サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。
Bernd von Jutrczenka/Getty Images
- サウジアラビア人でイギリスの大学に通う博士課程の学生が、反体制派をフォローして彼らのツイートをリツイートしたことで34年の禁固刑を言い渡された。
- 彼女は国家の安全に害を与えようとする人々をフォローすることで彼らを支援した罪に問われたとガーディアンが報じている。
- 権利団体によると、これは活動家に対する最長の刑期であり、今後は取り締まりがますます厳しくなることを示唆しているという。
イギリスで学ぶサウジアラビア人の学生が、Twitterで反体制派や活動家をフォローし、彼らのツイートをリツイートしたことで34年の禁固刑を言い渡された。ガーディアンが翻訳された裁判記録に基づいて報じている。
結婚して2人の子を持つ34歳のサルマ・アルシェハブ(Salma al-Shehab)さんは、イギリスのリーズ大学の博士課程で学んでおり、2020年12月に休暇でサウジアラビアに帰国した際に、当局から尋問のうえ逮捕され、裁判にかけられたという。
そして彼女は、ウェブサイトを利用して「公共秩序を乱し、一般市民と国家の安全を不安定にした」として3年の刑を言い渡された。それに対して彼女は控訴したが、2022年8月15日に下された判決によると、彼女がフォローしてリツイートしたTwitterアカウントをめぐって刑期が追加されたという。
彼女は合計で34年の禁固刑を言い渡され、その後は34年間の渡航禁止になったとガーディアンは報じている。
ワシントン・ポストのほか、「人権を求めるヨーロッパ在住サウジアラビア人機構(ESOHR)」やアメリカの非営利団体「フリーダム・イニシアティブ」もこの判決について報じている。
翻訳された裁判記録をガーディアンが確認したところ、アルシェハブさんは「公共秩序を乱し、一般市民と国家の安全を不安定にしようとする者のTwitterアカウントをフォローすることで、彼らを支援した」という罪に問われている。
ガーディアンによると、彼女はサウジアラビアで拘束されている政治犯の釈放を求める反体制派のツイートをリツイートしていた。ワシントン・ポストによると彼女は女性が車を運転する権利も支持していた。これはムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子が2018年にすでに許可した政策だが、活動家は今も投獄されているという。
アルシェハブさんのTwitterのフォロワー数はそれほど多いわけではなく(2500人程度とされる)、ツイートも子どもに関するものが多く、活動家としては知られていなかったとガーディアンは指摘する。
彼女はまだ控訴に望みを託すことができるかもしれないともガーディアンは述べている。
Twitterはガーディアンからこの件についてコメント求められたが、応じていない。サウジアラビアの王族はTwitterに多額の投資をしているとガーディアンは指摘している。
「人権を求めるヨーロッパ在住サウジアラビア人機構」と「フリーダム・イニシアティブ」は、アルシェハブさんに対する判決は活動家に下された最も長い実刑判決であり、反体制派に対するさらなる弾圧を示唆するものであると述べている。
人権団体によれば、サウジアラビアは政府に異論を唱える人々を頻繁に逮捕しており、時には公の場で政府批判を行った人をその何年も後に逮捕することもあるという。MBSとしても知られるムハンマド・ビン・サルマンが2017年に皇太子になった際にも、多くの人が逮捕された。以来、彼は王国の事実上の支配者と見なされている。
2020年には皇太子を支持しなかったとされる王族2人が逮捕されたと、王室に近い情報筋が当時AP通信に語っていた。皇太子は自身の権力を脅かすと考えられる他の多くの著名な政治家も投獄している。
[原文:Saudi PhD student sentenced to 34 years in prison for following and retweeting activists]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)