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「ボラティリティ」はリスク要素? 株価変動幅の読み解き方

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ボラティリティの高い銘柄ほど、価格変動が上下しやすい。

101cats/Getty Images

  • 投資におけるボラティリティとは、資産や市場の価格変化、特に通常の動きやベンチマークと比較した場合の変動を指す。
  • ボラティリティはパーセントで表されることも多い。ある銘柄のボラティリティが10%とされる場合、その銘柄の総価値は10%増えることも減ることもありうるという意味だ。この数値が高いほど株価の変動幅が大きいことを示す。
  • ボラティリティとリスクは同義ではないが、ボラティリティの高い資産は動きを予測しにくいため、高リスクと見なされることが多い。

あなたが投資について考えているなら、「ボラティリティ(Volatility)」という言葉をあちこちで耳にするのではないだろうか。

金融業界の外では、ボラティリティとは急激で予測不可能な変化の傾向を意味する。金融市場における定義にも大きな違いはないが、少し専門的にはなる。

市場におけるボラティリティの定義は、株の銘柄(あるいは他の各種資産)が特定のベンチマークやその銘柄の平均的なパフォーマンスからいかに乖離しうるかを示す統計的な指標である。簡単に言えば、株式などの金融資産の価格が突然動いたり大きく変化したりする可能性がどの程度あるかということだ。

当然とも言えるが、ボラティリティは投資におけるリスク要素の代表と見なされることも多い。ボラティリティが低ければ安全で良い結果が得られやすく、高いと危険なので結果が悪くなりかねないということだ。

自転車に乗るようなものだと考えてみよう。自転車を走らせるときに安全が保証されることは決してない。たまに少しよろめくくらいは普通のことで、通常はほとんど気にもしない。しかし、障害物を避けるため急に大きくハンドルを切れば、軌道修正が難しくなり、そのままバランスを崩して事故につながる可能性が高くなる。

くねった道や曲がり角の少ないルートもあるだろう。あらゆるルートのリスクを想定し、特に危険で険しい道順を綿密に描き出すことが、ボラティリティを評価し測定する方法である。

さらに、ボラティリティを理解すれば、いつ、どこで、どのように投資すべきかを決定するうえで役に立つ。

ボラティリティの種類

市場のボラティリティには以下の2つの種類がある。

  • 過去をさかのぼって観察するヒストリカル・ボラティリティ(Historical volatility)
  • 未来を予測するインプライド・ボラティリティ(Implied volatility)

ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は、その名の通り過去を振り返るものである。過去の一定期間におけるある銘柄の動きを観察し、価格がその銘柄の平均値からどれだけ乖離してきたかに注目して計算する。

ヒストリカル・ボラティリティが上昇していれば、その銘柄に何かが起きている、あるいは起きようとしていることが示唆されるため注意が必要だ。低下している場合は、正常化と安定化が進んでいることを意味する。

将来のボラティリティことインプライド・ボラティリティ(IV)はそれよりも複雑だ。これはオプション価格に基づいて将来的な資産の動きを予測するものである(オプションとは、特定の日以前に特定の価格で原資産を売買する権利[義務ではない]を買い手に与える契約)。

HVとIVはいずれもパーセンテージと標準偏差(+か-)の形で表される。例えばXYZ株の標準偏差が10%だとすると、その株の総価値は10%増えるか減る可能性があることを意味する。つまり、この数値が高いほど銘柄のボラティリティが高いということだ。

ボラティリティの予測法

インプライド・ボラティリティの計算においては、オプションの市場価格、原資産の価格(スポット価格)、権利行使価格、残存期間、無リスク金利という5つの指標を数式に当てはめる(下を参照)。それから逆算を行ない、銘柄の価値が将来どの程度変動するかを予測する指標であるインプライド・ボラティリティを求める。

例えば、同じような価格の2つの銘柄があり、それぞれのプット(売り)とコール(買い)のオプションを同じ残存期間で取得するとする。その場合、プットオプションの価格とコールオプションの価格も同じくらいになると思えるかもしれない。しかし、IVを考慮すればその予想は変わる。オプション価格の高い銘柄ほどインプライド・ボラティリティも高くなるのだ。

ブラックショールズ方程式

IVを求めるために前述した数式は「」と呼ばれる。株式市場のオプション価格を算出するために設計された数学的モデルであり、以下のように表される。

ブラックショールズ方程式を説明する画像

(訳)ボラティリティを求めるブラックショールズ方程式:C=コールオプション価格、S=原資産価格、K=権利行使価格、r=無リスク金利、t=残存期間、N=正規分布

Business Insider

インプライド・ボラティリティの概念を理解するためにこの数式のすべてを理解する必要はないが、6つの重要な要素の位置づけを知っておくと役に立つかもしれない。左端のCはコールオプション価格で、等号の右側には正規分布(N)、原資産価格(St)、権利行使価格(K)、無リスク金利(r)、残存期間(t)が入り、d1とd2を求める式の中にインプライド・ボラティリティ(σ[シグマ])が入る(上段の数式ではCを求めるので、σは逆算で求める必要がある)。

