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- 作家・コラムニストのマルコム・グラッドウェルがポッドキャストで、リモートワークは労働者にとって「最善」ではないと述べた。
- そのことを社員に説明するリーダーの「能力のなさに苛立ちを覚える」と彼は続けた。
- しかし、彼の1日はソファーに座ってノートパソコンを広げることから始まり、「コーヒーショップで執筆することを生業としている」という。
カナダ人作家のマルコム・グラッドウェル(Malcolm Gladwell)は、ポッドキャスト「Diary of a CEO」に出演し、自宅で仕事をすることは労働者にとって「最善の利益」にはならないと述べた。
「パジャマを着たままベッドに座っているような、そんな仕事人生をあなたは送りたいだろうか」とグラッドウェルは語っている。
「職場に対する帰属意識を持ち、必要とされていると感じてほしい。だが、あなたがそこにいなければ、それを実現するのは本当に難しいことだ」
彼は「このことを従業員にうまく説明できない」ビジネスリーダーに「苛立ちを覚える」という。
グラッドウェルにとって、オフィス勤務に戻るということは、社員が物理的に一緒にいなかったときに失われた「帰属意識」を取り戻すことなのだ。
「あらゆる組織は社員をオフィス勤務に戻すという闘いに直面している。しかし、社員が帰属意識を持ち、必要とされていると感じてほしいという、その核となる心理的真実を説明することは本当に難しい」とグラッドウェルは述べている。
しかし、グラッドウェル自身は何年もオフィス以外の場所で仕事をしてきた。ソーシャルメディア上の多くの人がすぐにコメントでその事実を指摘した。
2020年のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿文で、彼は自らを「コーヒーショップで書くことを生業とする人」と呼び、一方で「コーヒーショップで書くような人はみんなに嫌われる」とも述べている。
2005年当時、グラッドウェルはガーディアンに自身の仕事場に関して「私は机が嫌いだ。机はもう追放した」と述べた。その代わり、彼の1日はソファーに座ってノートパソコンを広げることから始まり、仕事をするためにニューヨークのいろいろな場所を「転々と」していると語っていた。
ザ・ニューヨーカー編集部にある彼の仕事場は、そういった場所の1つではなかったようだ。2008年のニューヨーク・マガジンに掲載されたグラッドウェルを紹介する記事によると、彼は「ミッドタウン嫌い」を公言していることからザ・ニューヨーカーの編集者たちが彼を見かけることはほとんどなかったという。さらにザ・ニューヨーカー編集部はグラッドウェルがオフィスに来なくてもいいように「ファクトチェックのための資料を宅配便で受け取れる」ように配慮していたという。
グラッドウェルのリモートワークに対する現在の考えとは裏腹に、彼がかつて抱いていた「オフィスに戻りたくない」という感情の方に、多くの労働者が共感しているようだ。オフィスでのつながりよりも家族とのつながりが増えることを大事にしたいとネット上で主張する人もいる。
アマゾン(Amazon)やグーグル(Google)のように、労働者をオフィスに戻そうとする企業がある一方で、リモートワークを好む労働者は抵抗を示している。また、労働市場が逼迫する中、従業員が望まないのにオフィスに戻ることを要求して「大退職(The Great Resignation)」に追い込むようなリスクを避けたい雇用主もいる。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)