日本労働組合総連合会(連合)が選択的夫婦別姓と職場の制度に関する調査を行った。夫婦の姓は「同姓でも別姓でも構わない」と回答した人が64%にのぼる一方で、職場での旧姓使用には大きな業種間ギャップがあることが分かった。
柔軟なIT業界、保守的なのは……
選択的夫婦別姓について最新の調査が行われました。認める声も多い一方で、無関心層も。
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調査は2022年7月、20歳~59歳の働く男女1000名を対象に実施された。以下にその結果を紹介する(小数点以下、切り捨て)。
職場で旧姓(結婚前の名字)を通称として使用することが認められているかたずねたところ、「認められている」 42%、「認められていない」 11%となった。
民間企業の業種別にみると、旧姓使用が認められていると回答した人の割合が最も高かったのは「情報通信業」で72%。「教育、学習支援」58%、「金融業、保険業」52%と続いた。
一方、最も低かったのは2割台にとどまった(25%)「運輸業、郵便業」だ。「卸売業、小売業」32%、「建設業」33%も低かった。
また、年代や性別でも差が出た。職場に限らず「結婚した以上は 戸籍名を名乗るべき」と考えている、つまり旧姓使用に反対する人は全体で15%だったが、中でも50代男性が24%と突出して高かった。
最多回答は「分からない」
出典:「夫婦別姓と職場の制度に関する調査」(連合)
25日、今回の調査について会見を開いた連合は、旧姓使用の業種間ギャップについて
「婚姻によって姓を変更するのは9割以上が女性です。運輸や建設業などは女性が少なく、旧姓使用を求める声が上がらない面もあるのではないでしょうか」(担当者)
と話した。
しかし、そもそも職場で旧姓を通称として使用することが認められているかについて、最も多かった回答は、「分からない」だ。なんと45%を占める。
内わけは男性42%に対し女性48%と、女性のほうが上回った。
昨今、選挙の争点としても取り上げられることが増えた選択的夫婦別姓。制度の導入に向けて社会的な議論が必要だろう。
(文・竹下郁子)