CBOEボラティリティ指数

よりマクロな視点でボラティリティを見るために、金融のプロはCBOEボラティリティ指数(VIX) に注目する。シカゴ・オプション取引所が作り出したこの指数は、株式市場の「恐怖指数」とも呼ばれる。今後30日間の市場のボラティリティ予測が表されるからだ(その数値をもとに12カ月先までの年間予想が示される)。

VIXの算出においては、株式市場全体を代表するベンチマークとして使われることも多いS&P500のプットオプションとコールオプションの価格に注目する。これらの数値を加重平均して数式に代入し、将来を予測するだけでなく投資家の心理状態も表すVIXを求める。

VIXが上昇しているときはボラティリティが上昇しており、市場が不安定化していることが多い。VIXが高いとき(30以上)は一般的に投資が難しいタイミングとされ、低いときは逆である(もちろん、他の投資家が市場から逃げているときに肝の据わった投資家が飛び込んできて儲ける瞬間でもある。トレーダーの間では「VIXが高いときこそ買いどきだ」とも言われるほどだ)。

ボラティリティとリスクは同義か?

これまでに説明した定義に基づけば、ボラティリティとリスクは同義語だと思われるかもしれない。しかし、実際は違う。

ボラティリティは将来の値動きを予測するもので、損失と利益の両方の意味を含むが、リスクは損失の予測のみを意味し、永遠に損失が続くというニュアンスもある。

もちろんこの2つの語は関連している。ボラティリティはリスクの軽減法を検討する際に役立つ要素だ。しかし、この2つを混同してしまうとあなたの投資ポートフォリオの収益力を著しく低下させかねない。

ボラティリティの原因は?

不確実性の指標であるボラティリティはあらゆる事象によって引き起こされる。まもなく裁判所が下す判決、企業のニュースリリース、選挙、気象システム、さらにはツイートなど、あらゆるものが一定期間の市場のボラティリティを招く。いかなる原資産においてもその価値が急激に変化すれば、あるいは変化する可能性があるだけでも、関連する市場にいくらかのボラティリティが生まれる。

市場にボラティリティが存在すると定義されるハードルは驚くほど低い。相場が持続的に1%以上上下していれば、厳密にはボラティリティが高い市場と見なされる。

とはいえ、株式のインプライド・ボラティリティは平均で約15%である。従って、IVが20%を超えるような資産への投資は慎重に判断しよう。

もちろん、価値とは常に上下するものなので、ある程度のインプライド・ボラティリティは予想される。しかし、変動がより顕著な市場セクターもある。例えば、2010年代におけるエネルギー株とコモディティ株のボラティリティはそれぞれ20.3%と18.6%だった(繰り返すが、平均は15%だ)。

また、ダウ平均が1日で22.6%下落した1987年の株式市場の大暴落のように、予測できない変動が起こる可能性は常に存在する。

まとめ

ボラティリティは本質的に悪いものではない。

トレーダーや、あるいはポートフォリオをもう少し細かく管理したいと考えている人にとって、ボラティリティの高い資産は可能性に満ちあふれている。インプライド・ボラティリティは株価が向かう方向を示しているわけではないからだ。つまり株価は下がる可能性もあれば、上がる可能性も同程度にあり、投資する者は思いがけない大金を手に入れるかもしれない。安く買って高く売ることに成功すれば、それはボラティリティの恩恵だ。

ボラティリティの高い資産にはもちろん注意が必要だが、長期保有を前提とした受動的な投資戦略にも適している。退職(など長期的なゴール)まで十分な時間があれば変動は平準化されるだろう。もちろん、退職間近だったりまもなく資産を現金化しようとしている人にとっては、ボラティリティの高い資産への投資は適さないかもしれない。投資による安定収入が欲しい人にも向かないだろう。

結局のところ、ボラティリティにモラル面の意味合いは含まれない。投資生活における事実にすぎないのだ。重要な点なので繰り返すが、インプライド・ボラティリティは予測でしかない。未来を見通すことは誰にもできないので、ある資産が実際にどのように動くかは決して分からないのである。

[原文:Volatility measures how dramatically stock prices change, and it can influence when, where, and how you invest

(翻訳・長尾莉紗/LIBER、編集・長田真)

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