撮影:三ツ村崇志
東京工業大学と東京医科歯科大学は、8月9日、統合に向けた協議を開始することを正式に発表した。
東京工業大学と東京医科歯科大学は、同日、ほぼ同じ内容のプレスリリースを発表。(東京工業大学、東京医科歯科大学)
東京工業大学側のリリースによると、8月9日に開催された教職員向け説明会において、益一哉学長から説明があったとされている。
リリースでは、
「両法人が連携した際に、現在の日本の大学にはない新たな価値を創出できるかについての議論を両学長の下で重ねて参りました。その結果、それぞれの大学の重点分野・戦略分野をこれまでと変わらず強化することに加えて、両大学が立脚する自然科学の様々な分野を自由な発想で掛け合わせ、さらにそこに両大学が重視するリベラルアーツの発想も活かすことで、社会の課題解決に直接貢献する新たな学術分野を生み出せるとの確信を持つに至りました」
と統合に向けた協議を開始するに至った経緯が述べられている。
両大学のプレスリリースに、「最終決定は今後の両法人における協議に委ねられており、現時点では何も決定したことはありません」とある通り、現時点で統合が決定したわけではない。
具体的な協議の日程は開示されていないが、両大学は今後、それぞれの大学内の構成員の意見を聞きながら、「集中的に協議を進めて参ります」としている。
東京工業大学は、学生数約1万人(学部生・院生含む)、教職員約3500人(非常勤含む)の、日本トップの工業大学だ。対する東京医科歯科大学は、学生数約3000人(学部生・院生)、教職員約2900人(非常勤含む)の日本を代表する医療系の国立大学。どちらも、激しい国際競走の中で、日本の研究や人材育成の拠点としての役割を期待された指定国立大学である。実現すれば、指定国立大学法人同士の統合は初の事例となる。
なお、国立大学レベルでの統合は、東海地方における「岐阜大学と名古屋大学」、北海道の「小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学」、加えて、静岡県の「静岡大学と浜松医科大学」の事例など、2019年の国立大学法人法の改正以降、数年で増加している。
(文・三ツ村崇志)