世帯年収550万円以下でも「マイホーム」を買う。我が家で実践した3つのマネー戦略

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本記事の著者サラ・マルティネス・ショー氏。カンザス州の自宅前にて。

Sarah Martinez Shaw

  • 本記事の筆者夫婦は頭金のため5年間貯金し、昨夏、20万ドル(約2700万円)のマイホームを購入した。
  • 筆者の家庭の世帯収入は年4万ドル(約550万円)を超えたことがなく、貯金が困難に感じたこともあった。
  • 将来に集中するため、お金に関する昔の問題を解消したことも非常に価値があった。

2021年7月、5回目の結婚記念日の直後に、私たちはセントラル・カンザスにある寝室4部屋付きの一軒家を20万ドル(約2700万円)で購入した。20%を頭金として支払ったが、契約手数料や新居の家具などを揃える費用、緊急時用の資金などお金はまだ十分あった。私たちは夫婦合わせて年収4万ドル(約550万円)を超えたことがなく、年収2万5000ドル(約346万円)しかない年もあったにもかかわらず、これを成し遂げることができたのだ。

私たちはほとんど何もないところから始めた。家の塗装で稼いだお金も新婚当初に2人でアメリカを横断したドライブ旅行に使ってしまった。最初の「マイホーム」はフォードのフォーカスワゴンだった。後部座席を倒してマットレスを敷きベッド代わりにしていた。

究極に楽しいヒッピーのようなライフスタイルを卒業した時、いつか本当のマイホームを買えるように貯金を優先しようと決めた。低賃金の時給制の仕事をしていたが、私たちには才覚があり、倹約家で、贅沢をしない生活には慣れていた。

大きな目標を達成するため数年だけ質素な生活をするということに、私の記事で感化される人がいたら嬉しい。私たちは絶望的な状況下で、マイホームを買うという目標を成し遂げたのだ。

初めて家を購入する、すでに30〜40代でほかの借金を抱えた、経済的に下降傾向にあるミレニアル世代にとっては、住宅市場がいかに難しいかを無視することはできない。資産価値の急上昇により、若者や労働者階級にとって家を所有することはますます手の届かないものになっている。

しかし私たちにとって、マイホームを所有するための数年間の犠牲と過剰なほどの節約は、する価値のあることだった。

1. まず月々の貯金をよけて、できる限り出費を減らした

家を買いたければ、すべてそれを最優先にして考えなければいけない。私たちの生活のすべては、インフレ対策として開設した高利回りの普通預金口座に毎月最低500ドル(約6万9000円)を入れることを中心に回っていた。

私たちはその貯金を、家賃や光熱費などの生活費と同様に、支払わなければいけないものとして考えた。夫は複数のアルバイトをかけ持ちし、私は自分の子どもの子守りもできるよう自宅でベビーシッターをして働いた。家賃も抑えられるように古いアパートに住んだ。

日常的な出費もできる限り節約し、WIC (Special Supplemental Nutrition Program for Women, Infants, and Children:低所得の母親に食料を提供するプログラム)のような政府の公的支援プログラムを利用して食費を抑えた。夫が昇給したり、食費を大幅に節約することができたりした時は、その月の貯金に上乗せした。

私たちは不潔でも不健康でも不幸でもなかった。私は復学もしたし、子どもたちを公園や博物館に連れて行ったり、家族旅行でキャンプに行ったりもした。時には外食することもあった。切り詰めた生活はしていたが、満ち足りていた。楽しむための予算も確保しつつ、家を購入するための資金を常に最優先にしていた。

2. お金に関する問題と向き合い、支出を最小限に抑えた

ミレニアル世代が家を買うためにはアボカドトーストを食べるのをやめるべきだという考え方は、多くの労働者階級の若者には明らかに間違いのように聞こえるだろう。しかし私の経験上、「塵も積もれば山となる」とは本当で、ささやかな出費でもたび重なると大きな目標は遠ざかってしまうのだ。

例えば、予算を立てようとした時、私たち夫婦のそれぞれが週に2日昼食を購入していたことに気づく。週に20ドル(約2700円)というとそれほどでもない気はするが、2人分にすると週に40ドル(約5400円)。1カ月で合計120ドル(約1万6600円)以上になり、毎月の貯金目標額の20%を超えてしまう。

いくつも登録している月額制のサブスクリプションやテイクアウト、お酒など、無駄な出費を削れるところは削ろう。そうすれば自分が思っていたよりもっと多くのお金が手元に残る。

「使うお金が少なければ少ないほど、より多くが手に入る」という単純な数学的事実に則った古い助言がある。とはいえ、特に子どもの頃から裕福な暮らしをしていない私たちのような人にとっては、予算をじっくり見るだけで威圧感を感じ、お金にまつわる恥しい過去を思い出してしまうこともあるかもしれない。

もっと出費を減らし、もっと節約することができることを認めてしまうと、過去の経済的な問題が私自身の責任だったと認めることになってしまうように感じた。節約できるようになるということは、昔の自分は浪費していたことを意味するのだろうか?

衝動的なファストフードのような食事にお金を使うことで人生が変わりそうだった時期に将来について考え、前もって計画し、大きな犠牲を払うのは恐ろしく感じた。自分のお金に関する問題と恐怖を克服し、出費をコントロールできるようになるまで、多少の勇気ともろさが必要だった。

予算にコミットしてからは、私たちは家族一丸となって積極的に節約して数年後には家を買えると実感していた。魔法などは何も使っていない。変わった裏技も、リスキーな投資で儲けたり、裕福な親戚から援助を受けたりもしていない。収入が少なかった時でさえ徹底的に出費を抑えただけだ。

3. 物価の低い町を選び、実利的に家探しをした

私たちは物価の低い地域に住むと決めた。お洒落で物価の高い大都市よりも、気に入ったコミュニティで家族の近くに住むことの方が私たちにとっては重要だった。

さらに、私たちが実際支払える額より提示価格が大幅に低い家を探した。それによって、気に入った家に入札する時、よりフレキシブルに他の買い手と競合することができた。

このやり方が誰にでも当てはまるというわけではない。頭金に20%支払う必要もない。しかし私たちにとってはそれにより月々の支払いが少なくなるということに意味があった。プライベートの抵当保険も避けた。そもそも、誰もが家を購入しなければいけない訳ではないのだ。

私の祖母は生涯賃貸暮らしだったが、キャリアも、生き生きした社会生活もあり、素敵な服もたくさん持っていた。最期は賃貸のタウンハウスで家族に囲まれて幸せに亡くなった。家を買わないと良い人生を送れないとか、「本当の大人」ではないなどということは全くない。私たちと違う方法で経済的な目標を優先したっていいのだ。

しかし私は家族のために投資したという事実が嬉しい。いつでも好きなように壁を塗ることができ、子どもたちが遊べる庭があるという事実にも満足している。すでにタイトだった予算よりもさらに少ない予算で生活することをいとわないないことが、私たちにとって重要である必要があったのだ。

[原文:My husband and I have never earned more than $40,000 a year combined, but 3 strategies helped us save a 20% down payment in 5 years

(翻訳・小森谷美江子、編集・ 長田真)

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