ウェッブ望遠鏡とハッブル望遠鏡の画像を合成して作成した「幻の銀河」の画像。
ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST Team; ESA/Hubble & NASA, R. Chandar
- 欧州宇宙機関(ESA)が「幻の銀河」の鮮明な画像を公開した。
- この銀河の素晴らしい画像は、ハッブル望遠鏡とジェームズ・ウェッブ望遠鏡の画像を組み合わせて作り出された。
- この画像を入手する機会をもたらしたのは民間の科学者だという。
欧州宇宙機関(ESA)が2022年8月29日に公開した新しい画像は、地球から3200万光年の距離にある「幻の銀河」と呼ばれるM74の中心部を映し出している。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の2つの望遠鏡の画像を組み合わせて作成したものだ。
この銀河は「グランドデザイン渦巻銀河」と呼ばれる種類に属し、中心から枝分かれした腕が際立ってよく見えるとESAは述べている。
ESAは3枚の画像を公開した。左がハッブル、右がジェームズ・ウェッブの画像。
ESA/Webb, NASA & CSA, J. Lee and the PHANGS-JWST Team
ESAは、ウェッブ望遠鏡の高い解像度によって「幻の銀河」の渦状腕にある「ガスと塵の繊細なフィラメント」を検出することができたとしている。また、銀河の中心部にガスがないため、銀河の中心部を鮮明に映し出すことができたという。
この画像は、19の「星形成銀河」で星形成の初期段階についてより詳しく知るための大規模な取り組みの一環として撮影されたとESAは述べている。
ESAはまた、民間の科学者であるジュディ・シュミット(Judy Schmidt)の功績を称えた。シュミットは、このような画像に最初に注目した人物だ。
ハッブル望遠鏡とウェッブ望遠鏡は、ハッブル望遠鏡が主に紫外線と可視光で宇宙を観測するのに対し、ウェッブ望遠鏡は主に赤外線を使うため、互いに補完し合っている。
両方の望遠鏡の作成と使用のためにESAと提携しているアメリカ航空宇宙局(NASA)は7月にウェッブ望遠鏡で撮影された画像を初めて公開し、前例のない明瞭さで観測可能であることを示した。
(翻訳・編集:Toshihiko Inoue)