大手結婚相談所、20代の登録が急増。「ツヴァイ」買収のIBJが好調な理由

結婚

20代の結婚相談所の登録が増えているという。

撮影:今村拓馬、横山耕太郎

「20歳代の方が真剣に結婚を考えている場合で、(婚活)サービスの需要が高まっている」(IBJ社長 石坂茂氏)

ZWEI(ツヴァイ)などの結婚相談所の運営や婚活パーティー事業を手がけるIBJの決算が好調だ。

8月10日発表した2022年12月期第2四半期決算では累計売上高73億6600万円(前年同期比2%増)、純利益7億4300万円(同51.6%増)の増収増益となり、合わせて通期連結業績予想についても、純利益で18%増を見込む上方修正を発表した。

理由の1つが、冒頭の石坂社長の発言にある「20代」の会員増だ。直近1年を見てみると、意外にも「20代・30代の若い世代」の結婚相談所の登録が急増しているという。

急増の背景には、会食や合コンといった「出会いの場」の減少がある、とIBJの石坂社長は語る。IBJの決算資料からは、20代の婚活事情が垣間見える。

ZWEI買収で直営店増加

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結婚相談所の登録者が増えたことなどで、通期業績予想を上方修正。売上高146億円、営業利益19億円、当期純利益16億円の見通しを公表した。

出典:IBJ決算説明資料

IBJは2006年に設立。直営の結婚相談所「IBJメンバーズ」の運営に加え、全国に結婚相談所を展開するサンマリエを2019年に買収した。2020年にはイオングループだったZWEI(ツヴァイ)を買収し直営店舗を拡大してきた。

個人や法人を対象に、結婚相談所開業を支援する加盟店事業も手掛けており、グループ傘下の結婚相談所数は国内最多の3362社。

直営・加盟店を含め、グループの結婚相談所の登録者数は2022年7月末時点で8万296人。2021年6月末の7万1546人から、約1年で1万人近く会員数を伸ばしている。

登録者の増加や、グループ内の事業整理を進めた結果、前出の第2四半期の純利益51%増(7億4300万円)となった。

「20代女性」の登録が増加

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2020年と比較し、2022年は20代の登録者が増えている。

出典:IBJプレスリリース

コロナ禍では特に20代の登録者が増えているという。

発表によるとIBJ直営グループ結婚相談所の2022年の登録者数は、2020年と比べて、20代男性が5.7倍、20代女性が4.7倍に増加している。

登録者の年代別の入会割合を見ても、コロナ直後の2020年1月~6月の20代女性の割合は全体の12.1%だったものの、2022年1月~6月には29.0%と15ポイント以上増加している。

IB2

出典:IBJのプレスリリース

男性でみても、コロナ直後(2020年1月~6月)には20代の入会割合は全体の5.9%だったのが、2022年には16.4%に増えた。男性の場合は30代の入会割合も、46.6%から50.0%に増えた。

コロナで「出会いの機会が減った」

IBJ社長

オンラインで決算説明会を実施したIBJ社長の石坂茂氏。

オンラインの決算説明会を撮影

なぜ20代の利用が増えたのか?

8月19日の決算説明会でIBJ社長の石坂氏は、Business Insider Japanの質問に対し、「コロナ前まで20代の方は、飲食店での会食や合コン、学校や職場での出会いが多かったが、その機会が減っている。真剣に結婚を考えている場合のサービス需要が増えている」との見解を示した。

加えて、マッチングアプリが普及したことで、結果的に結婚相談所に興味を持ったことが、加入者の増加にもつながっていると話す。

加えて2020年に買収したZWEI(ツヴァイ)も、若者層の会員獲得につながったという。

「(ツヴァイは)コロナの最中に買収して、だいぶ株価が落ち、経営の立て直しには苦労した。しかしツヴァイというブランドは、直営店の中では最もリーズナブルな価格。サポートも若者向けにライトな感じでやっている。ここで20代の需要を取り込めた」

婚姻数減・人口減少でも「潜在需要ある」

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日本の婚姻数は減少しており、人口も減少している。

出典:IBJ決戦説明資料

もっとも、日本の婚姻数は減少を続けており、将来的には人口減少はさらに加速し市場の縮小は避けられない。

結婚市場が先細る中で、結婚相談所ビジネスに将来性はあるのか。 石坂氏は次のように話した。

「(2006年のIBJ)設立以来、婚姻件数・出生数は減ってきているが、IBJの事業はずっと伸び続けている。実際に結婚したいカップルの需要というのは、まだ掘り起こしきれておらず潜在需要がある。

また社会情勢に合わせて、多様化したサービスを我々が先行して生み出していきたい」

また今後、海外市場への参入可能性についても、「我々の仕組みをエクスポート(輸出)する方法も検討していきたい」とした。

(文・横山耕太郎

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