ガラス不足の中、フォルクスワーゲンはフロントガラスなどを買いだめしているという。
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- ヨーロッパでガラス不足が起きる中、フォルクスワーゲンがフロントガラスやウィンドウガラスを買いだめしていると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
- ガラス製造には大量の天然ガスが必要だが、天然ガスの価格が高騰している。
- ガラス不足への不安から、ドイツのあるビール会社はビール瓶5000万本を購入したと話している。
ヨーロッパでガラス不足が新たなサプライチェーン危機の兆候を示す中、フォルクスワーゲンはフロントガラスやウィンドウガラスを買いだめし、ビール会社はビール瓶をまとめ買いしている。
エネルギー価格の高騰が引き金となって起きたガラス不足がヨーロッパの企業にどのような影響を与えているのか、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
同紙によると、フォルクスワーゲンはフロントガラスやウィンドウガラスといったガラスを使用する部品を買いだめしていて、ヨーロッパの外で新たなサプライヤーを探しているという。ブルームバーグ・インテリジェンスは、フォルクスワーゲンが2024年にテスラを抜いて、世界最大の電気自動車(EV)メーカーになると予測している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以来、自動車業界は半導体不足やEVバッテリーに必要なリチウム価格の高騰といった車の価格を押し上げるさまざまな逆風に耐えてきた。
ガラスを作るには珪砂、ソーダ灰、石灰石を溶かすために大量の天然ガスが必要になる。ロシアがウクライナに侵攻して以来、ヨーロッパではエネルギー価格が高騰している。
ICISによると、ドイツは天然ガスの約40%をロシアから輸入しているため、今冬の値上げを含め、ロシア政府の動きはドイツにとって特に深刻なものとなっている。
こうした状況を受け、ドイツのビール会社Brauerei C. & A. Veltinsではこれまで1年を通じて購入してきたビール瓶を、今年は一度に5000万本 —— 約12カ月分 —— まとめて購入したと、同社の広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。最大で90%値上がりしていたからだという。
ガラスはスマートフォンの画面や、薬やソフトドリンクといった商品の瓶を作るのに使われているため、ガラス不足は他の業界のサプライチェーンにも影響を及ぼす恐れがある。
(翻訳、編集:山口佳美)