アニモカ・ブランズの共同創業者で会長のヤット・シウ。
Animoca Brands
- ある大手ブロックチェーン関連企業の創業者は、メタやマイクロソフトのことを「デジタル業界の独裁者」だと批判している。
- アニモカ・ブランズのヤット・シウがブルームバーグに対し、自身とWeb3の目標は、大手IT企業の権力を奪うことだと語った。
- 分散型テクノロジーで所有権をユーザーへと返還すること、それがWeb3の中核だという。
批評家は長らく、大手IT企業が権力を持ちすぎていると指摘してきたが、ある大手ブロックチェーン関連企業の共同創業者はこれに賛同している。
ヤット・シウ(Yat Siu)は、香港を拠点としてメジャーな暗号プロジェクトを数多く手掛け、ザ・サンドボックス(The Sandbox)を傘下に持つアニモカ・ブランズ(Animoca Brands)の創業者で、2022年8月17日(現地時間)に公開されたブルームバーグの記事の中で、自身の会社がこれまで、金融、ゲーム、ブロックチェーンなど、340以上の企業に投資してきたことを明かした。
シウが語ったところによると、その目標はテック大手による業界支配を打ち破り、個人のデジタル・アイデンティティとデジタル資産の所有権をユーザー自身に返還することだ。彼はそれ以上のことは述べず、Facebookの新たな親会社であるメタ(Meta)やマイクロソフト(Microsoft)などを「デジタル業界の独裁者」と呼んだ。
Insiderはこの件について説明を求めたが、シウからの回答はなかった。
理論的には、Web3はビットコインのような暗号通貨を支えるブロックチェーン上にあるインターネットの未来だ。グーグル(Google)やTwitterのように企業に制御されることはない。
Web3についての議論の中核はそこだ。分散型のオンライン世界ならば、Web2の技術を独占するメタ、グーグル、アップル(Apple)などから権力を奪うことができる。人々のデータは理論上分散化される。つまり、アマゾン(Amazon)のようなハイテク複合企業が所有するサーバーではなく、ブロックチェーン上に存在することになる。その結果、今現在この分野を支配している大企業への依存度が弱まるという考えだ。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が大上段からメタバースこそ未来だと叫び、その実現に100億ドル(約1兆3700億円)を費やしているにもかかわらず、Web3は今のところ、単なる思いつきに過ぎない。
だが、シウとアニモカ・ブランズはこの言葉が流行する以前から、Web3の分野にいる。
同社は2014年に創業し、多くの重要な暗号プロジェクトに資金を注ぎ込んできた。2018年にはCryptokittiesの親会社であるDapper Labsの株を購入して、ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)の「住んでいる」具体化されたメタバース、ザ・サンドボックスを所有するようになった。
同社は話題のNFTゲーム、アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)や世界最大のオンラインNFT(非代替性トークン)市場、オープンシー(OpenSea)も支援している。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)