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DAOは新しい形の「民主主義」を構築できるか? 推進派・懐疑派、それぞれの捉え方

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DAOに参加するには、仮想通貨のガバナンストークンが必要だ。これがあれば、DAOの提案承認プロセスに関わることができる。

Busakorn Pongparnit/Getty

  • 分散型自律組織(DAO)はコミュニティ主導による非階層型の組織で、さまざまな理由の下に集まることができる。
  • 一般的にDAOには組織のガバナンストークンを購入して参加する。ガバナンストークンはDAOが実行する活動を決定するための投票権として機能する。
  • 推進派はDAOがWeb3に必要不可欠なものになると主張しているが、その一方で懐疑派は不平等を助長しかねないと指摘している。

分散型自律組織(DAO)を後押ししているのが、社会の根底にある、現存の民主主義が機能していないという考えだ。その点、DAOではメンバーに組織の発展に直接関与する手段が与えられる。Web3のエコシステムにおける主要な構成要素として、DAOは大いに有望視されているが、同時に数々の批判にさらされてもいる。

DAOとは何か?

「DAO(decentralized autonomous organizationの略)」をそれぞれの言葉が持つ意味で考えてみよう。「分散型組織」であるDAOはコミュニティ主導で運営されている。理屈のうえではDAOには中央集権型の階層構造はない。

「自律組織」としてのDAOはオープンソースのブロックチェーンプロトコル上で運営されている。DAOを動かすのは、言うなれば会員証のような機能を持つガバナンストークンと呼ばれる仮想通貨だ。ガバナンストークンは組織の維持管理においても役割を果たしているが、この点については後述する。

現在の形のDAOは、似たような関心を持つ人々が中心的なリーダーを立てずに集まるための手段と考えていい。DAOの機能はコミュニティによって決まる。今ある大半のDAOの目的は投資や社会的な活動が中心だ。

ただし、分散型金融(DeFi)の多くの側面同様に、DAOは未来の組織のあり方として重視されている。そしてDAOの支持者の多くにとって、「未来の組織」は現在の民主主義を考え直すことで生み出される。

「議会制民主主義は、今私たちが直面しているさまざまな課題に正しく対処していない」と、DAOリーダーシップ(DAO Leadership)設立者のレベッカ・ラックマニー(Rebecca Rachmany)氏は語る。「DAOは、どうすれば海洋、地球、地球の健康など、私たちみんなに与えられたものを守るのにふさわしい、新しい形のガバナンス、新しい形の民主主義を構築できるのか、という発想から生まれたものだと思う」

DAOと従来型ガバナンスの比較

DAOと従来型ガバナンスの主な違いは、どんな方法で誰が意思決定を行うかにある。

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DAOの仕組み

DAOの運営方法の詳細は組織によって異なるが、DAOに参加するには一般的にその組織のガバナンストークンを購入しなければならない。トークンを保有することで、DAOの管理・運営、すなわちメンバーが提起した提案にかかわる意思決定に関与できる。

提案の数に制限はない。また、どのNFTを購入すべきか決める、あるいはパーティ会場を選ぶといった、DAOが取るべき行動に関する提案もあれば、DAOのコードやプロトコルの変更など、DAO自体の機能に関わる提案を提起することもできる。

小規模のDAOなら提案作成プロセスは比較的シンプルだ。だが規模が大きくなり、関与するメンバーが増えるにつれて、コミュニティが処理しなければならない提案が膨大な数に上る恐れがある。「投票疲れは大きな問題だ」と、ラックマニー氏は述べる。中にはメンバーの10%に投票させることができれば上出来というDAOもあるそうだ。

提案の数が増えすぎないようにするため、大規模なDAOは今後、案を提示するにはガバナンストークンを使うようメンバーに求めるか、参加費を課すようになるだろう。提案を行うのにトークンを使用しなければならなくなったら、提案作成者は承認を得るべく努力しようと考えるはずだ。

誰かが案を提示したら、コミュニティがそれについて投票を行う。メンバーが持つ投票権の数は保有するガバナンストークンの数に比例する。承認された提案はスマートコントラクトによって自動的に実行される。

DAOに参加するには

DAOに参加するのは比較的簡単だが、最初に必要なツールがいくつかある。

  1. 仮想通貨ウォレットを設定する:ほとんどのDAOはトークンまたはNFTの保有を加入条件にしているため、それらを保管する仮想通貨ウォレットが必要になる。ウォレットによっては特定の仮想通貨にしか対応していない場合があるので、参加を希望するDAOのトークンを購入できるかどうか必ず確認すること。
  2. DAOを検索する:前述したように、DAOのタイプは多種多様で、それぞれに独自の目的とコミュニティを持っている。DeepDAOはDAOの広範なリストのほか、メンバー数や最近の提案といった情報も公開している。
  3. DAOが定めた要件を満たす:大半のDAOは通常ガバナンストークンやNFTの購入といった要件を課してメンバーを集める。それに加えて申請手続きが決められているDAOもある。
  4. コミュニティに関与する:コミュニティがどうも自分に合わないと思ったら、トークンを売って最初の手順に戻る。

