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NASA、ブラックホールの音を公開…そのままだと聞こえないため、57オクターブ高く調整

銀河の中心にある超大質量ブラックホールをコンピュータでシミュレーションした画像。

銀河の中心にある超大質量ブラックホールをコンピュータでシミュレーションした画像。

NASA/GSFC

  • アメリカ航空宇宙局は、ブラックホールが発する圧力波が銀河に波紋を広げていく際の不気味な音を公開した。
  • このエイリアンのうめきや叫びのような音は、人間に聞こえるように57オクターブ高く調整されている。
  • また、ブラックホールの音波を美しい音楽に変換したバージョンもある。両方とも聞いてみてほしい。

真空の宇宙空間で音はほぼ聞こえないが、アメリカ航空宇宙局(NASA)はブラックホールが幽霊になったエイリアンのうめきや叫びのような音を発していることを明らかにした。

NASAの太陽系外惑星探査プログラムのTwitterアカウントは2022年8月22日、ブラックホールが発した圧力波が銀河団を通って広がっていく際の不気味な音の音声クリップを投稿した

それが以下の動画だ。ブラックホールの圧力波がペルセウス座銀河団を通過する際の音を聞いてみよう。

「宇宙には音がないという誤解は、宇宙のほとんどが真空で、音波の伝わるものがないことからきている。(だが)銀河団はガスが多いため、(それを媒体として)実際の音を拾うことができた」とNASAのアカウントはツイートしている

しかし、実際の音は「真ん中のド」の音よりも57オクターブも低く、人間の可聴域に含まれていない。チャンドラX線観測衛星は、X線で見えるペルセウス座銀河団の波紋から、人間には聞こえない音に対応するデータを取得した。そしてNASAがそれを、本来の音域から人間が聞こえる音域にスケールアップしたということだ。それは本来の周波数の14京4000兆倍と28京8000兆倍の高さになるという。

NASAは当初、5月にこの音声クリップを公開したが、8月22日の投稿はネット上で新たに嵐のような反応を引き起こした。

CNNのアンカー、ジム・スキアット(Jim Sciutto)は「これはクールで、本当に、本当に不気味だ」とツイートした

ポッドキャスターのブラインドボーイ(BlindBoy)は、ブラックホールの音は「10億の魂が拷問されているようだ」とツイートした

カナダの俳優、エリザベス・ボーエン(Elizabeth Bowen)は、この現象を「映画で誰かが偶然、森の中にある悪魔のカルト教団に出くわすあのシーン」に例えた

天文学ブロガーのフィル・プレート(Phil Plait)は、「誰もがこれがいかに不気味かを話しているが、私には、ただ途切れる部分が圧倒的に不気味だ」と語った

このクリップを最初に公開したとき、NASAは楕円銀河M87のノイズデータをより心地よい音楽として可聴化したものも共有した。M87とは2019年に「イベント・ホライズン・テレスコープ・プロジェクト」で初めて公開された観測画像の中でもメインとなるものだった。

この音楽もチャンドラ望遠鏡のX線データを基にしているが、ハッブル宇宙望遠鏡の光学データとチリのアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計の電波データも音声化して組み込んでいる。これらのデータの組み合わせは、単に既存の音の高さをスケールアップするだけではなく、より創造性を必要とするため、NASAはそれを美しい音楽として創り上げた。

M87の音楽の一番大きな音は、画像の一番明るい部分、つまりブラックホールがある場所に対応している。

[原文:NASA released an audio clip of a black hole, and it's pretty spooky

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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