ドイツ・ベルリン市内のプール。
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- ロシアの天然ガス供給引き締めに備え、ヨーロッパ各国はこの冬のエネルギー使用を厳しく制限している。
- ドイツでは、政府の方針によって民間の温水プールは利用できない。
- フィンランドでは、国民にサウナやシャワーの利用時間を短縮するように求めている。
ヨーロッパ各国政府はエネルギー不足を防ぐため、冬を前にエネルギー使用の引き締めを行っており、ヨーロッパの人々にとって冷たいスイミングプールや凍えるオフィス、短いシャワーの時間がニューノーマルになりつつある。
ウクライナでの戦争の余波で、ロシアはヨーロッパの制裁に対抗して天然ガスの供給を削減し、さらにメンテナンスのためだとしてパイプライン「ノルドストリーム1」を3日間閉鎖する予定だ。エネルギー価格が高騰する中、ヨーロッパ各国政府は天然ガス供給量の低下を受け、冬にどれだけのエネルギーが残るかを懸念している。
このような状況を受け、各国はエネルギー使用量を最小限に抑える措置を講じている。
ドイツ
ドイツ政府は2022年8月24日、民間のプールについてエネルギーを多く消費する方法で温めることを禁止すると発表した。オフィスにおける暖房の最低設定温度は1度引き下げられ、許可される最高温度は摂氏19度だ。一部の公共機関では暖房を使用しない場合もあるという。
手洗いに使う給湯装置は、電源を切るか、衛生的にできる最低温度まで設定を下げなければならないという。
建物やモニュメントのイルミネーションやライトアップは大部分が禁止され、広告の照明も一定期間禁じられる。政府は「不必要なエネルギー消費を削減する」と述べている。
スペイン
スペインでは8月25日、エネルギー節約計画が政府に承認されたとロイターが報じた。つまり法律として施行されるということだ。
公共の建物や管理棟、店舗などの冷房設定温度を27度以下に制限するといった内容が含まれ、8月に開始されるとスペイン政府が発表していた。また、それらの場所の暖房については、19度以上にしてはならないとも記されている。
小売店ではドアに自動ロックをつけ、冷暖房をつけているときはドアを自動で閉めたままにするよう求めている。さらに午後10時以降には照明を消さなければならない。
フランス
フランス政府は2024年までにエネルギー消費量を10%削減する計画を発表している。その中には、冷房については気温が26度を超えるときのみ、暖房は19度を下回るときのみ、使用が許可されることが含まれている。
建物はLEDライトと強力な断熱材を設置しなければならないという。フランスの大手小売企業のグループである商業流通連盟(FCD)は照明を消すことや店舗の温度設定などでこの節約計画に参画すると発表した。
イタリア
ブルームバーグによると、イタリア政府は暖房を制限し、ガス使用量を10%以上削減する計画を立てており、イタリアの人々は寒い家で暮らし、寒いオフィスで仕事することになるかもしれない。
フィンランド
AFPによると、フィンランドの人々は建物の暖房の設定温度を低くすることはもちろん、シャワーやサウナの時間を短縮することも求められている。
これはフィンランドが10月から開始する「a degree lower(低温)」というキャンペーンの一環だ。このキャンペーンでは、娯楽用電子機器の使用時間を減らし、燃料節約のため車をゆっくり運転するよう人々に呼びかけている。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)