コンテンツは解説付きで楽しむ時代。YouTuber成功の秘訣は「やまちゃん。」に学べ【入山章栄・音声付】

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alvaro gonzalez/Getty Images

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

今や多くの分野でインフルエンサーが誕生する時代。「個人が情報発信して知名度を上げていく」という流れは止まりそうにありません。では、これから個人がインフルエンサーを目指すとしたら何が成功の鍵になるのでしょうか。入山先生が考察します。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:10分12秒)※クリックすると音声が流れます


「個の時代」にインフルエンサーを目指すには

こんにちは、入山章栄です。

ここ数年、それまでまったく無名だった人がSNSで人気を集め、各種メディアに取り上げられて一躍有名になる現象が当たり前に見られるようになってきました。今回はその現象に関するBusiness Insider Japan編集部の小倉宏弥さんのモヤモヤについてです。


BIJ編集部・小倉

最近、YouTubeなどで名前を売りたい人が、グレーなやり方で人々の興味を引こうとする動きが顕著になっている気がします。

一方で、僕のまわりには、すごく稼いでいるのにまったく有名になろうとしない人も多い。もしかしたらこれは、表に出るメリットよりも、名前が売れた後に些細なことで叩かれるデメリットのほうが大きいと判断しているからかもしれません。あえて前に出ようとするのは、何も失うものがない人だけなのではないか、と。

入山先生は講演はもちろん各種メディアにも引っ張りだこですが、これからは個人が知名度を上げる方向へと動いていくと思いますか?


なるほど。その、「グレーなやり方」というのは、例えばどういうものですか?


BIJ編集部・小倉

例えば「節税したいなら、こんな抜け道がありますよ」と指南するようなケースです。


なるほど……それは確かにグレーかもしれないですね。

僕は個人が情報発信してどんどん表に出ていくという動きそのものは、もう止まらないと思います。

一方で、ちょっと余談かもしれませんが、僕が面白いと思うのが、実は古くからの既存メディアの価値も一部で見直されていることなんです。

この背景ははっきりしています。今はネットメディアやSNSの台頭もあり、あらゆる情報が多すぎて、どれが正しい情報か分かりにくいからです。Twitterでバズっても、それが本当だという確証は実はなかったりする。

経営理論でいう「情報の非対称性」の高い状況です。この情報の非対称性が今回のキーワードですね。

しかし、全てとは言いませんが、多くの新聞やテレビなど伝統的なメディアは、「きちんと取材に基づいた報道をしている」という信頼が残っているところもありますよね。実際、だからこそこれらの会社は多くの記者を抱えている。

何より今の時代は、裏付けのない間違った報道をすると、これらのメディアは積極的に批判を浴びる対象になっています。

だからこそ逆説的に、「これだけ情報過多な時代に正確な情報に近いものを知りたいときは既存メディアを見て、正確さよりも面白さや希少性を求めるときは個人のインフルエンサーが発信するものを見る」、という棲み分けが進んできている、と僕は理解しています。

実際、若い方と話をしても、そういうメディアの使い分けをしている方はいます。今後もこの傾向は進むのかもしれません。


BIJ編集部・小倉

個人の発信する情報は、いわゆる「裏が取れて(立証作業がすんで)」いないことが多いですが、そういう情報にも需要はあるということですね。

これから個人がインフルエンサーを目指すとしたら、どういうふうにすれば成功するでしょうか。


そうですね。では、ここからは「ネットメディアやインフルエンサー全盛で、コンテンツの質に情報の非対称性が高い(=ユーザーからはどのコンテンツの質が正しいか分からない)時代に、発信者やインフルエンサーを目指す人たちはどのようにしてユーザーの信頼を勝ち得るかをテーマに考えましょう。

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