で貼ってあるタイプとは異なる。
SquareのPayPayのコードは、Squareアプリの画面で会計の度に生成される。そのため、会計の金額情報が含まれており、ユーザーが入力する必要がない。
写真左から、決済・POS・プリンターが一体となった「Square Terminal」、対応iPadを差し込む「Square Stand(第2世代)」。
撮影:小林優多郎
なお、Squareと同じくモバイルPOS(mPOS)アプリで、リクルートが展開する「Airレジ」の決済サービス「Airペイ」でもPayPayに対応しているが、こちらは「ユーザー提示型」でiPhone/iPadのカメラで読み取る。
SquareもiPhoneやiPad/Android端末で利用できるため、同じ方法も実装できそうだが、同社独自端末の「Square Terminal」はそもそもカメラがなく、決済リーダー付きiPadスタンドの「Square Stand(第2世代)」はiPadの背面カメラをふさぐ形状をしている。
アプリ版と自社製ハードウェアの操作の共通性をたもつために、このような仕様にしたのではないかと筆者は予想している。
加盟店審査は別途必要、決済手数料は3.25%
Squareの加盟店の店頭イメージ。このような店舗がすべてPayPay加盟店になるわけではない。
撮影:小林優多郎
注意が必要なのは、現在のSquare加盟店がそのままPayPay加盟店になるわけではない点だ。
PayPay用の加盟店審査を別途申請し、パスする必要がある。Squareによると加盟店審査にかかる時間は最短で当日だという。
なお、決済手数料は毎度3.25%が発生する。これは、PayPayと直接加盟店契約を結んだ際の1.98%(ライトプラン未加入時)や、前述のAirペイの2.95%よりも高い。
3.25%という手数料はSquareの中では、JCBを除くVisaやMastercardなどのカード決済と交通系ICカード決済と同じではあるが、少しでも利益を確保したい加盟店は、PayPayとの直接契約を選ぶ可能性はある。
Squareの8月8日時点の決済手数料一覧。
出典:Square
加盟店側のメリットとしては、PayPayでの決済情報もSquareレジアプリの統計機能に含まれるようになるため、よりカンタンに売上の計算や分析が可能になる点が挙げられる。店頭にシールやQRコードの台座を増やすことなくPayPayに対応できる良さもある。
PayPayのユーザー数は4970万人(2022年8月7日時点)。日本最大級のスマホ決済サービスであることは間違いなく、「Squareの世界初対応となるQRコード」になったことは素直に驚くべき出来事だ。
Business Insider Japanでは、後日Square担当者にPayPay対応の経緯や狙いなどを取材し、詳細をお送りする。
(文・小林優多郎)