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DeFi(分散型金融)は金融取引に革命を起こすか? そのメリット・デメリット

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全ての投資にはある程度のリスクが伴い、DeFiも例外ではない。

Alyssa Powell/Insider

  • 分散型金融(Decentralized finance)、略称「DeFi(ディーファイ)」は、特定の仲介者や管理主体を必要とせずに金融取引を可能にする金融システムで、主としてイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤に構築されている。
  • 一定の条件で取引を自動実行する「スマートコントラクト(smart contract)」というDeFiの機能によって、さまざまな金融取引が可能になる。
  • DeFiには誰でも利用できるさまざまな「分散型アプリケーション(dApps)」が数多くある。ただし、それにはリスクも伴う。

DeFiは暗号通貨世界の「ワイルドウエスト(米西部開拓時代の無法地帯)」と呼ばれてきた。規制されていない自律的な金融システムであり、金融取引の方法に革命を起こすと広く考えられている。

しかし、まだほとんど規制されていないだけに、既存の金融市場と異なって投資家保護の仕組みも整備されていない。リスクはあるが、DeFiは暗号通貨の投資家にとって、極めて刺激的で可能性に満ちた金融プラットフォームとなっている。

DeFiとは?

分散型金融(Decentralized finance)、略してDeFi(ディーファイ)は、パブリックブロックチェーン(多くの場合イーサリアム)上に構築されたグローバルな金融システムだ。

「『DeFi』とは分散型金融のことだ。一言で言えばセルフカストディ型(self-custody:保有する暗号資産を自分自身で管理・運用する方法)ファイナンスとなる。企業や銀行、ファンドが顧客のお金に責任を持つ既存の金融システムとは異なり、DeFiではユーザー以外は誰も資金にタッチできない」と、DeFiによる貯蓄プラットフォームであるムーバー(Mover)の共同創業者アントン・モズゴヴォイ(Anton Mozgovoy)氏は説明する。

成長著しい新技術のDeFiは、記事の後半で説明する「分散型アプリケーション(dApps)」と総称されるアプリケーションを創出することによって、暗号通貨を応用範囲の広いものにし、単なる通貨機能にとどまらない、豊富な用途を持つ先進的なシステムへと進化させる。

DeFiは、従来の金融システムの枠にとらわれない金融アプリケーションの提供を目指す起業家やイーサリアム開発者によって2018年に作られた造語だ。「逆らう」という意味の単語「defy」に意図的に似せた略称となっている。

DeFiの仕組み

かつて「オープンファイナンス(open finance)」と呼ばれていたDeFiは、金融取引における中間業者を排除するものだ。つまり、買い物をするときに銀行やクレジットカード発行会社が消費者と事業者間の決済を担うのではなく、各個人がデジタル通貨の管理権を持って直接支払いに利用できる。DeFiは、ビットコインに次いで有力な暗号通貨であるイーサリアムが主な基盤となっている。

DeFiの主な特徴は以下の通りだ。

  • 中間業者がいないため、銀行など金融機関にお金を管理されない。
  • スマートコントラクトのコードは公開されており、透明性が高い。
  • 国境を越えたオープンなネットワークである。
  • イーサリアムを基盤とするユーザー用アプリケーションが豊富に提供されている。

DeFiは暗号通貨の話題として取り上げられることが多いが、暗号を利用した新たなデジタル通貨やユーザーメリットを創出するだけのものではない。スマートコントラクト機能によって、既存の金融システムの代替手段にもなるのだ。

「DeFiではコンピューターコードで全てが決まる。スマートコントラクトと呼ばれる仕組みによって、ユーザーの資金は様々な機能を実行するようにプログラム化されるのだ。コンピュータとインターネット接続さえあれば、誰でも国籍や居住地に関係なく世界経済に直接関われる、素晴らしいチャンスを手にできる」とモズゴヴォイ氏は語る。

DeFiの最も魅力的なところの1つは、多くの金融取引に付き物の参入障壁をなくすことだ。政府や企業にお金を管理されることがなくなり、特定の金融商品を利用するための資格審査も不要になる。

既存の金融システムでは、ローンを申し込んでも信用審査の結果によっては断られることがあるし、銀行や証券会社に口座を開設すると、口座の運営企業にお金を管理される。

DeFiのスマートコントラクトでは、一定の条件が満たされるとそれに応じた金融取引が実行される。スマートコントラクトは借り入れや貸し付けといった機能を実行し、取引条件は文字通りコードに書かれている。それによって取引が便利で効率的になるが、修正不可能なエラーが発生しやすくなる可能性もある。

スマートコントラクト機能とイーサリアムのアプリケーション作成機能を組み合わせたDeFiの用途には以下のようなものがある。

  • 暗号通貨の貸借サービスである「レンディング (lending)」を提供するピアツーピアのネットワーク。
  • ある種類の通貨を別の種類の通貨に交換できる「分散型取引所(decentralized exchanges)」。例えば、イーサリアムの通貨「イーサ(ether)」と米ドルを交換することができる。
  • 特定の出来事の結果に賭けをする「ベッティング(betting)」。
  • 米ドルなどの法定通貨とレートを連動させることによって暗号通貨のボラティリティ(価格変動率)を抑え、価値を安定させる「ステーブルコイン(stablecoins)」。

