ウォーレン・バフェット。
Reuters
- ウォーレン・バフェットやマイケル・バーリなど、主な投資家の2022年第2四半期の株式ポートフォリオが明らかになった。
- レイ・ダリオ、スタンレー・ドラッケンミラー、ジョージ・ソロス、ジム・シモンズ、ビル・ミラーなどが注目すべき動きを見せている。
- 7人のトップ投資家の今四半期の動きについて、見てみよう。
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)、マイケル・バーリ(Michael Burry)などの著名な投資家が株式保有報告書を提出したことで、2022年第2四半期に購入あるいは売却した株式が明らかになった。
レイ・ダリオ(Ray Dalio)はテック大手への投資を倍増したが、スタンレー・ドラッケンミラー(Stanley Druckenmiller)はアメリカの大手テック企業の株を減らした。ジョージ・ソロス(George Soros)はイーロン・マスク(Elon Musk)が率いるテスラの株式を購入したが、ジム・シモンズ(Jim Simons)はテスラの株式を半減させた。
一方、バフェットは石油大手の株式を買い入れ、バーリはポートフォリオを清算し、ビル・ミラー(Bill Miller)はベッド・バス・アンド・ビヨンド(Bed Bath & Beyond)への投資を減らした。
以下で7人のトップ投資家の2022年第2四半期の動きを紹介しよう。
ウォーレン・バフェットは、石油大手株を大きく買い増し
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バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)を率いるウォーレン・バフェットは2022年第1四半期に石油大手シェブロン(Chevron)と石油・ガスの探鉱・生産企業オキシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum)の株式購入に38億ドルを費やした。
2つのエネルギー関連企業株の保有高は現在、250億ドルになっている。これは、バフェットと彼のチームが、エネルギー価格がしばらく高いままにあると強気に見ている表れだろう。
マイケル・バーリは、ほぼすべての株式を売却
2015年11月23日、ニューヨークのジグフィールド劇場で行われた映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のニューヨーク・プレミアに参加したマイケル・バーリ。
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映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のモデルとして知られるマイケル・バーリは、今四半期に株式をほぼすべて清算した。
サイオン・アセット・マネジメント(Scion Asset Management)のCEOを務めるバーリは、2022年3月末に開示していた11銘柄すべてを売却し、1銘柄のみを追加した。これにより、彼の株式保有額は1億6500万ドルから330万ドルに激減した。
バーリは資産価格の歴史的なバブルについて繰り返し警告しており、大暴落を予測している。彼は景気後退を見越して、株式を売却したのかもしれない。
レイ・ダリオは、テック大手への投資を増やす
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レイ・ダリオ率いるブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)は今四半期、テック大手への投資を増やした。
彼のヘッジファンドはメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)の株式を50倍以上、アルファベット(Alphabet)は25倍以上にした。6月30日時点で、それぞれの保有額はおよそ1億ドルまで増えた。
ダリオと彼のチームは、アップル(Apple)、マイクロソフト(Microsoft)、ネットフリックス(Netflix)の株式も増やし、アマゾン(Amazon)でも新しいポジションを持った。彼らはナスダックが第1四半期に22%下落したのを見て、大手テック株が売られ過ぎていると判断したのかもしれない。
スタンレー・ドラッケンミラーは、大手テックへの投資を半減
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スタンレー・ドラッケンミラーと彼のチームは、アマゾンの株式をすべて売却し、マイクロソフトの株式は第1四半期より約25%減らした。
彼のDuquesne Family Officeの3月末時点のポートフォリオでは、上記2社のポジションは2番目と4番目の大きさで、アマゾンは1億9900万ドル、マイクロソフトは3億1500万ドルだった。彼らは今後数カ月間でテック株がさらに下落すると考えて売却したのかもしれない。ドラッケンミラーは6月に、弱気相場はまだまだ続くと述べていた。
ジョージ・ソロスは、テスラ株を購入
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ジョージ・ソロスのソロス・ファンド・マネジメント(Soros Fund Management)は、前四半期にテスラの株式を購入し始めた。彼らはテスラの株を3000万ドル購入し、6月30日時点では保有額が2000万ドルになっている。テスラの株価は38%も下落したことから、割安であると判断したのかもしれない。
また、ソロスのファンドはリビアン(Rivian)の株式を3分の1近くまで減らした。同社が過大評価されていると考えているか、電気自動車市場におけるテスラの見通しについて強気であることを示している。リビアンの株価は大きく下落しており、保有株の価値は13億ドルから4億5900万ドルに減った。
ビル・ミラーはベッド・バス・アンド・ビヨンドの株式を削減
ミラー・バリュー・パートナーズの共同創業者でCIO兼ファンドマネージャーを務める投資家のビル・ミラー。
Fox Business
ビル・ミラーのファンドは、2022年上半期にミーム株トレーダーに人気のベッド・バス・アンド・ビヨンドへの投資を減らした。
ミラー・バリュー・パートナーズ(Miller Value Partners)は、ピークだった17万1000株から13万6000株までポジションを減らし、同社の保有株は1株あたり30ドルの最高値をつけた8月17日に400万ドルになったが、その後、下落したため、現在の価値はその何分の1になっている。
ベッド・バス・アンド・ビヨンドが5月に発表した第1四半期の収益は、売上が前年比で大きく減少して、損失が拡大し、保有する現金も縮小したことからミラーのファンドはポジションを大きく減らしたと思われる。
ジム・シモンズは、テスラの株式を半減してゲームストップとAMCかも撤退
TED
ジム・シモンズが率いるルネッサンス・テクノロジーズ(Renaissance Technologies)は前四半期に、テスラの株式を半減し、ゲームストップ(GameStop)やAMCエンターテイメント(AMC Entertainment)のミーム株からも撤退した。
同社のテスラ株売却は、テスラの株価が22%急落したことと重なり、保有額の3分の2以上を減らして5億400万ドルになった。
ルネッサンス・テクノロジーズは、ゲームストップの株式を第1四半期に118倍も増やしたが、結局売却した。また1月から3月に61%カットしたAMCの株式も売却した。
シモンズのルネッサンス・テクノロジーズは、そのその売買をアルゴリズムに依存しており、今回の購入と売却は各企業のファンダメンタルズよりも市場のボラティリティと取引パターンを反映している可能性がある。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)