楽天は2022年度第2四半期決算を発表。説明会は楽天モバイルに関する現状説明や質問に集中した。
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楽天グループ(以下、楽天)は8月10日、2022年度第2四半期決算を発表した。
第2四半期までの累計業績(2022年1月1日〜6月30日)は、売上が前年比12.6%増となる8935億9800万円。純損失は1766億1700万円(前年同期770億8200万円)と損失額が拡大した。
0円終了で解約者は増加、ただし収益改善は進む
モバイル事業の四半期ごとの収益。
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損失の主な原因は以前から引き続き、モバイル事業における先行投資となる。
とはいえ、社長の三木谷浩史氏は8月10日のオンライン会見で「今年(2022年)第1四半期がボトムで、第2四半期は改善している」と、モバイル事業の収益化へ向けて順調である姿勢を示す。
実際、モバイル事業の営業利益は2022年度第1四半期が1350億4600万円の損失に対し、第2四半期は1242億8100万円の損失と、約108億円改善した。
9月以降には「最低料金0円」廃止の新プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」に、既存ユーザーも含めて完全移行する(10月利用分まではポイントバックで実質0円)。
さらに、自社ネットワークエリア拡大に伴いKDDIへのローミング費用も徐々に削減されるため、現状では見通しは明るいと言える。
三木谷浩史氏。
画像:筆者によるスクリーンショット
気になるのは、0円プラン廃止によりどのぐらいユーザーが離れていったか、という点だ。
楽天は4月にMVNO事業を除いた累計契約者数を「500万突破」と発表していたが、第2四半期(6月)末時点では477万と、約2カ月間で約23万の純減となっている。
これに対し、三木谷氏は5月の新プラン発表後、解約したユーザーのうち8割は、0円(月間データ利用量が1GB未満の)ユーザーだったことを明かした。
解約回線数の状況。
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契約者数減の主な要因は、明らかに新プランだと言える。ただ、三木谷氏は「ペイド(有料)ユーザーに入れ替わっている、コスト的にも利益にも圧倒的に違う」「(増えた解約率は)11月には戻る」と考えを示した。
なお、残り2割の解約要因は地方ユーザーが中心で、自社エリア外で月間5GBを超えると通信スピードが遅くなることだとし、「独自ネットワーク(エリア)の開設を急ぐ」(三木谷氏)とした。
国内EC事業は好調、ウクライナ危機がViberに影響
楽天グループの主要KPI。
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モバイル事業を除けば、楽天の主要事業は比較的好調だ。
主力の国内EC事業では、外出自粛も少なくなり経済活動が回復してきたことで、流通総額で前年同期比12.3%増となる1兆3150億円に達した。
西友と協業しているネットスーパー事業は2020年1月と2022年6月の流通額で比較すると80%増と、コロナ禍で生まれた需要を確実に捉えている。
また、大きな打撃を受けた「楽天トラベル」も、人の移動や県民割の実施により「(コロナ禍前の)ピークと比べても2.2%減まで回復」(三木谷氏)している。
Viber事業はウクライナ危機で売上が減少。
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一方で、パンデミックとは関係のない、世界状勢の影響があることが分かった。
主に影響を受けているのは、海外で主に人気を得ているコミュニケーションサービス「Viber(バイバー)」だ。
Viberは全世界でユニークID数が13億7700万に登り、三木谷氏は「大幅な黒字を見込んでいた」とするが、ロシアによるウクライナ侵攻により「両国での売上はほぼ見込めない状況」とし、2022年度第2四半期の同事業の売上は、前年同期比26.1%減となった。
(文・小林優多郎)