DeFiの主な構成要素

DeFiには独自の機能を備えた各種の「ビルディングブロック(building blocks)」モジュールがあり、それによるソフトウェアの層が積み重なった階層構造となっている。ソフトウェアの階層同士が連携してDeFiと関連するアプリケーションを作り出し、さまざまな方法でユーザーにサービスを提供する仕組みだ。どれか1つのソフトウェア層が機能しないと、それによって他の層も機能しなくなる。

DeFiを構成する5つの階層は以下の通りだ。

  1. セトルメント層(The settlement layer):ブロックチェーンとネイティブアセット(例:ビットコイン、イーサリアム)で構成される、最も基礎となる層。例えば、イーサリアムはブロックチェーン上のネットワークであり、イーサはそのブロックチェーンのネイティブ通貨である。この層は、セキュリティと一連の決済ルールを提供する。
  2. アセット層(The asset layer):特定のブロックチェーンにネイティブな、全てのトークンやデジタル資産で構成される層。
  3. プロトコル層(The protocol layer):スマートコントラクトのプロトコルやガイドラインを設定する層。
  4. アプリケーション層(The application layer):消費者とプロトコルを結ぶユーザーインターフェースの層。
  5. アグリゲーション層(The aggregation layer):借り入れや貸し付けその他の金融サービスの基盤を構成するさまざまなdAppsやプロトコルに接続する「アグリゲーター」機能で構成される層。

DeFiのメリットとデメリット

DeFiなど暗号通貨は人気が高まっており、投資対象として魅力的に思えるだろう。しかし、始める前にメリットとデメリットをきちんと理解しておくことが重要だ。

「DeFiでは各個人が自分の資金の管理権を保持し、その使途や使い方を自分で決めることができる。あらゆることがプログラム可能なので、ボタンを1回クリックするだけで複雑な取引を行うことができ、効率的だ」と、モズゴヴォイ氏は説明する。

DeFiは手軽に利用でき、始めるのも比較的簡単だ。だがデメリットも多いので注意しよう。

「DeFiは登場して間もない実験的なものだ。すべてがコードで決まるため、バグが潜んでいる可能性がある。バグがあると金銭的な損失やハッキングにつながる。DeFiは新しい、複雑な仕組みだ。手痛い失敗をすることもあると思っていたほうがいいだろう。数多くの経験を積む必要もある。それでも、いずれ状況は変わるはずだ」と、モズゴヴォイ氏は言う。

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どんな投資にもある程度のリスクが伴うし、それはDeFiも同じだ。しかし、暗号通貨やDeFiのアプリケーションはどれも例外なく、規制の難しさ(米証券取引委員会[SEC]は何らかの対策を模索しているが)や詐欺の恐れのために、通常より高いレベルのリスクをはらむ可能性がある。経験に基づいたアドバイスとしては、無くなったら困るお金は投資しないことだ。

DeFiへの投資方法

DeFiを使った投資にはさまざまな方法がある。

「DeFiを始めるには、他のどんな取引でも資金が必要なのと同様に、イーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、バイナンス(BNB)、ファントム(FTM)、ポリゴン(MATIC)といったプラットフォームのネイティブ通貨が必要だ。それらは様々な取引所やウォレット、暗号通貨サービスを通じて購入できる」とモズゴヴォイ氏は説明する。

これから始めるなら、ユニスワップ(Uniswap)のような分散型取引所(DEX)がいいだろう。同社のウェブサイトには「業界をリードする分散型暗号通貨取引プロトコルで、資産の交換と獲得、構築が可能」だと謳われている。

DeFiはすべてがまだ比較的新しく、管理主体も存在しないため、投資対象の選択は慎重に行いたい。

「DeFiでは、誰でも自分のプロジェクト、トークン、コントラクト(プロトコル)を立ち上げることができる。そのため、質の悪いプロジェクトや詐欺に注意しなければならない」と、モズゴヴォイ氏は指摘する。詐欺に気をつける必要はあるが、DeFiを使って貯蓄や融資、デリバティブや取引に参加するビジネス上のメリットがあるのだと同氏は語る。

ヒント:暗号通貨取引の合意形成手法である「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」システムとその内容については、この記事で解説している。

まとめ

DeFiは、仲介者や管理主体を排除して利用者同士の自律的な金融取引を可能にするいくつもの金融システムの総称で、1つの生態系のように振る舞う「金融エコシステム」だ。現在大きな注目を集めているDeFiと暗号通貨だが、得られる利益だけでなくリスクもきちんと理解して利用するようにしたい。

[原文:DeFi: The peer-to-peer financial system based primarily on Ethereum

(翻訳・北川蒼/LIBER、編集・長田真)

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