東京・汐留のパナソニック東京汐留ビル。
撮影:伊藤有
パナソニック ホールディングスは8月29日、グループにおける「AI倫理原則」を策定したことを公表した。
近年、企業の製品やソリューションなどへのAI活用を進めるなかで、技術やデータ活用に潜む倫理的な課題を洗い出し、AI技術を適正に利用するための「AI倫理」や「責任あるAI(Responsible AI)という考え方は、先進企業を中心に広まりつつある。
AI倫理委員会をグループ横断で始動させ、AI倫理原則の運用や推進活動を進めていく。
社内のAI人材1200人超に
会見資料によると、パナソニックグループでは、2021年度時点で社内のいわゆる「AI人材」※が1200人を超え、2016年からの5年間で3.7倍にまで増えていることがわかった。すでに人材育成のフェーズから、開発・運用に移りつつあるとも言う。
※AI人材の定義:パナソニックでは、AIを独力で開発推進できるスキルを持つ人材と定義。
パナソニックグループのAI人材の推移。資料をもとに編集部作成。
Business Insider Japan
こうした背景のなかで、製品やサービスにAIを組み込み、これまで実現できなかった用途を確立していくことは、国際競争力を確保する観点でも必然の流れだ。
従業員に対するAI倫理教育にも取り組む。まず国内から9月に研修を実施し、順次、海外も含めたパナソニックグループ全体に広げていく方針だ。
AI倫理委員会のメンバーは、グループ内で「AI技術やAI倫理に詳しいメンバー」「各事業会社の技術責任者」「法務、セキュリティー部門のメンバー」で構成されている。
AI倫理原則を推進する際の主なチェック項目。
出典:パナソニック
パナソニックグループのAI倫理委員会と、各事業会社の関係。グループ横断で機能する組織として運用を始めている。
出典:パナソニック
なお、会見の質疑によると、現時点でAI倫理委員会には社外の固定的なメンバーは含まれていない。
パナソニックはBusiness Insider Japanの質問に対して、「今後は社外の有識者も積極的に(AI倫理委員会の)体制に入れていくことも検討していきたい」と回答している。
(文・伊藤有)