サントリーは9月6日、世界初のリサイクルアルミ100%缶のザ・プレミアム・モルツ2商品を発売。
サントリー公式サイトよりキャプチャ
サントリーホールディングス(HD)は8月31日、リサイクルアルミ100%使用のザ・プレミアム・モルツ「CO2削減缶」2商品を、9月6日に発売すると発表した。
使用済みのアルミ缶を再生した、リサイクルアルミ材100%のステイオンタブ型(※)缶飲料が商品化されるのは、世界初だ。
※ステイオンタブとは:タブ(口金)を引っ張って開けたあとも、タブが缶本体についたまま簡単に切り離せないタイプの缶。タブ式の飲料缶としては世界で最も一般的とされる。
CO2排出量を60%削減、価格は据え置き
新商品のザ・プレミアム・モルツ CO2削減缶(左)と、ザ・プレミアム・モルツ〈香る〉エール CO2削減缶(右)。
提供:サントリーホールディングス
新商品は、「ザ・プレミアム・モルツ CO2削減缶」「ザ・プレミアム・モルツ〈香る〉エール CO2削減缶」の2種(いずれも350ml)。約3万ケース(約70万本)の数量限定で全国発売する。
この2商品に使われる缶は、国内最大手のアルミニウム製品メーカーUACJと東洋製罐グループホールディングス(HD)が共同で製造。サントリーHDによると、通常のアルミ缶と比べ二酸化炭素(CO2)排出量は60%削減できるという。
31日に開いた会見で、サントリーHDのサステナビリティ経営推進本部副本部長の藤原正明氏は、
「(リサイクルアルミ100%缶の採用により)正直言うとコストが上がるのは間違いないが、今回の商品に関しては(従来と)同価格で提供させていただく」
と語った。
「国内アルミ缶消費の2割」占める企業の挑戦
サントリーHDは、CO2をはじめとする温室効果ガスを自社排出で2019年比50%削減、バリューチェーン全体で同30%削減を目指すなど、環境・気候変動対策に力を入れてきた。
2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルを、リサイクル素材か植物由来素材100%に切り替える目標を設定、2022年1月には水資源に関する目標も改定するなどしている。
アルミ缶についても、同社商品全体として現在「再生地金(リサイクルアルミ材)を50〜60%程度混ぜて使っている」(藤原氏)という。
サントリーHDが2021年に使用したアルミ缶は約7.2万トン。ペットボトルに次ぐ使用量のアルミ缶対策は、環境目標達成のためにも重要な課題となっている。
出典:サントリーホールディングス
サントリーHDの事業別アルミ缶使用量。
出典:サントリーホールディングス
とはいえ、原料の調達や物流、販売、リサイクルといった自社以外(Scope3)の温室効果ガス排出削減目標を達成するには、ペットボトルに次いで使用量の大きいアルミ缶のリサイクルなどをさらに強化する必要があると判断。
今回、UACJと東洋製罐グループHDが製造するリサイクルアルミ100%缶に対し、同社が品質担保する形で技術連携を進めることで、世界初の商品化を実現させた。
今回のリサイクルアルミ100%缶製造・販売の流れ。新地金とは、リサイクル材ではなく、アルミニウムの原料となる鉱石「ボーキサイト」から新たにつくられるアルミニウムの塊(地金)。
提供:サントリーホールディングス
リサイクルアルミ100%缶を他商品に拡大するかどうかなど、今後の展開について、藤原氏は次のように語った。
「今回は3社の協力を含め、まずはしっかり世の中に出していくことにチャレンジした。発売を機に、寄せられる情報やお客さまの反応などを踏まえ、今後の展開を考えていきたい」(藤原氏)
日本のアルミ缶リサイクルに関する状況。
提供:サントリーホールディングス
(文・湯田陽子)