DAOのタイプ

DAOが設立される理由は山ほどあるが、その目的は多くの場合——100%とは言わないが——金銭的な利益だ。以下に現在活用されているDAOの例をいくつか挙げる。

プロトコルDAO:DAOの主な活用方法の一つ、プロトコルDAOは分散型プロトコルを運営する。例えば、MakerDAOは米ドルに連動するステーブルコイン、Daiを発行・管理している。

コレクターDAO:コレクターDAOの目的はNFTの取得だ。メンバーが共同で出資し、メンバーが選んだNFTを購入する。最も注目を集めるコレクターDAOと言えばPleasrDAOだろう。2021年にPleasrDAOは、政府のオークションでウータン・クランのアルバム『Once Upon a Time in Shaolin』を購入している。

また、コレクターDAOのConstitutionDAOはイーサリアムウォレットから4700万ドル(約63億円)を調達し、オークションで「合衆国憲法の初版」を競り落とそうと試みた。

ソーシャルDAO:どのDAOにも何らかの社会的側面があるが、中でも同じ興味を持つ人々を集めるというはっきりとした目的をもって作られるのがソーシャルDAOだ。

ほとんどのDAOはガバナンストークンの保有を義務づけているので、ソーシャルDAOはカントリークラブに近い形で始めることができる。例を挙げると、Friends with Benefitsはメンバー全員にFWBトークンを75枚購入するよう求めている。

また、よく知られているのがNFTコレクションBored Apeで、NFT保有者にBored Ape Yacht Clubディスコードチャンネルやメンバー限定イベントへのアクセスを付与している。

投資DAO:ベンチャーDAOとも呼ばれ、投資DAOのメンバーは共同出資し、ガバナンストークンを使ってその資金をどこにどのように投資するかに関して投票を実施する。損益は出資額に応じてすべてのメンバーに割り当てられる。

慈善活動DAO:このタイプのDAOは資金を集め、どの組織に寄付するかを全員で決定する、いわばコミュニティ主導の慈善団体の役割を果たしている。支援するDeFiプロジェクトを選ぶ寄付金DAOと同様の方法で管理・運営されている。

DAOに対する批判

DeFiやブロックチェーン技術と同じように、DAOにも批判の声が上がっている。際立っているのが、投票権がお金で買えるなら、コミュニティでいちばん潤沢な資金を持つメンバーに権力が集中する可能性があるので、非階層型であるはずのDAOの構造は破綻しているという指摘だ。

不平等を悪化させるまではいかなくても、DAOでなされる提案は必ずしも組織の最善の利益を考慮して承認されるわけではない。ラックマニー氏によれば、提案は往々にして人気コンテストと化し、投票結果は提案の内容ではなく提案を行った人物次第で決まるのだという。

こうした問題を解決するため、DAOのCordanaは提案を5段階で評価する専門家委員会を設けた。しかし、提案を評価する委員会を任命するという行為は、分散型組織の目的に反している。

前述の通り、DAOのコードはオープンソースなので、誰もが閲覧可能だ。つまり、その脆弱性につけ込む悪い連中も自由に利用できるわけだ。実際に事件も起きている。

2016年、投資ファンドの構築を目的としたDAO、The DAOがハッキングされたのだ。110億ドル(約1.4兆円)相当のイーサが盗まれ、イーサリアムはハードフォークによる分岐に追い込まれた。

その結果、ハッキングされた従来のバージョンがイーサリアムクラシック(ETC)となり、ハードフォークによって新しく生まれた、ハッキング前の状態に巻き戻されたブロックチェーンが現在イーサリアムと呼ばれている。

DAOの未来

DAOはWeb3のエコシステムで主要な役割を果たすとみなされている。DAOとWeb3の関係を理解するため、Webの歴史を振り返っておこう。Web 1.0では、ウェブページは静的HTMLによって作成されており、ユーザーはコンテンツと双方向のやりとりはできなかった。web 1.0は読み取り専用ウェブとも呼ばれている。

Web 2.0では、ユーザーはコンテンツを閲覧するだけでなく、コンテンツと双方向のやりとりをしながら読んだり書いたりできるようになった。これが現在私たちが利用しているウェブだ。最新のインターネットの形であるWeb3には、読む、書くのほかに所有という概念が加わった。

「Web3こそが、人々を共通の目的の下で連携させる組織構造をもつDAOが力を発揮する場所だ」と、許可不要のレイヤー1プロトコル、Celoの共同設立者レネ・レインズバーグ(Rene Reinsberg)氏は語る。

理論上、ガバナンストークンモデルによって、ユーザーがやり取りする企業の一部を所有することが可能になる。

[原文:Decentralized autonomous organizations (DAOs) are non-hierarchical communities operating on blockchain technology]

(翻訳・安藤貴子/LIBER、編集・長田真)

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