米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長。その最近の発言は金融引き締めのペースダウンを示唆するものと受けとめる投資家もいる。
Carlos Barria/Reuters
米連邦準備制度理事会(FRB)の「ピボット(方針転換)」の可能性は、ここ数カ月間、投資家にとって数少ない希望の一つとなっている。
インフレ亢進の抑制を企図してFRBが利上げサイクルに着手して以来、株価市場では低迷が続き、投資家にとっては間違いなく厳しい状況だが、なかにはFRBが近いうちにハト派に転じるとの楽観的な見方もある。
パウエルFRB議長の発言も、投資家センチメントの改善に寄与している。
2回連続で0.75%の大幅利上げを決めた米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見(7月27日)で、議長は「(FRBは)不況を招き寄せようとしているわけではない」と発言。9月予定の次回会合では「そのときまでに得られるデータ次第で判断する」と、利上げ幅について明確な見通しを示さなかった。
このパウエル発言を、金融引き締めのペースダウンを示唆するものととらえた投資家も多く、相場は大きく持ち直した。
FOMC開催以降、S&P500種株価指数は約9%、ナスダック100指数は約11%の上昇幅となっている(8月17日終値)。
将来の利下げ期待が高まれば、株式相場の回復はさらに進む可能性が高い。
米銀大手バンク・オブ・アメリカ(Bank of America、バンカメ)のリサーチアナリスト、サラ・セナトーレ率いるチームは最近の調査レポートで、1年後にはFRBが利下げに踏み切るとの予測を披露している。
「FRBの利上げは需要を(潜在力より低い水準に)抑制するのが狙いです。複数の指標から個人消費の失速が見てとれるので、なるほど利上げはいまのところ有効に機能しているように思われます。
FRBが利上げから利下げに転じ、話題の中心が景気後退から回復に移れば、市場は上昇基調のサイクルに戻る展開に期待し始めるでしょう。
バンカメとしては、FRBが利下げに着手するのは2023年第3四半期(7〜9月)になると予想しています」
さらに、実際に利下げが始まれば、2022年に最悪のパフォーマンスを演じた銘柄のいくつかは持ち直すとバンカメのチームは予測する。
なかでも、(生活必需品ではないが、あると望ましいモノやサービスと位置づけられる)一般消費財セクターは市場全体に対してアウトパフォームする可能性が高いという。
「一般消費財セクターの銘柄は、利下げサイクル期間中に著しいアウトパフォーマンスが期待できます。過去のデータをもとに考えると、FRBによる最初の利下げから5~8カ月後に(株価上昇の)ピークを迎えるでしょう」
FRBの利下げを予想する投資家が増えるなか、今後の株価上昇を期待できるバンカメの推奨7銘柄は以下の通りだ。
スターバックス(Starbucks)
Markets Insider
[産業]外食[株価]87.93ドル[時価総額]1010億ドル
ルルレモン・アスレティカ(Lululemon Athletica)
Markets Insider
[産業]小売り[株価]319.51ドル[時価総額]409.3億ドル
ハーレー・ダビッドソン(Harley-Davidson)
Markets Insider
[産業]自動車(二輪)[株価]39.75ドル[時価総額]58.7億ドル
ホームデポ(The Home Depot)
Markets Insider
[産業]小売り[株価]313.00ドル[時価総額]3225.9億ドル
ロウズ・カンパニー(Lowe's Companies)
Markets Insider
[産業]小売り[株価]208.50ドル[時価総額]1311.7億ドル
フロア・アンド・デコア(Floor&Decor)
Markets Insider
[産業]小売り[株価]94.83ドル[時価総額]99.2億ドル
DRホートン(D.R. Horton)
Markets Insider
[産業]住宅建設[株価]79.84ドル[時価総額]276.1億ドル
(翻訳・編集:川村力)