ウクライナ侵攻以来、一気に身近な話題となった電気代の値上がり。
家庭の電気代(平均販売単価)はこの1年で2割以上も上昇し、販売を停止・撤退する新電力会社も増えている。
そうした中、料金が安く経営も安定、しかも実質再生可能エネルギー100%の電気を供給している新電力会社がある。
イギリス発の再エネ電力大手「オクトパスエナジー」だ。
環境価値の高いエネルギーをより安く
パソコンや家具、雑貨のような製品と違って、電気は目に見えないし、基本的には使用感の違いを比べることもできない。
例えば、電力会社をA社からB社に変えたら「冷房の効きが良くなった!」ということにはならないわけだ。
にもかかわらず、オクトパスエナジーは2016年の創業以来、急速に消費者の支持を集め、イギリスをはじめ8カ国で320万件以上の顧客を獲得。
日本でも、本格展開を始めた2022年1月から順調に販売量を伸ばし、2022年3月は前月比2倍強と急成長している。
なぜ、オクトパスエナジーが支持を広げているのか。
「再エネ電気に変えたいけれど電気代も節約したい」。筆者が、一消費者としてオクトパスエナジーに注目したきっかけは、同社が掲げるミッション「Cheaper and Greener(環境価値の高いエネルギーをより安く)」だった。
ただ、新電力に切り替えたはいいが、撤退したり料金が跳ね上がったりするかもしれないとヒヤヒヤするのはゴメンだ。
そんな感覚でしばらく躊躇していたが、2022年春、ついにオクトパスエナジーに切り替えた。その決め手になった理由をいくつか挙げていこう。
実質再エネ100%の料金プランが安い
沖縄を除く46都道府県で電気を供給しているオクトパスエナジーは、その全エリアで2種類の料金プランを提供している。
二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロになる実質再エネ100%の「グリーンオクトパス」と、通常の「スタンダードオクトパス」だ。
住んでいるエリアによって多少違いはあるものの、関東(東京電力エリア)では以下の料金を設定している。
関東(東京電力)エリアの料金表。
オクトパスエナジー公式サイトより作成
注目は、実質再エネ100%の料金プランのほうが通常のプランより安いこと。
「再エネの電気は高い」という常識を覆し、むしろ「再エネは安いというパラダイムシフトを起こす」ため、あえて挑戦的な価格を設定しているという。
「どれだけ安くなる?」がすぐ分かる
「料金表を見ても、月々の電気代がどれだけ安くなるのかサッパリ分からない」。そんな人は、今すぐオクトパスエナジーの公式サイトで料金シミュレーションを試してほしい。
複数の電力会社のサイトでシミュレーションを試した経験からすると、オクトパスエナジーのシミュレーションは斬新だ。
オクトパスエナジーに出会うまでは、やたら細かく入力させる割にはざっくりとした金額しか表示されなかったり、入力項目が多すぎる、どう入力していいか分からない項目があるといった理由で、途中で断念したりすることが多かった。
そうした「モヤモヤ感」が、オクトパスエナジーでは一切ない。
郵便番号、シミュレーションしたい月と実際の使用量、契約アンペア数(または契約容量)の4項目を入力するだけで、1円単位で結果を表示。実際の使用量が分からなくても、「少なめ/平均的/多め」というおおよそのイメージで計算することもできる。
1)トップページで郵便番号を入力
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
2)実際の使用量を入力/選択
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
3)見積りした結果はすぐに表示され、指定のメールアドレスに送信することもできる。
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
4)2種類の料金プランのうち、いずれかを選択
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
5)以降は、住所や支払い方法など個人情報を入力すれば完了
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
シンプルで簡単なシミュレーションは「感動モノ」(金額は、東京都渋谷区在住、7月の使用量が200kWh、契約電流30アンペアを入力した場合)。新電力会社サイトのシミュレーションで挫折した経験のある人はぜひ一度試してほしい。
