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良い会社認証「B Corp」取得までの道のり、循環型社会を目指す「ファーメンステーション」に聞く

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写真左からゲストのファーメンステーション 代表取締役の酒井里奈さん、聞き手のBusiness Insider Japan ブランドディレクター 高阪のぞみ。

撮影:小林優多郎

“変化の兆し”を捉えて動き出している人や企業にスポットを当てるオンライン番組「BEYOND」。

第11回は、日本のスタートアップとして初めて国際認定制度「B Corporation」(以下、B Corp)を取得したファーメンステーション 代表取締役・酒井里奈さんが登場。

8月16日(火)に放映した番組の抄録を、一部編集して掲載する。

当日の様子は、YouTubeでご視聴いただけます。

撮影:Business Insider Japan

──「ファーメンステーション」の事業について教えてください。

酒井里奈さん(以下、酒井):ファーメンステーションは「発酵の駅」という意味です。未利用資源を発酵させて使えるものに変えて、循環型社会をつくっていくスタートアップです。

「ファーメンステーション」のソリューション

「ファーメンステーション」のソリューション。

出典:ファーメンステーション

──どのように変えていくのでしょうか。

酒井:アルコールやエタノールを製造して化粧品の原料にしたり、製造の過程で出てくるカスをニワトリや牛のエサに活用します。

さらにニワトリが産んだ卵がお菓子になって、その鶏のフンを堆肥として使うといったゴミゼロの事業にも、地域のコミュニティーと一緒に取り組んでいます。

——商品開発の事業も展開されていますね。

酒井:はい。オーガニックブランドの「FERMENSTATION」として、スプレーや石鹸を販売しています。

その他に発酵技術を使ったオリジナルの原料を開発したり、大企業の未利用資源を新しい製品に変えていく事業にも取り組んでいます。

「いろいろなところにファーメンステーションがある」ことを目指しています。

ステークホルダー資本主義のB Corp

主な「B Corp」認証企業の例

主な「B Corp」認証企業の例。

作成:Business Insider Japan

──「B Corp」を知ったきっかけを教えてください。

酒井:実は覚えていなくて。

ただ、20年くらい前アメリカに行ったときアイスクリームブランドの「Ben & Jerry's(ベン&ジェリーズ)」を知り、その取り組みを追っていくなかで、この企業もB Corpを取っていたと知りました。

ベン&ジェリーズの経営に共感して、同じようにビジネスをしたいと考えていました。そこで「取らない理由はないな」と思い、自然と取得する方向に動いていました。

──B Corpは「良い会社認証」とも言えますが、酒井さんは具体的にどのような認証だと考えますか?

酒井:B Corpは「People Using Business As A Force For Good」という言い方をしており、私も好きな言葉ですが、まずビジネスであることが前提です。そして、そのビジネスはさまざまな人と関わりがあります。

つまり、B Corpは全方位においてポジティブなインパクトを目指そうというムーブメントだと思っています。

ファーメンステーションでは、事業性と社会性の両立をさせたいという言い方をしています。そういったマインドがある会社にとっては、すごく共感できる制度です。

──全方位ということは2019年の「ビジネスラウンドテーブル」でも言われている「全てのステークホルダー」のように考えればいいのでしょうか。

酒井:そうですね。「ステークホルダー資本主義」とB Corpは言います。

株主だけを見るのではなく、関わる人すべてがステークホルダーであり、みんなにとって良いようにする、ということだと理解しています。

B Crop取得までの道のり

酒井里奈さん

B Crop取得までの道のりを語る「ファーメンステーション」代表取締役、酒井里奈さん。

撮影:小林優多郎

──2022年6月にようやくB Corpの日本語版ハンドブックが出版され、2022年夏には日本で認証を取った企業も14社となりました。日本でB Corpの取得が進まなかったのは日本語でのハンドブックが出るのが遅かったこともあるのでしょうか。

酒井:それもあると思います。そもそもB Corpに関する日本語の情報がほとんどなかったんですよね。

──B Corpの取得自体も難しいと聞きますが、実際はどうでしたか。

酒井:一般的には大変だと思いますが、資金調達と比べるなら、弊社は資金調達のほうが大変でしたね。

申請の最初のステップとして、「B Impact Assessment」(以下、BIA)があります。

「ガバナンス」「従業員」「環境」「コミュニティー」「カスタマー」の5つの分野から数百近くの質問に答えて自社のスコアを測っていきますが、すべて英語なので、言語のハードルがあります。

