改造後の岸田内閣で旧統一教会との“接点”が相次ぎ明らかに。
REUTERS、首相官邸
新たに発足した第2次岸田改造内閣をめぐって、過去に何らかのかたちで世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との“接点”が閣僚らが相次いで明らかになっている。8月17日時点で、政務三役(大臣・副大臣・政務官)のうち少なくとも30人にのぼる。
祝電やメッセージの発出、会合やイベントへの出席、関係が深いとされる「世界日報」からの取材、選挙支援や応援演説、パーティー券の購入など接点の度合いはさまざまだ。
内閣改造にあたって岸田文雄首相は、自身を除く19閣僚のうち旧統一教会との関係を認めた閣僚を含む14人を交代させ、閣僚に対して教団との関係を点検・見直しを指示。松野博一官房長官は8月12日の記者会見で「副大臣や政務官に対しても同様のことを求め、了解した者のみを任命した」と説明した。
政府は8月15日、政務三役と旧統一教会との関係について「個人の政治活動に関するもので、調査を行う必要はない」とする答弁書を閣議決定している。
これまでに旧統一教会側との接点が確認された政務三役は以下の通り。
(※敬称略、8月17日現在)
大臣=8人
総務相:寺田稔(岸田派)*初入閣
入閣が決まった8月10日、2018年に開かれた旧統一教会関連の政治団体「国際勝共連合」に会合の会費として2万円を支払っていたことを明らかにした。
法相:葉梨康弘(岸田派)*初入閣
2008年頃、旧統一教会と関係が深いとされる「世界日報」が発行する月刊誌「ダイジェスト版世界日報 月刊ビューポイント」に自身のインタビュー記事が掲載されていたと8月15日の記者会見で明らかにした。葉梨氏は「メディアからの取材に対して、一つ一つそのメディアが一体何なのかということを、本当に調べなければ取材に応じることはできないんだろうか」「取材に応じたからといって、当該団体と関係があるとは認識していません」とも発言した。葉梨氏は元警察庁のキャリア官僚。
外相:林芳正(岸田派)*留任
2012年に旧統一教会と関係が深いとされる「世界日報」の取材を受けていたと8月10日の記者会見で明らかにした。林氏は8月2日午前の閣議後会見では旧統一教会との関係について「御指摘の団体(旧統一教会)とは、何ら関わりがない」と述べていた。
厚労相:加藤勝信(茂木派)*再入閣
自身が代表を務める自民党支部が2014年3月と16年3月、教団の友好団体「世界平和女性連合」に「会費」名目で1万5千円ずつ、計3万円を支出していた。また、自民党の総務会長時代に教団とつながりが深いとされる「世界日報」の取材を受けていた。
環境相:西村明宏(安倍派)*初入閣
8月10日の記者会見で、宮城県内での旧統一教会に関係するイベントで代表世話人を務めたことを認めた。ただし、イベントに出席したかどうかは確認できないとしている。
経済再生担当相:山際大志郎(麻生派)*留任
留任が決まった後、8月10日の記者会見で資金管理団体が2013年3月に旧統一教会の関連団体「平和大使協議会」に会費1万円を支払っていたことを認めた。また、関連団体のイベントに出席していたことも明らかにした。山際氏は8月15日の会見で、旧統一教会との関係について岸田首相は「認識していると私は理解している」と述べた。
地方創生担当相:岡田直樹(安倍派)*初入閣
旧統一教会の関連団体に「メッセージを出したり秘書が会合に出席していた」と8月10日、明らかにした。
経済安保担当相:高市早苗(無派閥)*再入閣
21年前に、旧統一教会と関係が深いとされる「世界日報」が発行する月刊誌に対談が掲載されていたことを8月10日の記者会見で認めた。高市氏は組閣前夜の8月9日、岸田首相から入閣要請の電話があった際に「21年前の掲載誌についても報告を致しました」と、事前に岸田氏に伝えていたことをTwitterで明かした。高市氏は「翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」とも綴った。