消費者に信頼されるシンプルな説明
オクトパスエナジーの料金シミュレーションを通して実感するのは、難しい専門用語を使わず“素人”にも理解できる言葉で説明している点だ。
シミュレーション結果の金額に何が含まれているか、季節によって変動する電気代をどう見ればいいのかといった料金に関する説明。「グリーンオクトパス」がどんな燃料で発電された電気(電源構成)で、どのように実質再エネ100%を実現しているかといった環境性に関する背景。
ただ情報を提供するだけでなく、その情報がどんな意味合いを持っているのかをシンプルかつ明快に紹介する。それが消費者の信頼につながり、世界各国で支持を広げる要因の1つになっているに違いない。
1年で利益が1.5倍以上に拡大
信頼性という点では、経営状況も重要なポイントだ。
オクトパスエナジーは創業6年目の2021年、イギリスで5番目に大きな電力会社になった。
エネルギー価格の高騰を受け電力市場から撤退する企業が相次ぐなか、2021年の利益はグループ全体で前年比62%増加、単体でも57%増加している。
その理由には、安い料金プランや新規獲得のためのお得なキャンペーンを提供する一方で、「目先の利益を得るための無理な価格設定はせず、オクトパスエナジー自身も顧客もお互いにサステナブルな価格で提供する」(オクトパスエナジー)という堅実さも影響しているようだ。
オクトパスエナジーでは、それを「正直な価格」と呼んでいる。
また、日本に関しては、約140年の歴史を持つ日本最大のガス会社・東京ガスと合弁会社を設立して展開。東京ガスは家庭に供給する日本最大の新電力会社でもあり、また撤退する新電力が増えていることを考えると、信頼性という点で大きな安心材料と言えるだろう。
エネルギー業界に革命を起こすテック企業
最後にぜひ触れておきたいのが、オクトパスエナジーが、従来の電力会社にはない独自のテクノロジー・プラットフォームを持つ「テック企業」である点だ。
もちろん、オクトパスエナジー以外の電力会社も(国内外問わず)さまざまなITシステムを活用している。ただ、システムの構築や運用を外注している企業も多く、また顧客管理や料金計算、請求といった各システムを別々につくって組み合わせているのが一般的だ。
一方、「テック企業」であるオクトパスエナジーは、小売り事業に必要な全てのシステムをクラウド上で一体的に運用できるプラットフォーム「クラーケン」を自ら開発した。
自社開発・運用の最大のメリットはスピード感。数日もあれば新しい料金プランをつくれるという。
確かに、わずか半年で供給エリアを全国に拡大(沖縄を除く)しただけでなく、2022年8月には、電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)を持つ家庭を対象に、深夜2〜4時の電力量料金単価(※)がほぼ半額になる新しい料金プラン「EVオクトパス」を発表。まずはベータ版として関東での提供を開始した。
※電気の使用量(電力量)に応じて設定されている単価。EVオクトパスは深夜2〜4時が12.60円/kWh、それ以外の時間帯は25.80円/kWhとなっている(2022年8月現在)。
EV・PHVを持つ家庭向けの新料金プランも登場。
オクトパスエナジー公式サイトをキャプチャ
また、AI(機械学習)機能を搭載しているため、時間帯や季節によって最適な接客体制を予測したり接客履歴をウェブサイトの改善に生かしたりすることもできるという。
実際、初めて料金シミュレーションを試した2022年春に比べると、シミュレーションの方法や説明、レイアウトなど、“かゆいところに手が届く”という意味でずいぶん進化している印象を受けた。
ということで、切り替えの決め手になった理由を改めてまとめてみよう。
まずは、
- 実質再エネ100%の電気
- 低価格
- 経営の安定性
という3つの「サステナブル」要素を備えていること。
そして、
- シンプルで分かりやすいユーザーフレンドリーなウェブサイト
- 独自のテクノロジーで進化し続けていること
という「テック企業」ならではの“拡張性”だ。
エネルギー業界の常識を打ち破る「ディスラプター(革命児)」と言われるオクトパスエナジーが、さらにどんな進化を遂げるのか。ユーザーという一種の“中の人”として体験してみるのもオススメだ。
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(文・湯田陽子)