「ブーメラン社員」は最大の昇給を獲得できることが、新たな研究で明らかになった。
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- 以前働いていた会社に戻ってきた労働者は、最大28%の昇給を勝ち取っていることが、新たな調査で明らかになった。
- ソフトウェア会社のVisierは、世界の129社に勤務する300万人の記録を分析した。
- その結果、典型的な「ブーメラン社員」は、退職後わずか1年余りで戻ってくることが分かった。
アメリカでは「静かな退職(quiet quitting)」という新しい言葉が話題になっている。その一方で、たった数カ月前に退職した職場に戻ってくるという、もっと変わったことをする労働者もいる。
ソフトウェア会社のVisierが行った新たな調査によると、元の職場に復帰した「ブーメラン社員」は、2022年の最初の4カ月間で最大28%の昇給を記録していることがわかった。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)のデータによると、転職者の平均昇給率はわずか10%だ。
Visierは、世界129社の300万件の従業員記録を分析した。同社のアンドレア・ダーラー(Andrea Derler)がCNBCに語ったところによると、ブーメラン社員は復帰した企業に関する知識だけでなく、外部で得た経験をより高い給与を得るためにうまく利用することができるという。
Visierの調査によると、2019年1月から2022年4月までの採用者の約3分の1は、退職後平均13カ月で戻ってきたブーメラン社員だった。また、そのうちの4割が前職のレベル以上の管理職に就任していた。
これらのブーメラン社員が最初に退職したのは、新天地を求めたり、その職場で成長する機会が見出せなかったりしたからだという。
「大退職(Great Resignation)」から1年が経過し、人手不足のためにポジションが埋まらず、重要なプロジェクトが遅れている。つまり、退職ではなく昇給を求めるタイミングなのかもしれない。
ダーラーはCNBCの取材に対し、企業が人材を確保したいのであれば、少なくとも2年ごとに昇給や昇進を行い、高いパフォーマンスを発揮する人材にもっと報酬を与え、会社に関与させる必要があると述べている。
Visierの調査によると、職場の人間関係は労働者が以前の職場に戻る主な理由の1つとなっている。
「人事部のスキルのように聞こえるかもしれないが、マネージャーが入社1年目の社員を研修する能力は、とにかく重要だ」とダーラーはCNBCに語っている。
マネージャーは新入社員を最初の1年間で、会社の文化や職場の人間関係に馴染ませるために時間をかけるべきだと彼女は付け加えた。
[原文:Want the biggest pay rise? Then become a 'boomerang' worker and go back to your old employer]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)