また、留任した官房副長官(政務)2人も接点を認めている。
官房副長官:木原誠二(岸田派)
地元秘書が旧統一教会の関係団体の会合に出席していたと、8月10日に松野官房長官が明らかにした。
官房副長官:磯崎仁彦(岸田派)
統一教会の関連団体が2021年8月に主催したサイクリングイベントの閉会式で来賓として出席していた。
副大臣
デジタル、内閣府:大串正樹(谷垣グループ)
旧統一教会の関連団体が2022年5月に6万円分のパーティー券を購入していた。また、関連団体のイベントにメッセージを送っていた。
内閣府:星野剛士(谷垣グループ)
昨秋の衆院選で、旧統一教会と関係があるボランティアに電話かけを手伝ってもらう支援を受けた。また、関連団体の集会に祝電を送ったこと、2014年の集会に秘書が代理出席していた。
内閣府:和田義明(安倍派)
2019年から3年連続で旧統一教会の関連団体に祝電を送っていた。「送ったのは事務所の担当者で自分は知らなかった」と説明。また、朝日新聞によると内閣府副大臣の昨秋の衆院選前に教団側から名簿を受け取る選挙支援を受けていた。
外務:山田賢司(麻生派)
2016年2月に旧統一教会の関連団体が関係する会合に出席。2018年4月には、旧統一教会の関連団体がパーティー券2枚、計4万円分を購入していた。
文部科学:井出庸生(麻生派)
過去に旧統一教会関連団体の催しにメッセージを送っていた。昨秋の衆院選の街頭演説で教団の関係者から応援を受けていた。
農林水産:野中厚(茂木派)
旧統一教会の関連団体の会合に出席していた。
経済産業、内閣府:中谷真一(茂木派)
4月、旧統一教会の関連団体が協賛するイベントに出席していた。
国土交通:豊田俊郎(麻生派)
旧統一教会が主催するイベントに来賓として出席し、挨拶していた。
国土交通、内閣府、復興:石井浩郎(茂木派)
旧統一教会の関連団体が秋田市で開いた会合に出席し、挨拶していた。
環境:山田美樹(安倍派)
今年6月、自民党の国会議員らが参加する旧統一教会関連の友好団体「日本・世界平和議員連合懇談会総会」に出席していた。
環境、内閣府:小林茂樹(二階派)
旧統一教会の関連団体によるイベントで、去年までの3年間にわたり実行委員長を務めていた。
政務官=12人
デジタル、内閣府:尾崎正直(二階派)
旧統一教会関連の会合に出席し、挨拶をしていた。
内閣府、復興:中野英幸(二階派)
旧統一教会関連の集会に複数回出席し、挨拶をしていた。
総務:国光文乃(岸田派)
旧統一教会関連団体の会合に祝電を送っていた。東京新聞の取材に対し、国光氏は「地元支援者から依頼があり、祝電を送ったことなどはある」と回答も、送付先の団体名・祝電の内容・時期などは明かさず。
総務:中川貴元(麻生派)
2021年12月、旧統一教会の関係団体が主催するフォーラムに参加していた。
法務:高見康裕(茂木派)
旧統一教会の関連団体が開いたフォーラムに出席していた。
外務:高木啓(安倍派)
旧統一教会の関連団体の会合に秘書が2回代理出席していた。
外務:吉川有美(安倍派)
旧統一教会の関連団体による行事に祝電を送っていた。
文部科学、復興:山本左近(麻生派)
2021年以降に計4回、旧統一教会の関連団体の会合に祝電を送っていた。
国土交通:古川康(茂木派)
2015~19年にかけて、旧統一教会の創設者・文鮮明氏が提唱した「日韓トンネル」の建設を推進する組織「日韓トンネル推進佐賀県会議」などに出席したり、祝電を送っていた。
国土交通:清水真人(二階派)
2020年に旧統一教会が後援するイベントに祝電を送っていた。
環境、内閣府:柳本顕(麻生派)
これまでに旧統一教会が関係する団体が開いた会合に、これまでに3回参加していた。
防衛、内閣府:木村次郎(安倍派)
旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」の会合に出席し、会費として2019年3月に1万5千円を支出していた。
(文・吉川慧)