投資物件の前に立つアマンダ・ハメット。
Courtesy of Amanda Hammett
私は現在43歳。ここ15年間は企業向けの講演やコンサルティングの仕事がメインで、ミレニアル世代やZ世代の従業員をいかに惹きつけ、つなぎとめ、彼らと信頼関係を築いていくかを伝えてきた。
2020年までは年間40件ほどのイベントを行っていたが、コロナ禍に入ると仕事が激減してしまった。ロックダウンで家に閉じこもっていた間、空いた時間をどう埋めて収入を得ようかと思案するなかで、何度も脳裏をよぎったのが不動産投資だった。
夫(同じくフリーランスのコンサルタント)と私は20年前の結婚当初から不動産投資について話し合ってきたものの、お互いの仕事や子育てもあり、これまで真剣に検討する余裕がなかった。だが今こそチャレンジしてみる時だと思った。
苦労して稼いだお金を投資する前に不動産投資について学びたかったので、その年の大半はYouTubeや記事やポッドキャストでのインプットに費やした。
その後の過程では多少の失敗もあったが、私たち夫婦はいま集合住宅14棟を所有し、毎月6500ドル(約93万円、1ドル=143円換算)の利益を生み出している。以降では、これだけの短期間で私たちが稼ぐ仕組みをつくった方法を紹介しよう。
危うく損するところだった1軒目
リサーチに1年近くをかけた後、私たちはアラバマ州の小さな町の物件に初めて購入申し込みをした。2020年12月のことだ。
だが、いざ物件の状態を精査する段になっていくつかの問題が発覚した。このままでは修繕費用がかさみ、利益が出そうにない。値引き交渉を試みたが、売り主は譲らなかった。
やむにやまれずこの取引を撤回したが、不動産投資に挑戦するんだという決心は揺るがなかった。
不動産業者ではなく不動産投資家にアタックする
所有物件のキッチンを改装中のハメット。
Courtesy of Amanda Hammett
最初の交渉が決裂した後、この狭い地域で3軒以上の不動産を持つ所有者がいないか、オンラインで郡のデータを探してみることにした。なぜ3軒かというと、3軒あればおそらくその中の1軒は投資用不動産だろうと考えてのことだ。
すると、56軒もの物件を持つ投資家が見つかった。話をしたいとメールを書き送ると、ありがたいことに返信があり、電話で話すことになった。
話し始めてすぐ、その投資家が疲れていることに気づいた。彼は70歳で、驚くことに所有するすべての不動産を20年間にわたって自主管理してきたが、そろそろ引退を考えているという。
数カ月に及ぶ交渉の末、所有物件のうちなんと19軒も売却してくれることになった。しかもその多くは集合住宅だ。1軒買えればいいと思っていたところへ思いがけ19軒も手に入ることになり、数カ月を費やしてデューデリジェンスを行った。
売り主はすべての物件について2年分のレントロール(賃貸料の明細表)を提供してくれた。誰がいくらで借り、いつ支払いが行われたのかを把握してから物件を見て回った。
最終的に、課税評価額50万4000ドル(約7200万円)で売却してもらうことで合意したが、これは言うまでもなく、市場価格と比較するととんでもなく割安だ。2021年3月に仮契約が成立し、購入に際しては自分たちの家を担保に、地元の銀行から頭金7万ドル(約1000万円)を借り入れた。
もちろん、自宅を担保に借り入れをするのはリスクがある。ただ、夫も私も起業家なのでリスク許容度は高いし、家族のために自由に使える時間を増やし、将来的にゆとりある老後を実現するためには必要だと思えたから借り入れに踏み切れた。
契約締結の日の朝、「家族の長期的な資産を築くのに、この不動産投資がきっと役立つはず」と考えながら目覚めたのを今でも覚えている。2021年5月28日、私たちは晴れて正式に不動産投資家の仲間入りを果たした。
同じ手法でさらに13軒購入
その後も同様の手法で投資家を見つけ、複数の物件をまとめて購入していった。最初の取引で19もの物件を購入したことで、まとまった複数の不動産を売買する自信がついた。
2回目の取引では2つの物件を購入し、所有する物件は合わせて21となった。頭金の1万7000ドル(約243万円)は、最初の取引とは別の住宅ローンで調達した。
3回目の取引では11軒の物件を購入し、これで合計32軒。最初の取引と同じく住宅担保ローンを使って5万5000ドル(約786万円)を頭金として用意し、セラーファイナンス(物件の売主から直接借り入れる方法)も利用した。うち7軒は建設中だったため建設ローンも借り入れ、取引は2022年1月5日に完了した。
なお、購入した時点で物件にはすべて入居者がいたため、建設中の物件を除く25軒の家賃収入を住宅ローンと建設ローンの支払いに充てられたのもよかった。
1年間家賃を回収した後、11物件を売却
投資家に取引を持ちかけた以前の私たちのように、2022年に入ってある投資家が私たちに接触してきた。
聞けば、私たちの所有する不動産のうち10棟をすべて現金で購入し、もう1つを家族が購入したいのだという。交渉は成立し、9万7000ドル(約1387万円)の売買差益を得ることができた。
このような経緯で、いま私たちは14の物件を所有し、そこから毎月6500ドルの利益を得ている。ただしこれはあくまで副業なので、私自身の週の稼働時間は15〜25時間程度だ。
物件の管理には人員3人を配置し、さまざまな面で手助けしてもらっている。1人は賃貸契約と不動産ポータルサイトへの広告出稿を担当し、アシスタントがメールやその他の管理業務を行う。最後の1人は工事とメンテナンス担当だ。
建設中の7軒のうち5軒は、まもなく完成して賃貸に出せるだろう。目標は、講演家やコンサルタントとして得ていた収入分を不動産収入で置き換えることだが、このままいけば今年中にその目標を達成できそうだ。
今も引き続きアラバマ州で手頃な物件を探しているほか、ジョージア州北部にも範囲を広げて追加購入を検討している。仮に不動産投資で何かがうまくいかなかったり市況が悪化したりしても、これはあくまで副業だ。私たちには本業からの収入があるので、いざとなればそれに頼ることができる。
コロナ禍で学んだのは、複数の収入源を持ち、収入を多角化することの重要性だ。我々夫婦は本業に満足しているが、不動産投資の副業は、家族のために必要な経済的安定をもたらしてくれている。
人には常に住居と、新たな思い出を作るための安全な居場所が必要だ。自分たちがそれを提供できる立場にあることを感謝している。
(編集:野田翔)