Elaine Thompson/AP
- アメリカでは、コーヒー1杯の値段が2021年から7.6%上がり、平均で4.90ドル(約670円)になっている。
- 理由は2つある。インフレとコーヒーの主要輸出国ブラジルの異常気象だ。
- 消費者はまだスターバックスといったチェーン店でコーヒーを買っていて、"手の届く贅沢品"として扱っている。
気のせいではない。コーヒーが高くなっている。
ウォール・ストリート・ジャーナルが引用したNPDグループのデータによると、アメリカのコーヒーショップでは1杯のコーヒーの値段が平均4.90ドルと、前の年の同じ時期に比べて7.6%上がっている。自宅でいれるコーヒーまで最近では高くなっていると、アメリカ労働省のデータは示している。7月のコーヒーの価格は前の年に比べて20.3%も上がった。
理由は2つある。インフレと天候だ。
7月の消費者物価指数は前の年の同じ月に比べて8.5%の上昇と、インフレはやや落ち着いたものの、食料品を中心に物価は高い状況が続いている。食料品の価格は6月から7月で1.4%上がり、外食もさらに値上がりしている。労働省のデータによると、7月の自宅以外での食事にかかる費用は、前の年の同じ月に比べて7.6%上がったという。
ただ、価格に影響を及ぼしているのは、少なくともコーヒーに関しては、インフレだけではない。世界最大のコーヒー輸出国ブラジルは、干ばつに続いて霜に見舞われ、コーヒーのアラビカ種に被害をもたらした。その結果、一部の農家では収穫量が半分に減るだろうと見ていて、コーヒーの価格をさらに押し上げるだろうと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
こうした課題 —— とそれに伴う値上げ —— はあるものの、コーヒー会社では客は減っていないようだ。
例えば、スターバックスでは値上げが相次いだにもかかわらず、客は今も"持ち帰り"でコーヒーを買っている。ドリンクの値段は去年より5%ほど上がったものの、スターバックスでは「顧客の支出が目に見えて減少することもなく、(より安いアイテムを買おうとする)トレードダウンの証拠も見られない」と、同社のCEOハワード・シュルツ氏は8月に行われた第3四半期の決算発表で投資家に語っている。
ウォール・ストリート・ジャーナルが引用したラボバンク(Rabobank)のレポートによると、6月のコーヒーショップでの消費は前の年の同じ月に比べて1.9%増えた。どうやら"持ち帰り"のコーヒーは、経済的に苦しい時期でも"手の届く贅沢品"として消費者が購入するのを良しとしているものの1つになっているようだ。
(翻訳、編集:山口佳美)