また、BIAのスコアが80点を超えないとB Corpの取得ができないんですよね。

B Corpとは

「B Corp」の概要。

作成:Business Insider Japan

——どのようなことを聞かれるのでしょうか。

酒井:例えば「会社のPLを社内に公表していますか」「環境負荷を調べて数値化していますか」などです。

もともとそういう取り組みをやっていない会社ではイチから積み上げていく必要があるため、大変だと思います。

──ファーメンステーションが取得に苦労しなかったのは、BIAで聞かれるような取り組みを既にしていたからですか。

酒井:そうですね。起業したときからB Corpのマインドに沿った会社にしたくて動いていましたので。

ただ、BIAのスコアーはもっと取れたと感じていて、及第点だったと思います。取得できてハッピーで終わるのではなく、新たに足りないものが分かり今後の課題が見えてきました。

──申請から取得まで、どのくらいの期間がかかりましたか。

酒井:2021年5月くらいから準備を始めて、8月にBIAを受けました。

その後は結構待ちました。11月頃にオンライン上で申請内容に関するエビデンスや詳細を聞かれるような質問が届き、その後数カ月間やりとりしました。

そして、2022年2月にオンラインインタビューがあり、3月に取得となりました。

──半年以上はかかるのですね。

酒井:そうですね。割と早いほうだったかもしれません。

BIAは誰でもアクセスできるため、申請を検討している方は、まずはどのような質問があるかを確認したり、スコアを出すことをお勧めします。

取得によって従業員の意識も変化

酒井里奈さん

撮影:小林優多郎

──B Corpを取得して周りからどのような反応がありましたか?

酒井:B Corpを知っている方からは「おめでとう!」と言われ嬉しかったです。

最近は取材の機会も増えて、B Corpを知らなくても「これはすごい。何かのトレンドだぞ」と思ってくださる方なども出て、お客様からの反応も良くなっています。

──社内ではどうでしょうか?

酒井:名刺にB Corpのマークが付きますし、対外的にもっとB Corpを説明したいという考えも出てきます。

他社のB Corpの事例を参考にして「私たちも、もっとこんなことできるんじゃないとか」と案を出し合う動きが生まれました。今はそれがとても楽しいんですよね。

──みなさんで一つの思いに向かっている点が、チームビルディングにもつながるというわけですね。

酒井:そうですね。

他にも、先月ヨーロッパへ行ったときには評判が良かったです。取引に絶対にプラスだと思いました。

B Cropを取得している企業の方にも会いましたが、同じようなマインドを持っているからか、意気投合するんですよね。

──最後に読者のみなさん伝えたいことがあればお願いします。

酒井:B Corpは気持ちの良いビジネスのかたちで、面白いと思っています。こういう思想があるんだと興味を持った方には、ぜひ深く知っていただきたいです。

そしてそれを広めることが私達の使命で、やりたいことでもあります。

伝えるためにSNSでも情報を発信しています。未利用資源が変わっていく様子や、どういうマインドでビジネスをやっているかという話もしています。

ぜひ見ていただき、みなさんと一緒に循環型社会をつくりたいと思っています。

(聞き手・高阪のぞみ、構成・紅野一鶴


人類100億人時代のインフラ「核融合」の現在地

2022年8月23日(火)19時からは、京都フュージョニアリング、EX-Fusion、Helical Fusionの3社の代表をゲストに迎え「人類100億人時代のインフラ『核融合』の現在地」をお送りします。

「BEYOND」とは

毎週水曜日19時から配信予定。ビジネス、テクノロジー、SDGs、働き方……それぞれのテーマで、既成概念にとらわれず新しい未来を作ろうとチャレンジする人にBusiness Insider Japanの記者/編集者がインタビュー。記者との対話を通して、チャレンジの原点、現在の取り組みやつくりたい未来を深堀りします。

アーカイブはYouTubeチャンネルのプレイリストで公開します。

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