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コンサルティング大手のアクセンチュアは、テキサス州オースティンにあるメタの事務所に勤務する契約社員約60人に対し、近日中に業務を打ち切ると伝えたことがInsiderの取材で分かった。
これらの契約社員は、アクセンチュアを通じてFacebookの業務に従事している。アクセンチュアはFacebookを運営するメタと年間5億ドル(約680億円、1ドル=136円換算)の契約を締結し、コンテンツのモデレーションやビジネス・インテグリティ・サービスなどのサービス業務を行う時間給のスタッフを提供している。
この契約社員たちがFacebookから請け負っている仕事から外されることを知ったのは、アクセンチュアの代表者が2022年8月16日に行ったビデオ会議でのことだったと、この会議の内容を知る人物はInsiderの取材に対し説明する。Insiderが確認した情報では、アクセンチュアはこの発表により影響を受けた契約社員に対し、他の業務や社内の「直接異動」をすぐに提案することはしていない。
アクセンチュアは、現在の業務が2022年9月2日で打ち切りになるとして、これらの契約社員が希望すれば同社で空きのある業務に「応募」できるものとした。しかし、その再応募の手続きには新たな面接があり、業務が打ち切りになる人材を再雇用する「保証はない」という。
8月17日に実施されたフォローアップ会議において、アクセンチュアの担当者は、人事部は特定の技能を有する候補者が他のプロジェクトに応募してきた場合、彼らをそのプロジェクトに配置するよう努力すると伝えたという。それ以外で再雇用されなかったり、再応募しないと決めた契約社員には、2022年10月3日まで給与が支払われることになる。
ある契約社員はこれらの会議について語ったメッセージの中で、「新しい仕事は欲しいですが、それを強制されるのは嫌です」と述べている。
アクセンチュアはほとんど予告もなく、何を話し合うかも事前に知らせないまま2つのビデオ会議をセットした、と契約社員たちは言う。ビデオ会議では、アクセンチュア側の代表者を含め、出席者全員の名前が伏せられていた。代表者は自己紹介もせず、誰が話しているのか分からないままだったという。
「おそらく人事部の人だったとは思いますが、確かなことは誰も分かりません」と、ビデオ会議に参加した一人は語る。その代表者は、アクセンチュアがFacebookの業務に当たる契約社員を削減する具体的な理由を説明しなかった。また、参加者が「対象となる従業員をどのように選んでいるのか」と質問すると、アクセンチュア側の代表者は「アルゴリズム」が対象となる契約社員を無作為に選出していると述べたという。
アクセンチュアの広報担当者リチャード・キール(Richard Keil)は本稿掲載前に、「オースティンの事務所で解雇が行われていると報じることは不正確です」と述べた。「解雇」という言葉は、雇用主によるコスト削減努力のために従業員が失職するという、具体的な法的定義を持つ。
その後キールは、ビデオ会議で話したアクセンチュア側の代表者は「自己紹介している」と主張し、参加者は「それを聞き逃していた」のかもしれないと話している。また、対象となる契約社員の選出にアルゴリズムが使われたという点については、「当社は、無作為に人を選別するためにアルゴリズムを使用することはありません」と主張した。
他の契約社員も7月に仕事を失う
Facebookの業務に当たる契約社員の削減は、メタの成長と収益性が鈍化する中でコスト削減の一環として行われたようだ。2022年5月にInsiderは初めてメタが雇用凍結を行ったことを報道し、7月には同社の従業員全体の10%にも及ぶ人員削減が行われるかもしれないと正社員たちが恐れていると報じた。
メタのCEOであるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)を含む複数の幹部は最近、「強度を高める」「業績評価を厳しくする」「少ないリソースで利益を得る」という新しい企業文化を推進するコメントを発表し、社員にそれらについてのメモを送ったという。
また、Insiderは以前、他のFacebookの契約社員が2022年7月に業務を打ち切られたことを報じた。ある元契約社員は、仕事を失うまでの間には「混乱」があり、やはり退職金も出なかったという。Facebookのオースティン事務所内のカルチャーは雇用凍結後のここ数カ月で変化し始めたと、この元契約社員は語る。
アクセンチュアは契約社員の「生産性」をより厳格化し、すでに限られていたスタッフの休憩時間を監視して記録したほか、メタ側が提供する福利厚生を取り上げたと元契約社員は言う。同社はさらに、デスクを離れている時間をきちんと記録しないスタッフや、始業時間に数分でも遅れる人を厳しくチェックしたという。
またアクセンチュアは、これらの契約社員に「業績開発計画」と呼ばれる業務目標を課した。業界では一般的に「業績改善計画」と呼ばれているもので、これを課されると解雇の前触れだと従業員の間では広く受け止められている。アクセンチュアが「業績改善計画」を課した社員は真っ先に失職したと、元契約社員は語っている。
(編集・大門小百合)